NY金先物相場は、1300ドル前半で弱含みの展開が続く。
米国の量的緩和縮小の開始時期が当初予定されていた2013年中ではなく2014年の3月頃にずれ込むとの予想で上昇したものの大きな上げ相場にはならず。
量的緩和縮小スタートが早まる気配はなく金価格は重そう
10月米雇用統計が11月8日に公表される予定だが、非農業部門雇用者数は前月比+12万人と政府機関閉鎖の影響などから良い数字が出る可能性は低い。
米雇用統計の推移グラフ(2013年1月~)
失業率は低下しているものの雇用者数の伸びが悪い。
これでは、バーナンキ議長が2013年春から繰り返してきた縮小を行える環境にはならないでしょう。それゆえに大幅な金価格の下落にはつながり難い。
追記:実際に公表され米国の10月非農業部門雇用者変化は20万4000人増加(予想は12万人増)、10月失業率は7.3%(予想7.3%)と、大きく雇用者増の数字だったために、緩和縮小の機運が高まりドル高・米金利高・金相場安の動き。
★政府機関閉鎖の影響はほとんどない?12月か1月のFOMCへの注目が高まる結果。
ただ、いずれにせよ、2014年3月のFOMCでの縮小開始が予想されている以上は、金価格の頭が重い事情に変わりがないとみる。11月7日に上場した米ツイッターが公開価格26ドルを大きく上回る44.90ドル(73%高)で引けるなど株式相場の過熱感も気になるところ。
金相場の変動要因
1.米国の債務上限問題:与野党の対立は、収まりを見せておらず、年明け早々に問題が出てくる。
2.欧州中央銀行(ECB)の金融緩和:11月7日、政策金利を0.25ポイント引き下げ0.25%に設定。4年ぶりの低水準に落ち込んだインフレ率を受け、デフレ防止・物価安定維持を目的。
失業率の高さや政治経済改革の遅れおよび政治混乱などが理由。
極右政党、国民戦線(FN)が勢いを増し地方選挙で勝利し(南部ヴァール県議会補欠選挙の決選投票)、来年実施の欧州連合(EU)欧州議会選挙に向けた世論調査で二大政党を抑えて首位に立つ。「反移民」「反EU」を掲げるFNの台頭に国内外で懸念が強まっている:産経新聞
4.中東問題:イランの核開発やシリア問題、対イスラエル問題など火薬庫であることに変わりなし。サウジアラビアとて安定には遠い。
5.中国の内政・外交:デモや自爆テロ行為など、内政上の問題が頻発しつつある。国民の不満を抑圧するか外敵を作る方向に向かうリスク。
6.インドや中国の需要:インドで金現物を確保する際のプレミアム(割増金)が過去最高水準に上昇。
インド宝石・宝飾品貿易協会のディレクター、バチラジ・バマルワ氏:ロンドンの金価格に上乗せして銀行や輸入業者に支払うプレミアムは今週、1オンス当たり最高120ドルに達した。供給不足が続けば150-200ドルに上昇する可能性がある。バマルワ氏は「供給が不足しており、増えなければ市場は毎日パニック状態になりそうだ」と指摘。「金輸入が減少したので政府は満足だろうが、消費者にとっては問題だ。金はわれわれの文化に根差しており、それを変えることはできない」と述べた。ブルームバーグ
7.南アフリカのスト:大起産業の小菅氏によるとノータム・プラチナでストライキが11月3日に発生。労働組合側は22~43%の大幅な賃上げを求めており、他のプラチナ鉱山会社でもストが予定されている。鉱山会社側も価格低迷で大幅な賃上げが難しいとの回答。ストライキが大規模化し白金価格が上昇すれば会社側も賃上げに応じれる可能性が出てくる。
8月には金鉱山でストライキが発生しました。
金価格は、何か大きな事件が無い限り、大きく上昇する感じではなく、しばらくは戻り売りのイメージ。逆に白金を売るのはリスキーで買い戦略の方が取りやすい。
●東京金と白金の複数商品表示:日足チャート
その点、金売り白金買いのサヤ取りトレードが有効となり得る。
●NY金価格の日足チャート
ボリンジャーバンドの幅での動き、もしくは上下のサポート・レジスタンスラインでの動きとなる可能性が高い。
●東京金の日足チャート
上昇が見込みにくい状態ではあるものの、何か大きな事件が起きたときに早い反応を見せるのが金相場の特徴。2013年11月~12月にかけては売り有利と見るが世界情勢の変化には臨機応変に対応したい。