金価格の3大上昇・下落理由とは?過大評価の可能性あり!

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金価格の上昇・下落要因の中で、重要な3つの要素を記載したコラムがありました。多くの点で同意できる内容。Sunshine Profits (Arkadiusz Sieron)

金融商品・資産としての金で、最大の特徴は、利子がつかないこと。そのため、キャッシュフローは、発生しません。そして、金価格が上昇・下落する重要な要素は次の3つ=ゴールデントライアングル。


金価格の3大上昇・下落要因

金価格は、他の資産価格の影響その他の理由で変動しますが、特に重要なのは3つ。主な金価格の変動要因についての説明はこちら。

  1. 実質金利 金利を生まない金は、米ドルをはじめとした実質金利の影響を受けやすい
  2. 米ドル 対米ドル建てであることから、米ドルの上昇は金価格の下落理由となりやすい。
  3. リスク回避 リスクが高くなると金は買われやすい。ただし、この要素を数値化するのは難しい。

◆金価格のゴールデントライアングル

金価格のゴールデントライアングル

実質金利と金の関係

金価格は実質金利に大きな影響を受けます。なぜならば、金を保有するにもコストがかかります。

資産運用のポートフォリオに金投資を加えると、保管・保険に費用を必要とします。しかし、それよりも大切なコストがあることを忘れてはいけません。

金を保有する上で、重要なのは、【機会損失コスト】。

投資家は、現金を貸し出したり、他のものを買って、利益を得ることが出来ます。実質金利が高いほど、金よりも有利な投資対象が増えますから、投資家は、金投資を減らします。ボルカーFRB議長が、名目金利を上昇させた1980年代および1990年代はその典型的な例。

そして、実質きんりが低くなると、機会損失のコストは小さくなるため、金投資への需要が増えます。1970年代およびリーマンショック後の時代が最良の事例。

金価格が、他の投資資産に対して上昇していけば、投資家は、金の保有を増やしていくことになる。そして、金塊の所有者も相対価格が上昇すれば、売りに出すことでしょう。

2003年以降の実質金利と金価格の長期的な相関は、-0.87。

相関関係の数値の目安は以下の通り。

  • 0.7-1.00=強い相関
  • 0.4-0.7=やや相関
  • 0.2-0.4=弱い相関
  • 0-0.2:ほとんど相関なし

米ドルと金価格の関係

金は、米ドル建てで表示されるため、米ドルが弱くなると上昇。米ドルが強くなると下落するという性質をもつ。金は商品ではなく通貨のように振る舞う。したがって、投資家が米ドルを売ると、日本円・ユーロ・ゴールドなど他の通貨に対して下落する。そのため、ユーロや日本円と金価格に正の相関がある。

しかし、もっと重要な点が、金は単なる通貨の一つではないということ。米ドルに対する保険となりえる。金本位制が1971年に放棄されて以降も、歴史的な経緯は、投資家の心に深く根付いています。金は、印刷できず、何千年もお金としての価値を保ってきました。そのため、米ドルの基軸通貨制度に何か問題が生じたとき(ブラックスワン)、ヘッジとして機能します。

1973年以降の米ドル指数と金価格の長期的相関は、-0.6

リスク回避と金価格の関係

現在の金融・通貨システムに対するヘッジ機能として、金は保有されます。それは、金融市場にストレスがかかった時に、他の資産と無相関または負の相関がある資産であるからです。

金は、安全資産として、テールリスクに対する保険として利用される資産クラスタ。

市場に不確実性が増すと、投資家のリスク回避度が高まり、。リスクプレミアムが高まります。そして、ゴールドをはじめとした安全資産に資金を移します。逆に、経済的な安定性が高まると金価格は下落します。

1997年以降の信用スプレッド(クレジットスプレッド)と金価格の長期相関は0.17

この数値は、それほど、高いわけではありません。ただし、投資家はリスク回避を数値化することは難しく、信用スプレッドが不完全な近似値であることを覚えておかなければいけません。

現在の金価格は、過大評価?

金投資への需要は、投資家の心理的認識に依存します。様々な変動要因がある中で、重要なのは3つ。すなわち、実質金利・米ドルの強さ・市場参加者の経済に対する信頼。

リスク回避の状況は、金に強気な状態。高い実質金利・強い米ドル・リスクオンの状況は、金価格の下落理由。

上記の3つの理由は、金価格が変動する理由の約86%を説明しています。そのモデルからは、現在の金価格は過大評価されています。

◆NY金価格の月足チャート 2018年5月22日 GMOクリック証券のCFD

NY金価格の月足チャート

現在の金価格が過大評価されているのは、金利上昇局面にかかわらず、金価格が安定していることを示します。その理由は、リスクが怖いこと。

米ドルやユーロへの信頼が揺らいでいること、中央銀行の金融緩和路線のバックラッシュが怖いこと・・・数値化しにくいリスク回避要因が、金価格が下げない理由だと思います。