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米GDP速報値悪化でリセッション入り懸念が浮上でNY金価格は上昇&日銀追加緩和に失望:2016年8月1日~

日米の金融政策に注目が集まった7月25日週。米国FOMCは、金融政策の据え置きが予想されており、そのまま利上げ見送り。ややリスクが後退したとの見通しも利上げのヒントはなし。金相場には中立。

一方、日本は、追加緩和期待が高まる中、政府の圧力などが噂されたりヘリコプターマネーに関する議論が出たり波乱の展開。発表された追加緩和の規模はETF購入額の倍増・ドル資金供給程度で期待はずれ。直後は円安に動くもすぐに円高へと反落。日銀の手詰まり感が強調された結果に。

7月29日の米GDP速報値が悪かったためもあり、米ドル安・金価格上昇で週末を迎えた。このGDP速報値の悪化は、米経済のリセッション入りという悲観シナリオを引き起こす可能性がある。

日銀の追加緩和に大きく失望した金融市場

●各市場の終値:2016年7月29日 クリックで拡大します。

各市場の価格

データはブルームバーグ&ロイター

●各市場のチャート:GMOクリック証券CFD

チャート

原油は引き続き、下落。白金が上昇。金価格も上昇。

日銀が追加緩和を行ったにもかかわらず、株式市場も為替相場も上昇せず。

黒田総裁は追加緩和に限界はないと話しているも、国債買い入れ額にが当然限界がある。牛さん熊さんブログによると国債買入拡大枠は10兆円程度の技術的な増加余地はあるも、実務的に効果があるのかは疑問。

そもそも黒田総裁は、異次元緩和の時点で、戦力を小出しにするのではなく、全戦力を投入することで、一気に戦局を転換することを目的としていたはず。これは短期決戦を想定しており、ここまで長引くことは想定の中でもリスクシナリオの方だったのではないか。

2016年度の日銀による国債の買い入れは40兆円の償還の乗り換えも含めると120兆円程度になる。来年度のカレンダーベースの国債発行額は、短期国債の25兆円を除くと122兆円となる。つまり日銀はカレンダーベースでの長期国債発行額をほぼ買い入れるが、かろうじて100%は割り込む格好となる。

日銀が量的・質的緩和政策のさらなる拡大をするのであれば、国債買入拡大枠は10兆円程度ではないかとの観測がある。ただし、技術的には可能ではあっても、それは日銀の異次元緩和の出口をさらに遠くにさせることになる

日銀の国債買入の限界

日銀としては、今回、何もしたくなかったはず。政府からのプレッシャーが強かったために、何かをやらざるを得ず、それが、財政政策と合わさることで、質的・量的緩和は効果を上げるとのセリフに出ている。また、黒田総裁は会見で、次回会合で量的緩和の効果について検証すると話しており、ここは気になるところ。

黒田総裁は、「3年3か月前に量的・質的緩和を、ことし1月にマイナス金利を導入した。2%の物価安定目標を早期に実現するのに何が必要かという観点から検証し、今後の金融政策に役立てたい」と説明。検証の次は新たな金融緩和が待っているのではとの指摘に対しては、「今から特定の政策を前提としたものではない」と述べるにとどめた。THEPAGE

2015年5月に日銀が行った2年間の効果検証。実質金利は押し下げ、経済・物価は想定通りも原油価格の下落などで、物価上昇率が低下気味と分析しています。

計測の結果、(1)「量的・質的金融緩和」は、実質金利を▲1%ポイント弱押し下げた、(2)実際の経済・物価は、概ね「量的・質的金融緩和」が想定したメカニズムに沿った動きを示している、と評価できる。量的・質的緩和の効果

実際、金投資にネガティブなニュースが少々出ても、金価格は岩盤のように下値が堅くなっています。一時、年内利上げが後退していたFRBは、秋の利上げ確率が上昇しており、本来は金相場の下落要因。にも拘わらず、金価格は横ばいから上昇しているところは、金融市場全体として不気味なところ。

以前から注目している欧州特にイタリアの銀行危機は、まだ収まらず。欧州銀行監督機構が7月29日に行ったストレステストの結果、イタリアの大手銀行「モンテ・パスキ」の中核的自己資本比率はマイナス2.44%。下位12行には、イタリアのウニクレディト、ドイツ銀行、コメルツ銀行、バークレイズなどが含まれている。これは金価格の上昇要因。

米国GDP速報値の悪化でリセッション懸念が出、ドル安・金価格は高い

7月29日、米国の第2・四半期GDP速報値は、予想の2.6%増を下回る1.2%増(前期比年率)。個人消費は好調も民間投資が大幅減少。

この結果を受けて、米利上げ観測が後退したため、ドル安・金利安・金価格高で市場は反応。

今回のGDPの弱さは、米経済の今後見通しについて、予想が楽観・悲観に分かれている。一部ではリセッションが近づいているとの予測も出ている。もし、リセッション入りとなれば、FRBは十分な利上げが出来ないままに景気後退に直面することになり、大幅な量的緩和再開しか打つ手はない。ローレンス・サマーズ氏の長期停滞論・需要不足などの議論が注目されることになるでしょう。

そうなると、金相場に大きな上昇圧力がかかると予想できる。それこそ1929年の大恐慌時に似ているとの話がかなりファンド・アナリスト・経済学者の間で議論されていますからね。

利上げができず、緩和路線に進み、米経済のリセッションというシナリオに進めば、2008年からの経済危機よりも深刻な事態になることが想定されています。その辺を踏まえて、ジョージ・ソロスなどヘッジファンド筋は金鉱山株・金投資を行っています。

プレスティージ・エコノミクスのジェイソン・シェンカー氏は、早くも2016年終盤のリセッション入りを予想している。カプラン・ダラス連銀総裁は、GDPが改善するまで利上げできないと話しており、彼の言葉通りだとこのままでの利上げはし難い。

●NY金価格チャート:EVOCX

NY金価格のチャート

再び、上昇を描き始めた金相場。ダブルトップになるか、前回高値を抜いて上昇に向かうか注目。

●東京金価格チャート:EVOCX

東京金価格チャート

NY金価格は上昇も円高の影響で、横這いの東京先物の金相場。

来週の主な予定 経済対策決定、米雇用統計にリオ五輪
1日(月)
中国製造業PMI(7月)
中国財新製造業PMI(7月)
米ISM製造業景況指数(7月)
2日(火)
経済対策決定
豪中銀政策金利発表
米個人支出(6月)
米自動車販売統計(7月)
ダラス連銀総裁、講演
3日(水)
内閣改造
日銀議事録
中国財新サービス業PMI(7月)
ユーロ圏小売売上高(6月)
米ADP雇用者数(7月)
米ISM非製造業景況指数(7月)
4日(木)
岩田日銀副総裁、講演
ECB経済報告
英中銀政策金利発表
英中銀四半期インフレ報告
米耐久財受注(6月)
米新規失業保険申請件数(30日までの週)
ダラス連銀総裁、講演
5日(金)
米雇用統計(7月)
第31回夏季五輪リオデジャネイロ大会(21日まで)

クルークニュース

今週は雇用統計&リオ五輪に注目。米雇用統計の数字が良ければ利上げ浮上で金価格は下落。悪ければ、利上げできずに上昇。

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