深刻化する南アフリカのストライキ:金・白金鉱山から自動車業界まで拡大

2013年の8月、南アフリカでの労働争議は激化し、ストライキが広がり、産金・建設・自動車など幅広い業界に影響が出ています。

南アは、世界一の白金(プラチナ)産出国で、金(ゴールド)やダイヤモンドなど鉱物資源に恵まれた国です。

南アフリカのストライキ状況

ロイターやブルームバーグの記事を参考にまとめました。

1.全国鉱山労働者組合(NUM)と産金会社との賃金引上げ交渉が8月22日に決裂。

NUM広報担当者、Lesiba Seshoka氏によると、ストライキ実行に向けて金鉱労働者の意見を聞く意向。ストライキ実行の場合は早くても26日。

NUMは、約14万人の金鉱労働者のうち約64%が加入

企業側は、基本給の5.5%引き上げを提示

NUM側は、未経験労働者の基本給を60%引き上げるように求める。最大150%を求める組合もあるとのことで、労使間の要求と回答の差が大きすぎます。

2.南アフリカ全国金属労組(NUMSA)の広報担当、カストロ・ンゴベゼ氏:交渉決裂で労組は7社が操業する工場の従業員にストを呼び掛け。

南アフリカの自動車工場で働く約3万人の労働者は19日、賃金引き上げを求めたストライキに突入。

企業側は6%の賃上げを提案(トヨタ・GM・日産・フォードなど)

NUMSA側は、当初要求の14%から20%に要求を引き上げ

3.プラチナ鉱山のストライキ

毎年恒例のように起きているプラチナ鉱山のストライキ。

2012年8月~秋にかけてのロンミン社のマリカナ鉱山を中心にしたストライキでは、死者も出した上で、最終的に11~22%の大幅な賃上げ。

・2012年8月のプラチナ鉱山デモでは警官発砲で34人死亡(youtube動画)

南アフリカのプラチナ生産世界最大手アングロ・アメリカン・プラチナム(アムプラッツ)では、2013年5月にリストラとストライキを巡る激しい交渉を行う。その後も騒動が続く。

2013年8月27日 鉱山労働者全国組合(NUM)の発表:賃金交渉の決裂で約7万2000人の自動車関連産業の労働者が9月2日にストを決行予定。自動車メーカーと建設会社、航空会社の労働者は既にスト入り。

31日には、南アフリカの全国鉱山労組(NUM)が、賃上げを求めて9月3日夜のシフトから金鉱山においてもストライキを行う計画を通告

9月3日から金鉱労働者8万人を動員したストライキは9月10日に協約が締結されて調印。
金鉱労働者は最低賃金労働者8%残りの労働者7%の賃上げ妥結に同意。通勤手当も一年目に月15ユーロ、二年目にさらに15ユーロの引き上げ。

自動車部門労働者も賃上げ提示を7%から11.5%に自動車メーカーが引き上げたことでストを終了。NUMSAはさらに2年目と3年目の賃上げ10%、年間100ユーロの通勤手当、月62ユーロの住宅手当、使用者による医療扶助負担割合70%にも同意した。

南アのストライキと賃上げ要求の理由

なぜ、こんなに激しい賃上げ要求&ストライキが起きているのでしょうか。

・失業率の高さから労働者が生活苦に陥っている。

・インフレ率の上昇からくる生活苦

アパルトヘイト時代の名残による貧困と格差に対する不満

アパルトヘイト廃止=バラ色の未来ではなく、現実には白人と黒人の人種間格差は、まだ大きいと言えます。 しかし、白人の利権や土地・資金を取り上げればジンバブエ化してハイパーインフレや産業崩壊を招きます。

・労働者が主張可能になった

労働者側が、以前より権利を主張できるようになっており、それがストライキとして現れている側面があります。

・政権運営や国家内において、白人対黒人の図式=共通の敵がなくなり、労働者対経営者の図式が登場。

南アフリカ経済の状況推移

失業率は25%を超えています。

失業率の推移 - 世界経済のネタ帳

経常収支は大幅な赤字

経常収支の推移 - 世界経済のネタ帳

インフレ率は、5%を超えています。

インフレ率(年平均値)の推移 - 世界経済のネタ帳

通貨のランドは、米ドルに対して下落中

為替レートの推移 - 世界経済のネタ帳

国の運営として、経済的にかなり苦しい状態です。

南アフリカの金と白金の生産

かつて、世界一を誇った南アフリカの金生産は、掘りやすい浅い鉱床を掘り尽くしたことで生産量が減少しています。

南アフリカの産金会社は、昨年のストライキで大規模な減産を強いられた上に、このところの金価格の下落でストライキの状況次第で大きなダメージを受ける可能性がある。

白金(プラチナ)については、世界一の生産国であることは変わらず、世界経済の景気回復によりプラチナ需要が増えた場合に価格上昇につながる可能性がある。

南アフリカの金鉱山の深さ

現在、世界で最も深く掘っている金鉱山がタウトナ鉱山(TauTona mine)です。

所在地:南アフリカ共和国ハウテン州カールトンヴィル。名前の由来はソト語で「偉大なライオン」

地下3.7 kmを超える深さを持ち、800 km以上のトンネルが掘られ、採掘は1,800 m – 3,500 mの範囲で行われている。

2005年は4人、2006年は16人、2007年は5人の鉱夫が落盤などの事故で死亡。

アングロゴールド・アシャンティ社はタウトナ鉱山の地下3,771 mから、さらに深く掘る計画を進めている。詳しくはタウトナ鉱山(wiki)

これだけ、深いところで、金を掘り出しているわけですから、労働者側にとって死傷リスクや労働負荷が非常に高くなります。金価格が高値維持の状態だと経営側もコストを払えると思いますが下落している状態では難しいと言えるでしょう。

通貨ランドが安くなることで、国際比較での賃金下落という形になるのでしょうか。

南アフリカのダイヤと金鉱山の歴史

元々は、1860年以降に南アフリカ共和国内で「金」と「ダイヤモンド」の鉱脈が続々と発見されたことにより、それまでは、オランダ系移民が支配していた地に英国人が侵入し、ボーア戦争を引き起こしたのが遠い原因ともいえます。

最終的に英国が支配する過程で、ボーア人とイギリス人の双方が現地の黒人を奴隷化し、戦争と金やダイヤの採掘に従事させたのです。

アパルトヘイト元年と呼ばれる1910年には、黒人に参政権を与えない憲法を制定したのです。

南アフリカワールドカップ開催には、国中が湧きたちましたがそうはカンタンに長年の溝は埋まりません。

 

金投資を行う方そして、特にプラチナ投資に関心をお持ちの方は、ストライキの行方が気になりますね。