ドル高と原油安・中国景気の減退など悪材料が出揃って4年ぶりの安値

<スポンサーリンク>

金価格はドル高の影響で下落し4年3ヶ月ぶりの安値。NY金の期近は1トロイオンス1137.1ドル(2014/11/5)。

米FRBと日銀の金融政策で金価格は下落

米国は量的緩和による資産買い入れを終了。日銀は追加緩和を実施。

日米両国の金融政策が米ドル高を呼び、「ドルの代替資産」として投資される金は値下がり。また、10月26日にECBが公表した主要銀行のストレステスト結果が予想よりはよかったこと、原油価格の下落でインフレが弱まったことなども下落要因。

以前より、米FRBの量的緩和終了や利上げ局面は、金価格の先行きに対して弱気を呼ぶ原因だった。金は金利を生まないため、米ドル高や高金利局面では魅力が薄れる。

代表的な金ETF銘柄のSPDRの純資産残高は735.82トンまで減少(SPDR公式サイト:2014年11月6日)。2013年6月に金の残高1,000トンを割ってからも減少トレンドが続いています。

中国の金需要は減少傾向

金を好む中国でも需要が減少傾向。日経新聞によると上海市場のプレミアムは、11月3日の取引で1トロイオンスあたり6ドルと国際金市場に対して特別な割高感はなし。

習近平政権が進める倹約令や汚職取締強化は、貴金属製品の購買意欲を削いでいる模様。周永康元政治局常務委員の失脚や党幹部の逮捕・自殺などが続いているなかで、汚職や賄賂に繋がるような豪遊・買い物はしばらく控えられそうな状況。

また、不動産市況の悪化によるシャドーバンキング問題。債券のデフォルトなどは、金投資意欲を増す面と購買する資金不足の両面性を持つ。

ソシエテ・ジェネラルのマイケル・ヘーグ氏は、金価格の1000ドル下落を予想

フランスの大手金融機関、ソシエテ・ジェネラルのマイケル・ヘーグ氏は、金価格が1オンス当たり1000ドルに下落する可能性が高まっているとの予想をニューヨークで行った。2013年6月の金相場予測は的中。

「原油価格ショックにより金価格への下押し圧力が強まっている」と指摘。エネルギー価格の下落は「インフレ率の低下を意味し、金価格のさらなる弱材料となる」と述べた。同氏は昨年の金相場下落を的確に予測した。ブルームバーグ

原油相場は下落基調にある中、サウジアラビアが減産を行わずにシェア確保とシェールガスの採算悪化を狙っているため80ドルを割り込んで安値をつけている。アフリカのナイジェリアは米国向け石油輸出がシェールガス増産の影響で減少。石油の販売シェア争いは激しさを増している。

原油が下がって困るのは産油国の中東そして、ロシアやベネズエラ・イスラム国などの米国がやや敵視している国。金と原油は昔から政争の中で価格が上下してきた。

●NY金価格週足チャート

金価格は下落トレンド

●NY原油月足チャート

NY原油価格は下落

2014年11月5日(EVOCX):クリックで拡大

また、ブルームバーグ・インテリジェンスの調査では、1160.50ドルという価格水準は産金会社19社のうち5社の生産コストを下回る。この5社には南アフリカ共和国3位のハーモニー・ゴールド・マイニングやカナダのプリメロ・マイニングが含まている上、ほか3社の生産コストは金価格との差が50ドル以内と採算の危険水準。

目先の金価格予想を大勢のトレンドから行うと、ドル高・米利上げの動きから下落傾向が続く確率が高い。ただし、日本の金はドル高円安の恩恵で価格下落の一部はカバーできる。

更なる将来を見込むと、アベノミクスや世界の金融緩和政策失敗時におけるバブル崩壊リスクや原油価格下落により経済危機に陥る国の暴発など金投資への意欲が戻るであろうリスクが目白押し。今後5年以内に政治経済的な大きなリスクが中国・中東・ロシアで起きる可能性は無視できない。