1兆ドルのインフラ投資を米国のトランプ大統領が公約し、金・銅・鉄など資源価格の動向に注目が集まっています。通貨の役割を果たす金価格に対して、銅や鉄などの資源は景気動向に左右されやすい。
オバマ大統領時代の再生可能エネルギー・IT路線から、インフラ整備・石油、石炭を重視するエネルギー政策にチェンジしました。日本の民主党もコンクリートから人への投資路線に進み、その後、自民党が列島強靭化計画を進めたのと似た動きです。
カリフォルニア州のオーロビルダム決壊リスクのニュースは有名。1963年に建設されたダムで、なかなか予算がつかなくなっている。黄金の1960年代に完成したインフラは50年を過ぎた今、あちこちにガタがきている状態。それゆえに、トランプ政権のインフラ整備計画がはじまり、銅価格はすでに上昇しています。
景気を引っ張る銅価格
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エコノミストに寄稿している銅の専門家。「芥田 知至」氏の寄稿をまとめてみました。
中国の銅輸入は大幅増加
銅の最大消費国中国は、2016年10月下旬あたりから、自動車販売などの個人消費が増加。政府による景気対策で、インフラ投資が増加。
中国の景況感指数(PMI)は、2016年の秋から上昇。
減少していた銅の輸入が増加するとの期待感が増している。
2017年1月13日に中国税関総署が発表したデータでは、2016年の銅鉱石輸入量は2015年と比較して28.1%の大幅増加。
●2016年の銅鉱石輸入量は1696万トン。輸入額は1365億7131万元(約2兆2748億円)
一方、中国の全人代では、経済成長率目標を6.5%前後に引き下げ。銅需要が減少するとの見通しで価格は下落。
トランプ政権によるインフラとインフレ
トランプ政権によるインフラ投資とインフレ期待は銅需要を高めるため、銅相場を上昇させることに繋がった。
2011年に1トン1万ドルを超えた後、2016年1月に4318ドルの安値に下落。2016年10月から上昇をはじめて、11月に6000ドル台を付けた。
●銅価格の年次推移:出典世界経済のネタ帳
ただ、米国の需要(年間約180万トン)が増加しても世界需要(年間約2300万トン)に与える影響は小さいとの話もあります。
チリとインドネシアの供給
チリの世界最大の銅鉱山「エスコンディーダ鉱山」でストライキ。ここは、2015年の生産量115万トンで、世界の約6%を占める大規模鉱山。権利の過半を持つBHPビリトンは、不可抗力条項の適用を宣言して、スト中は、生産活動を停止。
チリのエスコンディダ鉱山は世界最大の銅の生産を誇るが、ここの労働者は2月9日から賃金引き上げを要求してストライキに突入、2か月間はストを継続する用意があると2月10日に語った。ラテンアメリカの政治経済
そして、インドネシアは、政府が外資系企業の出資比率引下げを求める規制変更を実施。米国のフリーポート・マクモランは、2月18日にインドネシアからの出荷に対して不可抗力条項を適用。製錬所でのストライキもあり、銅生産は混乱。
政令は11日付で12日に公表された。輸出の条件として、外資企業には製錬所の生産開始から10年以内に株式51%をインドネシア側に売却することを義務付けた。COW(旧鉱業事業契約)保有者についてはIUP(鉱業事業許可)、IUPK(特別鉱業事業許可)への切り替えも求められる。また、鉱業権の更新時期については、これまで期限の2年前からとされていたが、5年前から更新できるように改正した。鉄鋼新聞
銅はここ1年で25%余り上昇。中国からの持続的な需要や、トランプ米大統領が掲げるインフラ投資拡大と減税への期待が背景にある。英豪系BHPビリトンなどが運営するチリのエスコンディーダ鉱山でのストライキの可能性や、米フリーポート・マクモランがインドネシアで運営するグラスベルグ鉱山から未加工の銅の輸出が停止されたことで、価格上昇が続く公算が大きくなっている。ブルームバーグ
芥田氏の予想では、2017年の銅価格は、チリ・インドネシアの鉱山状況・米中の経済政策を材料として乱高下する可能性がある。世界景気が拡大していけば、6000ドル台をキープしつつ、緩やかに上昇。
インフレ・資源への投機マネー流入が起きていけば、銅及び金相場は緩やかな上昇カーブを描く可能性があります。通貨としての金に対して、純粋に景気に左右されやすい銅価格の動きを見ておきましょう。
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