ゴールドマン・サックスの金鉱山寿命はあと20年で枯渇する発言が話題に
ゴールドマン・サックスがウォールストリートジャーナルに語ったところでは、世界で採掘できる金の埋蔵量は、わずか20年程度しか残っていません。
採掘可能な埋蔵量
- 金・ダイヤモンド・亜鉛:20年程度
- プラチナ・銅・ニッケル:40年かそれ以下
ゴールドマン・サックスの調査リポートでは、金鉱山の寿命は近い!
大手金融機関ゴールドマン・サックスの欧州金属・鉱業アナリストのユージーン・キング氏によると、地殻の貴金属濃度が低く、純度の高い鉱脈が少ないため、貴金属の希少性は高まりつつあるとのレポート・
金の希少性に加えて、新たな鉱脈の発見が減り、枯渇する時期が近いのではとの予測が出ており、金価格の押し上げ要因になるとの内容でした。
金は、古代エジプト人の時代から、4000年以上も富の尺度として使われていました。有限の資源でとうもろこしや豚のように生産できませんから、掘り続ければ、いつかは枯渇します。しかし、このユージーン・キング氏の寿命発言は、特に目新しいものではありません。
カナダの金鉱大手ゴールドコープによる金の枯渇
2004年11月後半にゴールドコープが出したレポートによると、2015年は、金鉱山生産のピークになるのではないかと。
貴金属ディーラーUSAGOLDのアナリスト、ピーター・グラント氏の意見では、ゴールドマン・サックスのレポートは目新しいものではありまません。「金の産出量はここ数年、ほぼ横ばいで、むしろ金鉱山の発見件数が大幅に減少している」と指摘。さらに、「金の産出が近いうちにピークに達すれば、金相場が総じて支えられると考えるのが論理的」と語っている。
まあ、当たり前の話ですね。とはいえ、いつか枯渇すると言われ続けていた石油がなかなか枯渇しないのと同様に、今すぐ金が無くなり、価格上昇に繋がるというのは早計でしょう。
特に、金は石油のように燃えてなくなるものではありません。地上に存在している金は177,000トン(50mのオリンピックプール3.5杯分)。
採掘可能な金は5万トン程度と言われており、南アフリカなど、採掘の早かった金鉱山は、枯渇気味で、かなりの深度での掘り出しを要求されています。それゆえに、南アフリカの産金量は減少し、労働環境の悪化からストライキも頻発。産金コストの採算も合わない状況。今後、金が枯渇することで、金価格が上昇すれば、新たな金鉱山の開発や採鉱が出てくるため、掘りつくす時期は伸びていきます。
ゴールドコープの資料は、下記、池水雄一氏のレポートを読んでいただくと分かり易いかと思います。やはり、産金コストが問題になっている様子。
ちなみに上記のGoldcorpのスライドの中には世界の主要な鉱山会社の生産コスト(All in Sustaining Cost)が上げられています。それによると1000ドルから1200ドルの間がほとんどの鉱山会社の生産コストになっており、1000ドルを下回ると90%ものゴールド鉱山会社が赤字に陥ることがよくわかります。だからと言ってそれ以上下がらないという根拠にはなりませんが、ゴールドの価格がこれだけのドル高にもかかわらず1150ドル当たりで下支えされているのはこういった鉱山会社の産金コストがマーケットに意識されているのも一つの要因にはなっているのではないでしょうか。池水氏ゴールド・ディーリングの全て
今回のゴールドマン・サックスが出した資料も、このゴールドコープのものが基礎になっている可能性が高いでしょう。もしくは、産金コストから考えて金価格を支えたい意図が出てきたのかもしれません。2015年は米利上げに伴い、金価格下落予想が有力な中で、面白い話でした。
かなり、ツイッターやブログで話題になっています。
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