シャーロッツビルの衝突事件でトランプ大統領の政権維持に大きく疑問が生じて株価が下落:2017年8月21日週の金相場見通し

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貴金属は全体的に高値基調を継続。北朝鮮問題については少しトーンダウンしたものの新たな材料が二つ勃発。

8月17日にスペインバルセロナでのテロ事件、18日にフィンランドのトゥルクでのテロ事件が生じたことで、テロへの不安感からリスク回避の動き。さらに、15日に米バージニア州で起きた白人至上主義派と反対派が衝突した事件で、トランプ大統領が双方に責任があると発言し、白人至上主義に対する批判を行わなかったとされる件が大きく拡大し、今後の政権運営に対する不安から金価格の上昇・株価の下落に繋がっています。

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NYダウも下落

NY金をはじめ貴金属は上昇傾向及び前週末とほぼ変わらずの動き。NYダウがついに下落に転じる。株価の下落が一時的なものかどうかの確認が大事。

トランプ政権がガタガタになりつつあるシャーロッツビルの衝突事件

バージニア州シャーロッツビルには、南北戦争で活躍したロバート・E・リー将軍の銅像があり、この像を撤去するかどうかを巡る論争が繰り広げられていました。

2016年3月、シャーロッツビルの副市長ウェス・ベラミーは、地元の市議会にリー将軍像を撤去したうえで公園の名称を変更することを要求したことを、像の近くで行われた記者会見で発表した。

ベラミーは、リー将軍像によって市の地位は下がっているとし、「この像と公園の名前のせいで足を踏み入れるのも嫌だと思う様々な人と、私は意見を交わした。そして我々はシャーロッツビルの町にこのようなものは置くことはできない」と述べた。リー将軍像の撤去計画

リー将軍は、南北戦争において、劣勢の南軍司令官として活躍した名将。この南北戦争が奴隷解放戦争だったことから、奴隷維持側だった南軍の将軍の銅像を飾るとはいかがなものかと考える側に対し、敗れたとはいえ南軍の名将だった人物の銅像を撤去するのはいかがなものかと言う側の対立。

もちろん、両方に極端な考えを持つ人がおり、その両グループが激しく衝突しました。

なかなか難しいですね。日本においても足利幕府を開いた足利尊氏を朝敵として扱った時期がありましたし、江戸幕府に対しても同じような考え方の時期がありました。歴史的偉業や人物に対する評価を現在の考え方で全て下すのは危険だとは思うのですが。一方で、白人至上主義団体が、この問題に参加しており、そちらのメッセージにも賛同できません。人種差別を行うことは、現代社会で最も批判される考え方の一つですから。

トランプ大統領は、この衝突事件自体については非難していたものの発言が二転三転した面もあり、リベラル派への攻撃材料を与える結果になりました。

12日の事件直後は、このような発言で人種差別主義者やネオナチに対する批判が無かったことから集中砲火を浴びる結果に。

トランプ氏は12日、ニュージャージー州で記者団に「様々な側から(on many sides)もたらされる憎悪、偏見、暴力に、可能なかぎり最も強い言葉による抗議を表明する」と語った。アメリカNBCのホワイトハウス担当記者、ハリー・ジャクソン氏が「様々な側から」という言葉の意味をホワイトハウスに確認すると、「大統領はあらゆる原因、あらゆる側からもたらされる憎悪、偏見、暴力に抗議している」との回答があったという。ハフィントンポスト

現地の米国にいない人間としては、上記の発言自体は妥当だと思うのですが・・・集会参加者の雰囲気・状況が良く分からないために判断しかねるところ。

14日は、極右(白人至上主義・ネオナチ)に対する批判を行ったものの、17日には、またもや火に油を注ぐような発言を行いました。

トランプ氏はツイッターで「美しい記念碑や銅像の撤去でわれわれの偉大な国家の歴史と文化が散り散りになるのを見るのは悲しい。歴史を変えることはできないが、そこから学ぶことはできる」とつぶやいた。「ロバート・E・リー、ストーンウォール・ジャクソン(両将軍)の次は(ジョージ・)ワシントンと(トーマス・)ジェファソンか。ばかげている」と続けた。ニューズウィーク

