フランスは、イスラム国と戦争状態にあるとオランド大統領が宣言!パリテロ後の金価格

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フランスのオランド大統領は、2015年11月16日に、上下両院会議の演説で、フランスは戦争状態と宣言。敵は「イスラム国」で、今後、シリア・イラクのイスラム国への空爆を強化すると表明。非常事態宣言は、今後3か月延長を要請。

欧州の大国フランスは、パリの同時多発テロにより、明確にイスラム国と戦う事を決意しました。思えば金利を得られないと価値が下がっていた金価格が21世紀に上昇したきっかけも米国の同時多発テロでした。今回のテロもこのところ冴えない金相場のターニングポイントになるのでしょうか?

パリテロ後のNY金価格

●テロ後の金価格:EVOCX(クリックすると拡大)

テロ後の金価格

現在の金価格はこちら:テロが11月13日(金)の夜にパリで起きた後、月曜日の金価格は2.7ドルの上昇で終値1083.6ドルと小幅上昇レベル。安全資産として買われたものの米国FRBの12月利上げ確率が高いため、積極的に買い進められる状況ではなかった模様。有事の金は、今の市場でそこまで強力な金相場上昇材料ではありません。

また、原油の方も反発。16日のNY原油は、40.06ドルまで下落した後、42.25ドルまで上昇。仏米などがシリアのIS拠点の空爆を強化したことで、中東に関するリスクを見た買いが先行。


世界の危険は増加しているのか?

現在の金相場は、前にも書いた通り、FRBの利上げに左右される展開が続いています。テロ自体は近年、頻繁に起きています。

投資家&ブロガーの広瀬隆雄氏の調査では、2014年の世界全体のテロ件数は16,871件、2013年が12,052件、2012年は8,510件と増加中。ただし、テロが増えている国はイラク・パキスタン・アフガニスタンなど一部の国であり、世界全体の危険が大きく増加しているわけではありません。

イスラム国の実力と支援している国

ハンフィントンポストによるとイスラム国の1日売上は、300万ドル。さらに、イスラム国は、世界各地から支援を受けており孤立無援ではありません。もともとは、アメリカや英国がシリアのアサド政権打倒のために育てた組織やフセイン政権打倒後に政権を追われたフセインに近い軍が加わっています。トルコ・アメリカ・サウジアラビア・イラン・イスラエルなどの一部ともつながりがあるでしょう。

ISが闇市場で石油とガス資源を売って得ている、1日あたりの推定売り上げ。ISは、イラク北部からシリアにかけて存在する複数の油田やガス田を支配下に置いている。アメリカ外交問題評議会のジェニン・デイビッドソン氏によれば、「過激派組織の歴史上、類を見ない量の資源と領土を支配している」という。イスラム国のデータ

欧州の非宗教性と世俗主義

難しいのは、欧州特にフランスで根強い信仰をプライベートな部分に抑える世俗主義です。フランスは、イスラムに限らず全ての宗教的なシンボルを公的に掲載することを憲法で禁じています。信仰はプライベートな領域に止めるという世俗主義の考え方です。

そのため、行政や司法・教育の分野では、非宗教性が重んじられます。この辺りの考え方が公共の場所でのスカーフやヴェールを禁止する「ブルカ禁止法」に繋がり、イスラム教徒の反発を買っています。

欧州に限らず、移民問題で難しいのは、以前から住む住民は、自国文化に同化して欲しいと願うこと。日本のことわざにも「郷に入りては郷に従え」ということがありますね。

私は、欧州サッカーを良く見るのですが、そこには、明らかに人種や宗教差別が存在します。サッカー界にあるというより、社会の縮図たる観客の考え方に黒人・イスラムに対する差別があるからこそ、差別撲滅キャンペーンを大きく展開しているわけです。フランス代表のエースとしてアルジェリア系のジネディーヌ・ジダンがW杯トロフィーを掲げた1998年には、欧州の民族融合の象徴として、フランス代表「レブルー」はたたえられました。それから、17年経ち、残念ながら違いを認め合う方向には進んでいません。

イギリスの階級社会のことも皆さん、ご存じだと思います。もともと階級社会の英国において、移民が階級の上位に来るわけがありません。イスラム系英国人がイスラム国に走る理由は、イギリス社会での分断や恵まれないという不満に理由があります。社会・階級・貧富の差といった不満を募らせた若者が過激派に走ることは歴史が証明しています。

長くなりましたが、イスラム国とイスラム過激派は、欧州の大きな重荷になりそうな予感がします。血で血を洗う復讐の連鎖はなかなか断ち切れません。

ドイツのメルケル首相がシリア難民を受け入れる時に、人道的な問題に加えて、高齢化するドイツ社会の労働力を移民で賄おうという考え方があります。日本もそうですが、少子高齢化で若年労働者が減少する国で、労働者を確保するためにシリア難民がちょうどいいという考えです。現在の欧州に来ている難民は、シリアでも教育レベルの高い人が中心ですから、ドイツで教育をすれば労働者として役に立つという考え方。これが言うは易し行うは難しであることはすぐに分かります。

米国は19州でシリア難民の受け入れを拒否。大統領候補の一人ジェブ・ブッシュ氏は受け入れるべきでないとの考えを表明。

シェンゲン協定

欧州各国を自由に移動できるようにする条約がシェンゲン協定。このシェンゲン協定があるため、ギリシャで入国してしまえば、ドイツやフランスを自由に動くことができます。これがテロリストの跋扈を呼ぶことに。

(注)シェンゲン領域(2013年7月現在)
アイスランド,イタリア,エストニア,オーストリア,オランダ,ギリシャ,スイス,スウェーデン,スペイン,スロバキア,スロベニア,チェコ,デンマーク,ドイツ,ノルウェー,ハンガリー,フィンランド,フランス,ベルギー,ポーランド,ポルトガル,マルタ,ラトビア,リトアニア,ルクセンブルク,リヒテンシュタイン 外務省

ギリシャ危機でも存在した欧州を一つの国にするという実験の矛盾がどんどん出てくることでしょう。短期的には今回のテロの影響が大きく金相場に影響することはなさそうです。しかし、長期的には、下落トレンドになる金価格が上昇していく一つのきっかけになるかもしれません。本格上昇は、米国や英国が利上げを実施し、株価や債券のバブルがはじけた後だと予想しています。それまではコツコツと純金積立やETFを購入していく方が良いでしょう。

この状態が続く限り、有事の金として、金投資がいつ復活しても不思議ではありません。今回のテロが欧州や世界景気にダメージを与えて、更なる金融緩和の必要性に迫られれば、米国の利上げどころではありません。金暴騰のシナリオもまだまだ存在しているのです。