テザー(Tether)のドル交換は機能するのか。ビットフィネックスのヴァンデルベルデ氏に仮想通貨を委ねていいの?

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仮想通貨のスキャンダラスな事件が、次々と起こり、リスクを嫌って金投資の方に逃げている方も相当数いる様子。その中でも仮想通貨の発行を行うテザー社と仮想通貨取引所のビットフイネックス社の経営陣は同じであり、テザーという仮想通貨の裏付けが本当にあるのか疑問を持たれています。

ちなみに、貴金属商のSharps Pixley社やCoinInvest社は、ビットコインの下落によって、金投資の人気が大幅にあがったとブルームバーグに説明。


大規模な価格上昇は、持続不可能であり、神経質になっている。デジタルな仮想通貨は、従来の安全な避難資産よりもはるかに高いリスクレベルにあることが人々に認識されてきた。ブルームバーグ

日本では、コインチェック社の盗難事件の方が大きな話題になっていますね。しかしテザー&ビットフィネックス社の方が、本命になるリスクあり。仮想通貨を軌道に乗せる寵児になれるのか、それとも南海泡沫事件で多くの出資者をどん底に突き落としたジョン・ローになるのか、これからのニュースを待ちましょう。

テザーショックとは

さて、まずは、テザーショックについてです。

仮想通貨の中でも、特殊なポジションにいる「Tetehe(テザー)」。ビットコインなどと違い、レートが米ドルとの固定。

テザーは、米ドルとの1対1の交換比率を維持することを存在意義としている仮想通貨。このあたりは、金本位制で、金の裏付の元にドルを発行していた時代と似ています。

そのために、テザー社は、流通しているテザーと同額の米ドルを保有していなければいけません。そうすれば、テザーを保有しているユーザーが、米ドルとの交換を望んでも対応することできます。

しかし、増大する戦費などを賄うために、米ドルの発行量が増えて保有している金以上の増刷を迫られたために、金本位制は放棄されました。それと同じような事態がテザーで起きているのではないかとの疑いが出ているわけです。

日本ではなじみの薄いテザーは、他の仮想通貨を取引する時に便利な通貨「ファンディング・カレンシー」として利用が多い。中国の投資家はこのテザーを使って、他の仮想通貨に投資する方法が主流。

特に中国の投資家は中国政府の仮想通貨取引の取り締まり強化で、トレーディング活動を国外に逃避させる必要がありました。そこでまずオフショア・ドルをテザーに換え、それをいろいろな仮想通貨に投資する際の決済通貨としたのです。MARKETHACK

ところが、2018年1月31日にCFTC(米商品先物取引委員会)が、テザーに不正の疑いありと調査をスタート。テザーは、顧客から受け取った米ドルを他の仮想通貨に交換しており、米ドルの在庫はないのでは・・・との疑問が浮上。

仮想通貨が高騰している局面で、米ドルを眠らせているよりも、仮想通貨にした方が儲かります。さらに、新たにテザーを発行することで、仮想通貨市場に資金が導入されて価格が上昇するという循環も・・・疑問。

場合によっては、経営陣の意向でいくらでも新通貨を発行できるという法定通貨以上にダメなルール。

そうなると、ビットコインをはじめとした仮想通貨の上昇は、資産の裏付けを持たないテザーという通貨が理由となり、疑問が本当だった時に、大幅な下落に見舞われることになるでしょう。

なお、テザーは、透明性をうたっており、所有しているテザー及び法的通貨の額を公開しています。この数字が正しく、流用も行われていなければ問題はありません。テザー:現在の資産額

以前の話ながら、台湾銀行とウェルズ・ファーゴの大手銀行がテザー&仮想通貨取引所のビットフィネックスとの取引を停止という話も。

テザーの新規発行に関する統計分析を上杉周作さんという方が和訳した内容。原文は匿名とのこと。

・テザーによる価格上昇が人々の心理的効果を誘発した部分を差し引いても、ここ1年のビットコイン価格上昇の「半分近く」はテザーによるものでは
・テザー発行時の取引データはベンフォードの法則に当てはまらず、作為的な結果生まれた数字である可能性が高く、徹底的な調査が必要
・調査により非公開情報が入手できればより正確な解析が可能
・テザーが何も悪事を働いていない可能性もあるが、監査を受け入れ透明性の向上に努めるべき

