大手投資銀行のゴールドマン・サックスは2月15日のレポートで、2016年2月現在の金価格上昇は行き過ぎで、投資家に対して金相場の売りを推奨。
このところ、世界経済への不安から、株安・リスクオフの動きが出ている中で、金価格は上昇し、1オンス1,250ドル超。しかし、ゴールドマン・サックスは、この動きを行き過ぎと判断。
ゴールドマン・サックスの金相場予想:2016年2月15日
マイナス金利・銀行への信用不安から金投資が増加。ゴールドマンは、中国の景気・原油価格・マイナス金利への懸念が過剰に反映されているとして、金価格は元に戻るとレポート。
ゴールドマン・サックスの金価格予想
- 3ヶ月後には1,100ドル
- 12ヶ月後には1,000ドル
ゴールドマン・サックスとしては、中国経済の減速・欧州銀行の問題が、リーマン・ショック時程にはならず、米経済の景気後退もないとの分析。
金相場の上昇を予想しているヘッジファンド筋の考えは、米国の利上げは中止されるとの見方。
ラリー・サマーズ氏の長期停滞論が的中するか楽観論が当たるかで、ゴールドマン・サックス側は楽観論を取っている模様。
世界及び米経済に問題なければ、米国の金利上昇は金相場の上値を抑えるはずで金は売り。FRBは年3~4回の利上げを行えるかどうかにかかっています。
- 米1月消費者物価指数のコアCPIは、前月比で0.3%、前年同月比で2.2%上昇と大幅なプラス
- 米1月鉱工業生産 (前月比)は、0.9%と大幅上昇
- 第4四半期の米GDP速報値0.7%増と減速
最近の経済指標で見ると、1月の消費者物価指数と鉱工業生産は大きくプラス、GDP速報値は減速という状態。
3月利上げはまだまだ予断を許しません。米FOMCでは、当然、世界経済全体の下振れリスクが議論されており、追加利上げには慎重な姿勢を見せています。
原油相場も減産ではなく現状維持で合意という状態、原油価格の20ドル台はサウジなど湾岸産油国にとっても厳しいレベルだということ。底入れしたかどうかはまだ分かりませんが30ドルを割り込むとOPECはじめ産油国が動いてくると思います。つまり、20ドル台レベルに下がることはあっても長続きする可能性は低いということ。
ゴールドマン・サックスのシナリオ通りなら、現在の株式相場や原油相場はそろそろ底入れし、金投資に回っていたお金が株式及びリスク資産に戻るということになります。確かに金融市場は少し落ち着きをみせています。ゴールドマン・サックスとしては、景気や株式下落にブレーキをかけたい意図もあるのではないでしょうか。
金価格の急騰振りは角度的にも厳しいので調整売は出てくるでしょう。しかし、ここまで拡大した中央銀行バブル、長い眼で見た場合、弾けてしまう可能性が高いと私は思います。
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