米国はオバマケアで暫定予算案合意できず、次に迫りくる10月17日の米債務上限問題と金相場

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米国は、上下両院で新年度(10月1日)の暫定予算案に合意できずに一部の政府機関が閉鎖となりました。1996年のクリントン政権以来の出来事で、金相場の動きにも注目が集まっています。

10月16日、暫定予算案で合意し、当面の危機は回避に成功しました。

金は下落後上昇

NY金価格は、暫定予算案が成立せずに9/30の締切を迎えた後に、1300ドルを割り込む急落。手持ち資産の現金化の動きによる金売却で下落したところにストップロスを巻き込んだことで大きな下げになっています。

その後、ドル売り(下落)による金買いが入ったことで、NY金の重要なサポートラインである1300ドルを回復。

米国議会の民主党と共和党対立はオバマケア問題

現在の暫定予算案で焦点になっているのは、オバマケア(医療保険制度改革)。20103年3月にオバマ政権の元で成立した保険制度で、日本のように全国民の保険加入を目指しています。

★野党共和党が多数の下院は、オバマケア関連予算を除外した予算案を可決

★与党民主党多数の上院は否決し、オバマケアを盛り込んだ予算案を可決

の繰り返しになっており、タイムリミットを超えても両者の歩み寄りはなく閉鎖に。

●民主党の考え方:オバマケアで国民皆保険を実施し、無保険者の破産・医療に掛かれない問題を解決

●共和党の考え方:オバマケアは予算がかかりすぎ企業負担が大きい。民間の保険制度を活用すれば良い。

米国の医療制度の問題:アメリカ議会予算局の試算では、以後10年間で、加入率は83%から95%に上昇するが、費用も9400億ドルに昇る。アメリカの診療は自由診療が基本である。高額な医療費に備え、各自が民間の保険会社と契約を行うが、低所得者は保険料の支払いが困難となること、医療費のかさむ慢性病患者等は更新を拒否されたりする弊害があり、医療の恩恵を享受できない国民が少なからず存在していた。財政上の問題(フリーライダーの存在とモラルハザード等)などから次々と頓挫し続けてきた歴史がある。wiki

自由競争・自由市場で政府の介入を最小限にしたい共和党と、社会福祉・政府介入を重視する民主党の対立。

両院は対等の立場ゆえに、上下両院のねじれ現象により予算が成立しないという状態。

オバマ大統領自身の指導力は、シリア問題でシリア・ロシアに一歩引いた姿勢を見せた上にFRB議長の後任についても意中のサマーズ氏辞退に陥るなど、強い弱いという点においては弱腰だとみられて陰りを見せています。


1996年の政府閉鎖時(クリントン政権)

ビル・クリントン政権期の1995年から1996年にかけての米国の政府閉鎖の際には368の国立公園、国立美術館、博物館、科学館などが閉鎖された。またパスポートの発給が停止し20万人に影響が出た。毒物処理機関が閉鎖された。また社会保障給付や恩給が停止された。重要な政府機関の閉鎖は回避され、航空交通管制や郵便など重要な機関は閉鎖されなかった。

1995年-96年の際には、下院議長ニュート・ギングリッチ率いる共和党と、民主党クリントン政権との予算をめぐる党派対立の高まり(均衡財政や福祉削減など)と国債上限引き上げ問題が同時に発生していた。議会両院の多数党を占めていた共和党は歳出法案(予算法案)と債務上限引き上げ法案(国債発行法案)を阻止することでクリントン政権から妥協を引き出そうとしたものの、クリントン政権が容易に屈せず対立が長引き政府閉鎖が発生した。 wiki

2013年10月:債務上限問題が金相場に与える影響

格付け機関ムーディーズの試算では、1996年の様に3週間ほどの政府閉鎖が起きると第4四半期のGDP成長率はマイナス1.4%になる。景気回復してはいるもののペースが緩やかで雇用改善しつつも不安定な米国経済にダメージを与える。

結果的にドルや株が売られて金が買われる可能性は高い。

9月のFOMCでFRBが量的緩和縮小をスタートしなかったことは景気・雇用の両面がまだ弱いと判断したことが原因ですが、この予算問題と財政問題も念頭にあったことでしょう。

債務上限問題は10月半ばがデフォルト期限

暫定予算案よりこちらの債務上限問題の方が深刻で、2013年10月17日に16.7兆ドルの債務上限に到達します。ルー米財務長官は、手元資金残高が10月17日になくなるであろうと警告を発しています。

●米国の政府総債務残高の推移

政府総債務残高の推移 - 世界経済のネタ帳

日本に限らず、どこの国も借金まみれ。米国債を大量に購入して保有しているのは中国と日本がダントツに多い。米国債保有額ランキング

アメリカは連邦法で連邦政府の債務(米国債の発行総額)に上限を定めており、上限額に到達すれば、連邦政府は新たな米国債の発行ができなくなります。これまでに起きた債務上限は何とか妥協に成功。

なお、上限なしの無制限な発行だと歯止めが利かなくなり、過大な予算や国債発行が、国債や米ドル暴落・金利上昇に繋がるかもしれません。

2011年夏の債務上限引き上げを巡る与野党の対立でも政府が債務不履行(デフォルト)寸前に追いこまれており、S&Pは米国債を格下げし、金価格が大きく上昇しました。さらに詳しく知りたい方は米国債ショック:wikiを参照ください。

NY金価格の大暴騰

この時の金相場は、月初の1600ドル台から月末には1900ドル台と300ドル超の大暴騰を演じる。

基本的な構造は同じで債務の大幅削減を主張する共和党とある程度の社会福祉と政府の介入を実現したい民主党の対立です。

デフォルトが起きれば金価格は上昇

もし、今回もこの債務上限が長引き、デフォルトやそれに近い状態が起きれば、金価格の上昇に繋がります。確率的には、両党が妥協し大事には至らずの可能性が高く金価格も落ち着くと思いますし、市場もデフォルトまでは想定していません。
そのため、もしもの事態が起きれば大きく金融市場が荒れることが予想できるため、少なくとも情報入手をしっかりしておく。金現物を大量に保有している方は金先物でヘッジしておくなど検討しておいてください。

金上昇を狙った取引も人気です。

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東京金とNY金の動き

ドル/円相場に大きな動きが見られないことから、NY金(ローソク足)と東京金(ライン)はほぼ同じ動きをしています。

テクニカル要因よりもファンダメンタル要因で動く相場になっています。

10月11日現在、債務上限の短期的引上げを協議・11日にも政府機関の再開で合意できる可能性など、危機回避に向けて与野党の協議が続いています。
10月16日に至るもいまだ妥協は成立せず。下院は来年2月7日までの短期引上げを提案中。何とか期限までに成立しました!

2013年10月3日