NY金価格は、1250ドルを割り込む下げを見せるも、6/22に上昇へと転じて1250ドルをオーバーして引けました。1240ドルがサポートラインになります。
最終的に、米ドル安・世界的な景気不透明感・米利上げ予測の後退などで金が買われる動きを見せており、FRBの金融引締め路線に対して敏感な相場が続きそうです。
◆各金融市場の日足チャート:2017年6月25日 GMOクリック証券のCFD
金・銀・白金は、週末にかけて上伸。日本株・米株は高値更新も週末にかけて下落。英株は崩れつつあります。
原油も下落トレンドが続いているも42ドル台は下げ止まりか踊り場。
ブラジルをはじめとした新興国株は米国の利上げによる衝撃を受けるかどうか注目をしたいところ。米国の利上げ&バランスシート縮小は、量的緩和の逆となり、新興国市場から資金が引き上げられる可能性があります。
欧米各国の政治的状況
引き続き、欧米の政治経済状況が金価格に影響を与える相場が続きそうです。
米国トランプ政権の弾劾はピークを過ぎる?
著名投資家のガンドラック氏は、反トランプのピークは過ぎたとロイターで伝えており、ロシアゲート疑惑での弾劾・失墜を逃れた可能性があります。
もちろん、米主要メディアは、最後まで反トランプの姿勢を崩していません。ただ、有力ヘッジファンドをはじめとした投資家の一部は、トランプ政権を評価しており、株価・経済成長率など米指標は順調であり、経済的には成功をおさめています。FRBが金融引締めに動く程、順調かには疑問の余地ありですけどね。
トランプ政権は、オバマ政権が進めたキューバとの協力体制を変更し、渡航制限強化や国営企業の取引禁止を打ち出しました。
さらに、2010年に導入された金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しに着手しはじめ、「経済の機会を創る金融システム」と命名した見直し案を公表。
DF法改正案:6月2日に改正案が下院を通過。
欧州の政治状況
フランスは、マクロン大統領のグル―プが350議席を確保して大勝利。過半数を超えたことで、政治的な安定度は増したはず。
しかし、マクロン政権のバイル法相・グラール国防省・フェラン国土整備相・ドサルネズ欧州問題担当相と4閣僚が辞任。これからの政権運営が思いやられます。
欧州では、いくつものテロが生じており、治安維持も心配。
英のブレグジットは、6/19にEU離脱交渉がスタート。お互いに譲らない姿勢から始まっており、どの程度まで譲り合うか次第。600億ユーロの手切れ金・自由貿易協定交渉など課題は山積み。
日米の金融政策:米国の金融引締め路線
日銀は6月の金融政策決定会合で、現状維持を可決。出口戦略の議論も早いと却下。
米国の金融引締め路線・ECBの緩和終了も近い中で、日本だけは現状維持を貫く構え。
米国の金融引締め・日本の現状維持が続くならば。。。。金融市場は下記のようになりやすい。
- FRBの国債売却で長期金利は上昇
- 長期金利の上昇で米ドルも上昇
- 金利が付かない金価格は下落
- 国債金利の上昇で魅力の薄れるジャンク債は下落
- 米金利上昇で魅力の薄れる新興国株式は下落
- 米金利上昇で米株式は下落
あくまでも金利面だけから見た現象であり、規制緩和やインフラ投資による米株式上昇分などと相殺される分もあるはず。
そういった点では、ジャンク債・新興国株式のリスクは高いと思います。金価格も長期金利が上昇していく局面では、下落リスクが高い金融商品の一つ。
しかし、FRBの考えるシナリオ通りに、利上げ・バランスシート縮小が行われるとは、マーケットは考えていません。どこかで、引締めの行き過ぎがあるのでは予想されており、またまた緩和路線への逆回転も想定しておきましょう。それが起きたら金相場の上昇が始まるでしょう。
●NY金価格の日足チャート:EVOCX
1240ドル台をサポートに、上昇へと転換。今回の波動は、上昇パターン・下降パターンのどちらを描くだろうか。
●東京金価格の日足チャート:EVOCX
東京金価格は横ばい状態を継続。一目均衡表の雲がよわ回っており、方向転換の動きに注意。
■来週の注目スケジュール
6月26日(月):独IFO景況感指数、米耐久財受注など
6月27日(火):資金循環統計速報、中工業利益、米消費者信頼感指数など
6月28日(水):米卸売在庫、米中古住宅販売成約指数など
6月29日(木):ユーロ圏景況感指数、米1-3月GDP確報値、米韓首脳会談など
6月30日(金):鉱工業生産指数、中製造業PMI、米個人消費支出など
7月 2日(日):東京都議会議員選挙の投開票などフィスコ
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