2013年12月の金相場は下落を予想も1200ドルに近く難しい場面。アジアの需要増

金先物相場は下落が続いており、6月以来の安値、1オンス1200ドルに近づいています。

最大の弱気材料は、FRBの量的緩和縮小予想により世界に流れるお金の量が減ることが分かっており「ドル高傾向=金安」になっていること。

今年の冬から来春にかけてほぼ確実に実行されることから、金相場は先取りして下落しているのです。

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NY金の日足

EVOCX(エボCX)


金の需要は欧米からアジアへ

業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の統計によると金価格は4月に大きく下落し金に裏付けされた上場取引型金融商品からの資金が流出するもアジアと中東全域で金需要が拡大。

WGCのデータ:宝飾品や金貨の需要

  • 中国:30%増の996.3トン
  • インド:24%増の977.6トン
  • 欧州ではフランスやスイス、英国を中心に11%減少

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、第3・四半期に投資家の金需要は前年同期比56%減少した。金を投資対象とする上場投資信託(ETF)の資金フローは、第2・四半期が183億ドルのマイナスだったのに続き、第3・四半期は51億ドルの純流出となった。金に投資するETFとしては最大規模を誇るSPDRゴールドは第3・四半期末時点で2008年半ばよりも41%ほど多く金を保有しているが、足元で償還ペースが鈍化しても、それほど希望が持てるわけではない。ブルームバーグ

金相場を動かす要因

  • 金の工業用需要は年間400トン程度で安定して推移
  • 中央銀行は2011─12年に年間平均で500トンの金を購入。しかし、中銀の金需要は13年1─9月期には前年同期比で4分の1ほど減少しロシアは9月に小幅な売り越し(金売却を制限するワシントン協定
  • 宝飾品としての金の需要は高値で弱まり安値で増える
  • 産金コストは1,200ドル強の水準
  • 中東情勢は、シリア・エジプトの混乱とイランの核開発停止路線で和戦混在。サウジやイスラム勢力の火種も
  • 日中関係は悪化も今のところ金価格には影響せず

TPPや秘密保護法案の事を考えると、日中関係悪化させてこの二つを締結の方向に持っていくという日米中の三角関係すら想像してしまいます。実際、金価格は動かずに、バイデン副大統領が来訪(日本・中国)しています。

ベネズエラへの金スワップ

米国の大手銀行、ゴールドマン ・サックス・グループとバンク・オブ・アメリカ(BOA)を含むウォール街の金融機関は外貨準備 不足のベネズエラに対して米ドル確保を支援する取引を提案。

中央銀行が保有する18億5000万ドル(約1880億円)相当の金を担保に16億8000万ドルの現金を手にし、BOAは企業への30億ドル相当の支払いで仲介役を務める。

ベネズエラは、ドル不足で生活用品が購入できない。消費するモノのほぼ4分の3を輸入に頼っている。

金外貨準備は今年28%減少 し今月は9年ぶり低水準の207億ドルとなった。金の下落でベネズエラ政府は対外債務の返済に苦戦している。

財政収支(対GDP比)の推移 - 世界経済のネタ帳

金相場が下落すればベネズエラが証拠金口座に置く金を積み増し金が値上がりした場合はゴールドマンがドルを追加する。

ブルームバーグに上記のような記事が出ていました。豊富な油田を持ち資源のある国ですし反米の急先鋒だったウーゴ・チャベス大統領も死去したことで米企業はベネズエラ開発に乗り出していくかもしれません。

ロンドン金価格の不正疑惑

ロンドンは毎営業日、銀行5行が協議し金の価格(ロンドン・フィキシング)を設定しています。これを利用して金売買の際に一部のトレーダーが不正行為を働いていないか英金融行動監視機構(FCA)は金市場の価格について調査中とのこと。

金が売買されるこの過程は数分間から1時間以上に及ぶこともある。参加者は電話会議中にスポット市場と取引所で金と金関連デリバティブ(金融派生商品)の取引を行うことが可能。9月に発表された調査結果によると、設定開始直後に金関連デリバティブの取引が急増する。ブルームバーグ・ニュースがインタビューしたトレーダー4人はその理由について、ディーラーとその顧客が協議中の情報を利用して投資しているからだと説明した。

ドイツの貴金属取引・投資会社デグサ・ゴールドハンデルのチーフエコノミスト、トルステン・ポライト氏は「たとえ短期でもこの価格決定プロセスに参加したトレーダーは他の市場関係者よりも知識がある。これは、ロンドンの金価格設定の重大な欠点だ」と指摘した。

ブルームバーグ

2013年12月以降の金価格予想

ここまでは、FRBの量的緩和縮小を背景に下落を予想していました。

難しいのはここから。実際の縮小スタート以後も下落要因であることは確かです。

しかし、産金コストの1200ドル強や、米NYダウの16,000ドル超え(史上最高値)などを考えると何らかの予期せぬ事態が起きないとも限りません。

NY金は1,000ドルになるとゴールドマンサックスのカリー氏も予想しているように、まだ下値があるのではないかと考えます。

●NY金価格:月足チャート

リーマンショックの金

実際、2008年のリーマンショック前後の金価格は750~1000ドルだったことからも下落可能性が高いと予想します。

東京金相場

東京金は4000円がキープできるかどうか。前回も割れた後に戻しているだけに買い場になるか大幅下落なるか。

ただし、世界経済は嵐の前のリスクオン傾向な感覚を持っていますので、ここからの金相場は秋以降の下落相場より難しくなると思います。

例えば、欧州は経済危機を乗り越え、次は政治や人種・国家といったより大きなものへの挑戦の時期を迎えていますし、極右政党が票を伸ばしているように格差の広がりも目に余ります。