世界的な株式市場急落の流れは、一喜一憂しながら継続。米10年債の利回りは、2.85%と高い水準を維持しており、VIX指数の急上昇を受けてのポジション巻き戻しの動きは、まだ続くとの予想が多い。以前より囁かれていた実体経済との乖離とデリバティブ取引の増加が下落幅の拡大を助長しています。
今回の株式市場下落は、原油相場の下げも同時に起きています。そのため、インフレ率の上昇にも歯止めがかかり、FRBの行動はハト派に傾くと思いますので、ポジションの投げが落ち着けば、収まるのではないでしょうか。ここは、パウエル新FRB議長が金融市場との対話を重視するのかインフレ率などの原理原則を重視するのかの試金石になります。
世界株式下落でも金価格は下がらない?
◆金価格をはじめとした日足チャート 2018年2月11日 GMOクリック証券のCFD
米ドル/円及びユーロ/ドルの日足チャート
米ドル/円は、株式市場に比べて反応は小さいものの米ドル安円高方向。ユーロ/ドルは、株式市場の下落を見て、増えていたユーロ買いのポジションを処分する方向に進んでいます。
ドイツの連立にメドが立ちつつも、イタリア総選挙に対する不安感も生じています。
米ドル安は金価格上昇の材料でもあり、株式暴落の中で、金相場が落ち着いているのは、その要因もあり。
また、ビットコインをはじめとした仮想通貨のトラブルも金投資の需要を増やしますから、コインチェックをはじめとしたハッキング問題が深刻化すればプラス要因。
◆NY金価格の週足チャート
米国債の利回り上昇は、ドル高及び金利面で金相場には不利ながら、資産価格下落の受け皿となるため、大きな下げは見られず。
12日には、米国の2019年度予算教書が公表される予定。連邦政府予算の歳出上限を2年間で3000億ドル増す計画があり、インフラ投資が本格化。トランプ大統領は公約を着実に実行しており、この計画も成否は別にして進めていくでしょう。そうなると、国債の増発・長期金利上昇圧力に繋がります。一方、株式市場の一部は、インフラ投資を歓迎しますから、市場がどう判断するか注目です。
平昌五輪の最中もあって、北朝鮮の地政学リスクは中断中。確実に、核攻撃能力は上昇しており、米国の攻撃リスクは常に存在します。北朝鮮への経済制裁は、効果を上げつつあり、窮乏状態は、増している様子。更なる制裁強化を実施する可能性を米国側は示唆しており、北朝鮮側の反応次第で、金価格が急上昇する場面もありえます。
いずれにせよ、株式市場・金利市場の動きが、今週は波乱含みであることを意識した金投資が必要です。
■来週の注目スケジュール
2月12日(月):米財政収支、米2019年度予算教書、中元建て新規貸出額など
2月13日(火):英消費者物価コア指数、コインチェックの金融庁への報告提出期限など
2月14日(水):GDP速報値、独GDP速報値、米小売売上高、ユーロ圏鉱工業生産指数など
2月15日(木):機械受注、米鉱工業生産指数、米フィラデルフィア連銀景況指数など
2月16日(金):米ミシガン大学消費者信頼感指数速報、故金正日氏の誕生日などフィスコ
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