米国の利上げは金価格や原油に織り込まれているのか?

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世界の金融市場は、オカシイままの状態が継続。原油をはじめとするコモディティ市場が下落し、いよいよ中国経済のメッキがはがれようとしている。

ベン・バーナンキ前FRB議長主導の元に、進んできた先進国の量的緩和。いち早く利上げという正常化を行うはずだった米国は、2015年の10月会合でも利上げできずにいる。

  1. 米国の利上げが近いことで米ドル高
  2. 中国の景気減速
  3. ISIS国およびシリアの内乱
  4. シリアを巡る米ソの対立
  5. アジア圏の米中対立
  6. 原油の大幅下落によるデフレ再燃
  7. 経済減速による通貨安競争
  8. 欧州に殺到する難民と既存文化との対立

金価格に影響を与える要素の中で、問題の大きい事項を取り上げると幾つも出てくる。米国のQE停止で大きく下落した金価格は、利上げを実施すると更に下がるのだろうか?それとも織り込み済みと見ていいのか考えてみました。


現在の金価格に米利上げは織り込み済み?

  • QE1:2008年11月~2010年6月で、1兆7250億ドルの資金供給
  • QE2:2010年11月~2011年6月に実施された量的緩和政策の第2弾で、6000億ドルの資金供給
  • QE3:2012年9月~2014年10月で総額1.6兆ドル

2008年11月~2015年11月1日の金価格:DMMCFD

11月:始値:726.5ドル、終値:818.1ドル

量的緩和開始からのNY金価格月足

2008年11月の量的緩和開始以降、金相場は市場に溢れる低利マネーの受け皿として機能。上昇トレンドを描く。2013年から量的緩和縮小(テーパリング)により下落。

2008年11月~2015年11月1日の原油価格:DMMCFD

11月:始値:67.37ドル、終値:54.43ドル

量的緩和後のNY原油価格の推移

サブプライムローン・リーマンショックで、一気に世界経済が悪化し、下落した原油。その後の量的緩和や新興国ブームで需要が増して上昇。

金価格と原油を比べると、サブプライムローン以後の景気悪化のダメージを大きく受けたのは原油。そして、量的緩和と経済危機の恩恵を受けたのは金価格。現在を見てみると、原油の方は、量的緩和前のレベルへと下落済み。ところが、金相場の方は1140ドルと以前の700~800ドルまでは下げていない。

ファンダメンタル的なコモディティ・金相場の変化は?

原油・天然ガスは、米国・カナダのシェール革命で大幅な供給増。米国が世界最大の産油国化。アラブはイランの経済制裁解除等で供給増加余地あり。銅や鉄は中国の景気減速で資源バブルがはじける。金価格の方は、産金コストの上昇で供給増加が止まりそう。

ただし、現在は、米国が量的緩和による資産買入れを停止しただけで、利上げを実施していない。EU・日本は量的緩和の最中にも関わらず、すでに、原油や銅・鉄などが下げ、中国をはじめとした新興国経済は悪化している。これには二つの見方がある。

  • 量的緩和は経済に全く効果がなく、生産性も上がっていないと見るか
  • 量的緩和がなければ、世界経済は、デフレと景気後退の真っただ中だった

米国が利上げをすると危うい経済状態がどうなるか非常に興味深い

米国が利上げすれば商品及び金価格は?

金価格は、量的緩和で上昇した部分を織り込んでいるとは言い難く、米国が利上げを行えば、下落する可能性が高いのではないか。ただし、産金コストの問題・景気の後退時期はあっても長期的な拡大傾向を考えると、安値での押し目買い戦略は有効と考える。

米国が利上げすれば、金利を生まない金価格や商品は下落し、米ドルや高リスク資産へとお金が流れていく可能性がある。その時に資源価格の下落や米ドル上昇・金利上昇で中国経済は減速していく可能性がある。ジム・ロジャーズ氏の言う人為的な流動性の海

量的緩和やインフレ目標反対派は、量的緩和を上手に終了できないのではないかという事に、懸念を抱いていた。

その懸念が現実化するか杞憂に終わるかの正念場を過ごしている。このような時期は、自身の将来のためにも相場に関心を持つと有利ですよ。金投資・株・ETFなどを見ておきましょう。

オバマとバーナンキ氏が作った中央銀行バブルは、米国・EU・日本と全ての量的緩和が終了するまでの間、大きく株価・債券が下がると支えるための追加緩和が行われる可能性が高い。そこまでは、金融市場は低金利・株高が維持される公算が高い。金投資の出番はその後になる。バブルで起きた資産価格の変化は逆流した時が怖い。綱渡りのような量的緩和が終了する時に、金投資ブームが起きて、金価格が一気に上昇するシナリオが起きえる。

そのため、長期的な金投資を狙うには、米国の利上げを見ながら、下がったところで買い足していく戦略や純金積立でコツコツ買う方針が良い。米国利上げが遠のいて、一時的な上昇局面があれば、それは金相場の売り(ショート)で利益を狙う絶好のポイント。