【戦争とテロの脅威】そして有事の金投資:噂で上昇するも事実で下落

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世界中でテロや戦争は続いています。日本も第二次世界大戦後、朝鮮戦争やイラク戦争に関与していますから、無縁だったわけではありません。戦争やテロがあると資金が金投資に向かうため、金価格は上昇しやすい。

資産運用のセオリーとして、有事の金は有名な言葉。

しかし、有事が起きそうになってから、慌てて買っても遅いどころか損をすることも多いのが現実です。なぜなら、噂で買って事実で売ることがしばしば。

戦争と金投資

戦争が起きたら、金を持って国外に逃げよ。・・・というのは、欧米で言われている言葉。地続きの欧州では、ローマ帝国からナチスドイツ。ユーゴスラビア紛争・中東からの難民と戦争が頻繁に生じています。

自分の住む国や地域で、戦争が起きたら、土地や銀行預金を持って逃げるのはムズカシイ。そのため、宝石やゴールドを持って逃げるのが定石。

戦争と金投資

かのサッカー日本代表監督を務めたヴァイッド・ハリルホジッチ氏は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナのモスタルという町の出身。ユーゴスラビアの分裂・崩壊・戦争に巻き込まれます。サッカー選手として築いた資産・自宅・飲食店・ブテイックなどの全てを失います。戦争反対を訴えるも命すら失いかねないリスクにさらされて、フランスへと脱出して、指導者として、いちから始めることになりました。

では、日本をはじめとした現実での金投資はどうなのでしょうか?

リスク回避の金買い

金融市場では、リスク回避という言葉があります。リスクの少ない時は、高金利・高収益が期待できる資産に投資した方が儲かります。そのため、新興国株や高金利通貨への投資が増えて、価格も上昇。

そこに、戦争・紛争・経済危機といったリスクが襲いかかると、逆の動きが起きます。高金利・高収益の資産から低金利・低収益の資産へとマネーが移動するのです。これが、リスクオンとオフの動き。

金は、金利を生まない資産ですから、リスクオン(リスク選好)時には、不利な資産。同じような資産にクラスとして、日本円やスイスフランがあげられます。

  • リスクオン(選好):売り優位で、金価格は下がりやすい
  • リスクオフ(回避):買い優位で、金価格は上がりやすい

規模の大きい戦争は、リスクの最たるものですから、戦争の時には、金投資のニーズが増えて、金価格は上がりやすいと言えます。

有事の金と戦争の規模

有事の金という言葉が、特に有効だったのは、1970~80年代のこと。冷戦のさなかで、ソ連のアフガン侵攻やイラン・イラク戦争・石油ショックと大規模な有事(戦争・ハイパーインフレ)が生じて、金価格は急激に上昇しました。

過去の金価格の動き

ところが、第二次石油危機をピークに、戦争が起きても、金価格の上昇幅が小さくなりました。イラクのクウェート侵攻から湾岸戦争やソ連崩壊といった有事や戦争が生じても、以前のように、大暴騰を見せることがなくなったのです。

イラクがクウェートに侵攻した1990年8月。そして。米国が派兵を開始した湾岸戦争時には、有事の金が期待されて、金価格は上昇。ところが、戦争がはじまると金価格は下落してしまいました。いわゆる噂で買って事実で売る。

ソ連のアフガン侵攻そしてイラン・イラク戦争ともに、軍事攻撃と共に、金価格は下落していますが、上昇幅自体は大きなものでした。

噂で買って事実で売る

これには、いくつかの理由があります。

噂で買い、事実で売る

1.戦争の規模:イラクを巡る湾岸戦争は、原油という物資の奪い合いの側面がありました。しかし、オイルショックを経て、北海油田・メキシコ湾など代替油田が増えており、世界経済に与える混乱は少ないとの読み。第三次世界大戦に発展する気配はなく、地域紛争に過ぎないとの見通し。

2.多様な金融資産と金融技術:リスク時のヘッジとして、オプション・先物売りなどのデリバティブが発展し、以前よりも金に頼る必要がなくなりました。株価下落を見越して、先物で売っておく。中東が危険であれば、アジアやインド・南アメリカに投資するなど国境をまたいだ投資が可能になりました。