さらに、極右集団のオルト・ライトに対して突撃していったオルト・レフトはどうなんだ?と記者団に疑問を投げかけています。

政治的な正しさが重視される現在の世界では、危険な発言のオンパレードながら、トランプ大統領は、それを旗印に大統領になった人物ですから、本音一本槍で通したいのでしょう。共和党の一部からも大統領の発言は米国民を分断しているとの批判が上がっています。

米国内の分裂は、トランプ大統領の誕生からこれまでの中で、激しさを増しており、今後の政策実行において、反対勢力の抵抗も強まるでしょう。それは、政策実行ができなくなるリスクをはらんでおり、米国の政治経済においてマイナスになりえます。

これまでは、米国政治の混乱による米ドル安が、経済に好影響を与えていましたが、そろそろ本格的に税制改革をはじめとするトランプラリーにも疑問が生じています。それゆえに株価下落・金価格の上昇に繋がりました。

この事件の影響もあり、トランプ大統領は、ツイッターで、「製造業評議会と戦略・政策フォーラムにいる経営者たちに圧力をかけるよりも、両方終わらせることにした」として、2つの諮問会議を解散。

さらに、8月18日に、スティーブ・バノン主席戦略官が辞任。反グローバル・米国第一を旗印にしていた彼が事実上の解任に追い込まれています。最終的には、北朝鮮問題において軍事的解決はないという発言を行うなどトランプ大統領の意向に逆らったことが要因と言われています。彼はシリア爆撃にも反対しており、クシュナー氏などのグル―バル派との権力闘争に敗れたとの見方もあります。

◇トランプ政権高官の辞任・更迭
2月13日 フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)
5月 9日 コミー連邦捜査局(FBI)長官
18日 ダブキ・ホワイトハウス広報部長(辞表提出。その後しばらく職務継続)
7月21日 スパイサー大統領報道官
31日 プリーバス大統領首席補佐官
同 スカラムチ広報部長
8月18日 バノン大統領首席戦略官・上級顧問

時事通信

これでは、とても政策どころではありません。市場が期待している減税やインフラ投資に対する不安感が大きく煽られており、株価は下落・金相場は上昇という反応を見せています。

お盆明けやジャクソンホール会合などで、金価格も動きそう

◆NY金価格の日足チャート 2017年8月20日 EVOCX

NY金価格の動き

◆東京金価格の日足チャート 2017年8月20日 EVOCX

東京金価格の日足チャート

北朝鮮問題はやや落ち着くも米国政治が大きなリスク。また、8月16日公開のFOMC議事録では、物価の不確実性への警戒と労働市場や金融市場の過熱リスクが指摘されており、どちらを優先するかが課題となっています。

バランスシート縮小は行っても利上げは延期というシナリオが有力になるかもしれません。

さて、8月24日から26日のジャクソンホール会合では、ドラギ総裁とイエレン議長が登場するため、中長期的な金融政策の方向性やどの程度のインフレを妥当とするかなど重要な発言が出てくるかに期待が集まります。具体的な利上げ時期等はなくても重要な講演になるでしょう。

■来週の注目スケジュール
8月21日(月):全産業活動指数、百貨店売上高、米韓合同軍事演習開始など
8月22日(火):全国スーパー売上高、中景気先行指数、米FHFA住宅価格指数など
8月23日(水):独製造業PMI、米新築住宅販売件数、ユーロ圏総合PMIなど
8月24日(木):米中古住宅販売件数、ジャクソンホール会合など
8月25日(金):消費者物価コア指数、独IFO景況感指数、米耐久財受注など

フィスコ