テザーレポート

テザー&ビットフィネックス社の経営陣:謎のCEOがヴァンデルベルデ氏

そして、仮想通貨の根幹をなすビットフイネックス社とテザーの経営陣はどのような人物なのかはっきりとしたことは分かっていません。ちなみに、仮想通貨取引所の取引高ランキングはこちらで確認できます。ビットフィネックスは、2018年2月14日現在だと6位。

マシュー・ダ・シルバ氏のレポートによると・・・

◆最高戦略責任者のフィル・ポッター(Phil Potter)さんは、元モルガン・スタンレーの社員。1994年にイェール大学を物理学専攻で卒業し、ヘッジファンドに勤務後、モルガンスタンレーに就職。しかし、NYタイムズの取材で贅沢なライフスタイルを公開したことが問題視されて解雇となっています。

◆最高財務責任者のGiancarlo Devasiniさんは、マイクロソフトソフトウェアの海賊版を販売していたとの話が出ています。

◆CEOのJean-Louis van der Velde(ヴァン・デル・ヴエルデ)さんは、香港在住のオランダ人。1985~1988年に台湾師範大学で学ぶ。仮想通貨市場に大きな影響力を持つ人物ですが、ほとんど情報はありません。グーグルで検索しても過去の経歴・事跡などは上記位でしか出てこない謎の人物。

ちなみに、2016年には、Bitfinexでハッキングが発生し、被害額は120,000BTC(6億8400万ドル)とのこと。全顧客資産の36%にも相当する金額。

被害者にBFXトークンを発行して、損失を補てん。これを株式に転換もしくは償還することになります。そして、2017年4月に償還完了をPR。コインチェックもコインチェックトークンや債券を発行して真似してみるのはいかがでしょう。

テザーの価格は誕生以来ほぼ常に1テザー=1ドルで推移してきた。テザーの背後にある企業が1テザーに対して1ドルの準備金によって保証していると言明してきたからだ。つまり、8億1400万テザーが流通している限り、どこかの銀行に8億1400万ドルが準備されているということだ。 誰もが信じられる話ではない。ブロックチェーンと仮想通貨新興企業のリスク分析を手掛けるティム・スワンソン氏は「どこに証拠があるのか」と問い掛ける。ブルームバーグ

仮想通貨の将来がどうなるのか見通すのは、難しい。しかし。少なくともテザーへの信頼性はかなり危ういと思います。

中央銀行及び政府の発行する通貨は信じられない。彼らは自身とウォール街の利益のために、量的緩和をはじめとした金融緩和でお金の価値を失わせたとの批判が米国であることは、承知しています。それゆえに、代替資産である金投資があり、いまだに金本位制に戻そうという議論も成り立っているのです。

しかし、現状の仮想通貨は、中央銀行ではなくテザー&ビットフィネックス社に通貨供給量を委ねているのではないでしょうか。彼ら自身が、危うい橋を渡るような事業運営をしており、高いモラルを期待するのは難しいのではないかと。

それに、そもそも米ドル及び中央銀行とそこカルテルに対する不信感から生まれたのであれば、米ドルとリンクした通貨=テザーが基本にある仕組みでは、自国通貨に不安を持つ・米ドルが使えない層に対する代替通貨の範囲を超えないレベルの話です。それはそれで、便利なんですけどね。世の中には、米ドルやユーロ・日本円など安定した通貨を使えない国や地域もまだまありますから。

ジョン・グリフィン教授が、テザーによるビットコインの相場操縦を指摘

2017年12月に急騰したビットコイン。これに、テザーが一役買っていたことをテキサス大学のジョン・グリフィン教授が2018年6月13日のレポートで分析。

●ビットコイン相場上昇のメカニズム

  • テザーの大量発行
  • ビットフィネックスなどの仮想通貨交換業者に移管
  • ビットコインが下落すると、ビットフィネックスなどの交換業者はテザーを使い協力してビットコインを買い支え

2017年3月から18年3月の一年間に、このようなパターンが見られているとのこと。

なお、ビットフィネックス&テザーの経営を行う、ヴァンデルヴェルデ氏は、相場操縦に関わったことはない。テザーがビットコインや他の仮想通貨の価格上昇に利用されることはないと反論。

このテザー問題は、CFTCが調査を進めていますが、仮想通貨の価格操作に携わった疑惑が長引いており、なかなか収まる気配を見せません。