3.リスクシナリオが実現しなかった:噂で買う時は、ベストからワーストまで幾つかのシナリオを予想します。有事が起きる前は、予想シナリオの中でも悪い方を採用することが多いのが通例。最近の北朝鮮情勢やIS問題でもそうですよね。しかし、現実には、最悪シナリオは、起きにくいもの。大体は、有事が起きても、ベストとワーストの間で着地します。すると、悪い方を予想して保有したポジションを減らして、次の事態に備えることになり、買いこんでいた金の買いポジションを減らすという動きが起きやすくなります。

同時多発テロと混乱の時代

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特に、ソ連崩壊後、金価格は下落。これは、冷戦の終結で、世界が平和になったことが最大の要因。【平和の配当】とも呼ばれており、軍事費負担が減った米国は、IT技術をはじめとした先進技術で世界をリードして、株式市場が大幅に上昇する時代がスタート。そのため、相対的に金投資の魅力は弱まりました。

ワーストシナリオが現実化した二つの出来事

ところが、2001年の同時多発テロで、事態は変化します。

同時多発テロの発生で上昇金価格は、その後に下落。しかし、これは、その後に続く対テロ戦争の予兆でしかなかったのです。イラク戦争・アフガンのタリバン・ISへと続く対テロ戦争へのきっかけに過ぎませんでした。そのため、細かい動きでは、噂で買い事実で売るというセオリーが機能しながらも、中長期的な金価格のトレンドは上昇へと変化しました。

次に、2007年のサブプライムローンから08年のリーマンショックからの量的緩和時代によって、金価格は大幅に上昇。こちらもリーマンショック直後は、金相場も一時的に下落したものの、その後に大幅上昇という流れを描きました。

この二つの出来事から、世界中を混乱に巻き込むような経済危機や戦争が起きた時には、中長期的な金価格のトレンドは上昇を描きやすいと言えます。金価格と有事の関係は、前段階(噂)で上昇、発生(事実)で下落。有事の規模が大きければ上昇し、影響範囲が小さければ下落。

テロの状況:参考

優秀な人材は欲しいが、社会保障に依存する人はいらないという、どの国にも共通する思惑が浮かび上がってくる。移民をどのように社会に受け入れ、自立させていくかが、ドイツのみならずどの国の移民政策にも共通する課題だろう

ドイツは人種のサラダボウル?

現在は、シリア問題・テロとの戦争・キリスト教徒とイスラム教徒の折り合いが有事の要因。

テロリズム

戦争・有事で慌てて金投資をするのは損か得か?

さて、ここまで、読んでいただいた皆様なら、この質問に正解できると思います。今も北朝鮮やイランの核開発問題や中国の膨張政策など有事のタネはたくさん。トランプ大統領の好戦的な姿勢が戦争を招くという見通しもマスコミに登場しています。

有事の金だ・戦争だとマスコミに煽られて、金投資をするのはお得とは言えません。ヘッジファンドをはじめとした投資家・金融機関が、【有事の金】をネタにしたポジショントークを広めて、個人投資家に買わせるのが目に見えていますからね。彼らは、煽るだけ煽って、上昇したところで、売り場探しをしています。となると、噂で買って事実で売るで損をするのは、情報不足の個人投資家。噂の段階で買える自信のある方だけにしておいてください。その場合も、売り時を間違えれば、本当に噂だけに終り、失敗談だけが残らないように。

戦争に備えた金投資は、コツコツ買い

金投資のプロを除く一般の方々に言えるのは、安全資産に徹すること。何もない時に、コツコツと金を買い集めるか分散投資を心がけて、資産の一部を金に振り分ける。戦争を予想・期待して、金投資なんて、精神衛生上も良くありません。

もしも、核戦争や日本を巻き込んだ第三次世界大戦が起きたならば、自分や家族の命を守るのが最も大事で、株式や金投資どころではありませんしね。万一の戦争リスクが不安ならば、金地金や金貨・金ETFを保有しておくだけで、安心感を得られると思います。