アメリカのカリフォルニア州と同じ時期、オーストラリアでもゴールドラッシュは起きていました。
オーストラリアのゴールドラッシュ
新大陸アメリカで金探しに失敗したイギリスのエドワード・ハーグレイヴス氏が、「オーストラリアにも金がある」という噂を聞いて、1851年1月にオーストラリアに渡り、シドニー北西部のバサースト近郷マックワイアー川渓谷で、砂金を発見しました。
この発見がオーストラリアのゴールドラッシュのきっかけになったといわれています。
1858年にオーストラリアで掘り出された自然の金塊は69キログラムの重さがあり、その後に産出した金塊とともに世界最大級。
金が発見されたというニュースを聞きつけた人々が、オーストラリアに流入し、さらにビクトリアのバララットやベンディゴやビーチワースといった地域で大規模な金鉱が次々と発見され、人々の金投資熱は高まり、ビクトリア植民地政府は金発見委員会を作り、採算にあうような金鉱を見つけたものには報奨金を支払うと発表しました。
この報奨金目当てにビクトリアの人口は10年で9万7千人から53万9千人に増加し、同年には、NSW(ニューサウスウェールズ)から「ビクトリア植民地政府」が分離して成立しました(1901年オーストラリア連邦成立に伴い州となる)。
ゴールドラッシュにより、オーストラリアの人口は40万人から10年間で約3倍の117万人まで増え、現在も大都市として機能するビクトリア州メルボルンは、金採掘で栄えた町。
●当時の様子「バララット:ソブリンヒル」:金鉱山のテーマパークとして観光地化しています。
2011-09-25 Sovereign Hill Ballarat P1
金価格の下落をチャンスに変える
しかし、カリフォルニアのゴールドラッシュが金相場の下落で衰退していったように、大量に金が見つかったオーストラリアも同じ運命をたどっていきます。
1856年には、オーストラリアで95トンの金が採掘されたと記録され、ウェスタン・オーストラリア州のカルグーリー・ボールダー近辺では、1,300トンもの金が掘り出されてきました。
一時は、一般労働者の5倍にもなった砂金堀りの収入も、需給バランスが供給に傾いたことで崩れ、金価格が下落します。ただし、カリフォルニアと違い、砂金堀り稼げなくなった労働者を製造業に雇い入れて産業界は失業問題を解決。
オーストラリアは、現在も世界第三位の金生産国で、年間250~300トンの金を採掘しています。(世界の産金国)
オーストラリアの独立
元々、流刑地として開拓されたオーストラリアは、金が発見されたことで世界の注目を浴びて、人口が増加し急速に発展します。イギリスの探検家「キャプテン・クック」が、1770年にエンデバー号でシドニー郊外に到着し、英王室による領有を宣言したことが起こりです。
1850年の植民地法制定により、機運が高まっていたところに「金」が起爆剤となり、自治権の拡大そして連邦政府樹立に向かいます。
1891年、オーストラリアの6植民地代表にニュージーランド代表が参加した「オーストラレイジア国民協議会」は、連邦化を決定する決議を採択するもNWS議会が拒否。
1901年1月1日、ニュージーランドを除く6植民地がオーストラリアとして発足
いわば、オーストラリアの独立は、ゴールドによって成し遂げられたともいえるかもしれません。
最初に、シドニーの西北西約260km地点のルイス・ポンズ・クリークで金を発見したエドワード・ハーグレイヴス (Edward Hammond Hargraves)氏は、切手の肖像に描かれるなどかの地では称えられています。世界的には無名でも独立に貢献した偉人です。
金のテーマパーク「ソブリン・ヒル」
ゴールドラッシュとなったバララットの町。全盛時を再現したテーマパーク、ソブリンヒルでは、金をテーマにした遊び場所。ユリーカの反乱を舞台にしたブラッド・オン・ザ・サザン・クロス/Blood on the Southern Crossショーも人気!
・海外現地オプショナルツアー:ソブリンヒル&バララットで黄金の遺産
・ソブリンヒルの公式ウェブサイト:金色でキラキラしているサイトです。
ユリーカの反乱
1854年にヴィクトリア植民地バララット近くのユリーカの丘で起こった金採掘者と政府で武力衝突。
当時、金鉱の運営に政府は採掘許可証を発行するというシステムをとっており、その運営システムの下で、採掘者は1ヵ月に30シリングの支払いを強いられ、常にその許可証を持ち歩かねばならないのみならず、警察による「許可証狩り」に直面しなければならなかった。このような運営システムや、役人の腐敗、政治的な権利の欠如、土地売却の遅れは採掘者の不平を増大した。オーストラリア辞典
2013年に話題に上りましたが、オーストラリアメルボルン郊外のバララットで約5kgの金塊が見つかっています。