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OPECはウィーンの総会で生産量維持を合意。原油価格下落を乗り切れると表明する。

OPECは、2014年11月27日にウィーンで開いた総会で日量3000万バレルの生産枠維持を決定。ベネズエラやアルジェリアなどが求めていた日量200万バレルの減産を受け入れなかった。原油価格と地政学リスクは当然、金価格に大きな影響を与えます。

サウジアラビアなど湾岸諸国は、減産しなくても原油価格下落を乗り切れる用意があると表明。原油価格の下落傾向は金価格をはじめ世界の資源価格下落傾向を強める可能性がある。

  • サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相:重要な決定だったと満足
  • ベネズエラのラミレス外相:今回の決定を加盟国の総意として受け入れ。原油価格が低水準にとどまることでコスト高の米国産シェールオイルの市場シェア低下を望む
  • クゥエートのオメール石油相:原油価格が60ドルや100ドルなどいかなる水準でも受け入れなければいけない
  • イラクのアブドゥルマハディ石油相:下値は65―70ドルになるとの見方

米国のシェール革命は、エネルギー事情を一変させた。米エネルギー省によると米国の2014年のシェールオイルは、日量450万バレルに達しており、在来型の原油生産との合計は日量900万バレルと世界第三位に浮上。

同時に生産されるシェールガスと合わせて米国は輸入国から輸出国へと転換しつつある。だぶついた石油・ガス・石炭は、資源争奪戦争から資源販売・シェア獲得戦争へと生産国の立場が変化。

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石油価格は下落

100ドル台をキープしていたWTI原油価格は60ドル台へと下落。

生産調整から価格競争へ

従来は、サウジアラビアが石油価格低下に対して生産調整で対応するという流れができていた。

しかし、今回はシェール革命というエネルギー市場を大きく変革する動きの中で、減産を行うと自国のシェアを奪われるとの恐れが強く、価格競争を挑むことで割高なシェールオイル生産を中止に追い込む道をOPECは選んだことになる。

シェール革命は、石油価格の下落だけでなくドル高と併せて、鉄・銅・金価格など資源全体の価格低下を呼んでいる。

シェールオイルの生産コストは1バレル60~80ドル台と予想されており、採算割れに追い込むことがOPECの戦略。

危険な価格競争

価格競争が危険なのは、体力・財力のある国が有利で、貧しい国の国民にダイレクトに痛みが生じること。

プーチン大統領率いるロシア復興がなったのも石油価格上昇をはじめとする資源の高騰が要因。アラブの春・イスラム国の成立で揺れる中東。治安悪化著しい中南米各国。など地政学リスクが拡大する恐れは十分にある。

イラクのフセイン大統領がクゥエート侵攻を行った大義名分もイラン・イラク戦争で苦しんだイラクに対して、繁栄を謳歌していたクウェートとの経済格差が要因の一つ。人は皆が苦しい状態には耐えられても隣人が豊かで自分だけ苦しい状態には耐えられないもの。

中東各国の経済格差拡大や生活レベルのダウン。中南米の米国に対する敵対心が煽られれば紛争やテロへと進む可能性は十分にある。リスクが拡大すれば金価格は上昇へと向かうだろう。

米国とサウジでロシアとイスラム国を兵糧攻め

米国のオバマ大統領は2014年9月の国連演説で人類が直面する三大脅威として次の3つを挙げた

  • エボラ出血熱
  • イスラム国
  • ロシアの欧州侵略

一説では、今回の原油下落は、米国とサウジアラビアによる対ロシア、対イスラム国への兵糧攻めとの意見も根強い。

共に原油価格の高値維持による経済維持を目的とする国。かつて旧ソ連を軍事費拡大競争と原油価格の値下げで苦境に追いやった歴史を米政権が再度狙っている可能性はありえる。1998年には1バレル9.8ドルの最安値を付け、ロシアはデフォルトに直面。

実際、ロシアがクリミア編入を行った2014年3月末には、オバマ大統領はサウジのアブドラ国王に対して、原油価格の引き下げを提案。9月にはイスラム国を封じるために再び原油価格の引き下げを提案。

サウジアラビアは、10月にアジア向け輸出価格の引き下げを決定。

原油価格の下落はインフレ抑制で金価格低下に向かう。しかし紛争・テロなど地政学リスクの拡大は金上昇の要因。

石油を輸出入するプラントやパイプラインは一朝にできるものではなく、多少の価格差では購入国の変更はできない。そのためシェア確保のために減産ではなく生産量維持と価格低下を選択したOPECの将来はどうなるのか注目しましょう。

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