新しく金を生産するために必要な費用(産金コスト)の平均は、1,211ドル

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新しく金鉱山から金を生産するコストを産金コストと呼びます。

金は、金塊や地金といった見るからに金という形では見つからず、金鉱石の中にわずかに含まれている状態で、1トンの鉱石の中にわずかに3~5g程度しかありません。
世界一、高品位な金山は鹿児島の菱刈金山です。

そのため、金鉱石を掘り出し、砕いて精錬して金製品(地金)にするまでにはかなりのコストがかかります。

現在の産金コスト水準

金鉱山は、存在する場所・国により状況が違います。南アフリカでは表面上の浅いところにある金を掘り尽くしてしまったために、地下3千~4千メートルの地底から採掘しています。中国やオーストラリアは比較的浅い個所で掘り進めていますので産金コストは低めと考えられます。世界の主な金鉱山会社

一般的に公表されているコストは、鉱山会社の平均値であり、各社そして鉱山ごとに違うということは覚えておいてください。

トムソン・ロイターGFMSの公表コスト
2012年の世界の金生産コスト平均は1,211ドル/トロイオンス。
このコストには採掘、鉱石処理、事務処理、精錬費、精錬費、権利料、企業管理、資金調達コストなど全てのコストを計算。

ダンディー・キャピタル・マーケッツ
産金会社20社の全て込みの費用の平均は2012年10-12月(第4四半期)に1オンス当たり約1306ドルとの見方。

金の生産コストは上昇傾向

鉱山会社は、表面の掘りやすいところから金を掘っていきます。そのため、採掘を始めるのが早かった鉱山程、浅いところは枯渇して深く掘る必要が出てくるため、人件費・設備代などのコストがかかります。

また、南アフリカは、かつてアパルトヘイト政策により黒人差別を行い人件費を抑えていましたが、制度の撤廃により人件費高騰やストライキに悩まされておりコスト上昇の要因となっています。

そして、インフレ・原油価格の上昇なども産金コストの上昇に一役買っており、余程、有望な金鉱山がどこかで発見されてゴールドラッシュが起きない限り、産金コストは上昇する可能性の方が高いと言える状況です。

コストは上昇傾向

GFMSの金生産コスト推移:ドル/トロイオンス

金価格が下がり生産コストを割り込んだら?

2013年4月以降、世界の金価格は下落しており、1200ドル~1300ドルのコストを割り込みそうです。

もし、コストを割り込んだら鉱山会社はどうするのでしょうか?

赤字で生産を続けても意味がありませんので、掘る量を減らしたり新規鉱山の開発や探索を止める方向に向かいます。リストラを行って会社全体の事業を見直すかもしれません。

そのため、長期的には産金量が減って金価格が上昇する方向に向かいやすくなります。

すぐには生産を止めない可能性

では、コスト割れになれば、すぐに生産が減り金需給は変化するのかというとそうでもありません。

南アフリカの鉱山などは、深く掘っているためもあり、採掘を止める(閉山)すると、再開に時間がかかってしまうのです。使わなくなった機会や家がすぐに朽ちていくように閉山を決断することは再開にコストや時間がかかることになります。

そのため、コスト割れであってもしばらくは生産が続きます。

次に、上の推移表を見てもらうと、国によってかなり1トロイオンスを生産するのにかかる費用が違うことに気付かれると思います。南アフリカの鉱山は赤字でも、北米や中国の鉱山(世界の金生産国)では黒字の水準で金価格が止まるならばコストの低い鉱山では生産が続き場合によっては増産の可能性があります。

●ミネラルギャラリー動画:金銀銅の鉱石についてのお話

逆に価格が上がると、採算が取れなかった鉱山で生産が再開されます。

さらに最近は、電子部品からスクラップから金を回収する都市鉱山(リサイクル)による供給も増えています。