スイス国民の選択は金価格の動きに大きな影響を与えるかもしれません。2014年11月30日に行われる投票は、スイス国立銀行に対して金保有を義務付けるか否かという内容。
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スイスの金を救え提案はスイス中銀の金保有を増やす
欧州は、伝統的に戦火を何度も起きた経験から金投資への意欲が強い。その中でもスイスの金を保存するための下記提案について投票が行われる予定。右派のスイス国民党が提案。
スイス国立銀行(SNB:中央銀行)は、全資産の少なくとも20%以上の金準備を行う
金を売却することを許可してはならず、スイスに保管しなければいけない。
現在の金準備は約8%で資産残高は5220億スイスフラン(約62兆500億円)
2014年11月30日のスイス国民投票結果は?
1.スイス国立銀行(中央銀行)に金準備の拡大を義務付ける提案は投票者の77%の反対で否決
2.移民の流入を年間で現行の4分の3に減らす提案なども反対多数で否決
直接民主制のスイスは、法定の署名数が集まればいかなる問題も国民投票を行うことが可能!
スイス国立銀行の為替介入【1ユーロ=1.20フランの死守】
リーマンショックそしてユーロ圏の債務危機は、安全資産を求める投資家達をユーロ買いに走らせました。そのため、スイスフランは高騰しユーロ/スイスフランは1.10台に。
そこで、2011年9月6日(火)の日本時間17時頃、スイス国立銀行(SNB)は無制限の為替介入政策を発表し即座に実行。
「1ユーロ=1.20フランを下回る水準は容認せず。リセッションとデフレ回避のため無制限の市場介入を行う。この水準は「最大限の決意」で守る。
実際にスイス国立銀行は大量の「ユーロ買い・スイスフラン売り」の介入を実施。わずか2時間あまりで、ユーロ/スイスフランは1.10フランから1.20フラン台まで変動。
●ユーロ/スイスフランの月足チャート:ヒロセ通商のLIONFX
2014年現在に至るも、この水準は維持されており、市場介入も実施してきた。そして、スイス中銀の外貨準備高は大幅に増加。
●スイス中銀の外貨準備高:金の保有高も公表
単位:10億米ドル データはブルームバーグジャパン
バンク・オブ・アメリカによる金価格上昇の試算
もし、スイス国立銀行が金準備を増やすことになれば、大幅な金購入を行う事になる。1500トン(約500~600億ドル相当)の金投資を行うことになるため価格上昇要因。
米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)の推計によれば、この購入量は年間ベースでは世界の需要の約7%に匹敵し、金価格が18%上昇するきっかけとなる可能性がある。そうなれば、金相場の強気派にとっては強材料となる。金相場は過去2年間に32%下落している。ブルームバーグジャパン
これは、金トレーダーの強気筋にとっては最大の支援材料。
中央銀行と金売却
ただし、関係筋によると、もし提案が実施された場合にはスイスフラン防衛のために行う介入は不可能となり、金融政策の自由度が破壊されると懸念。
多くの中央銀行は、1990年代に保有している金を売却しました。世界の政治経済が安定し、金利を生まない金を保有する意味が薄れたからです。1999年9月、IMF総会でワシントン協定が結ばれて金価格を守るために売却制限が行われる程。
スイス中銀の金準備割合は200年の30%から8%台へと下落。
●スイスの金を救え参考サイト
1200ドルを割り込んでいる金価格が上昇に向かうかどうか11月30日に注目しましょう。