金を含む金属は、地球全体にどれくらいの量があるのでしょうか。古代エジプトのクレオパトラから現代までに掘り出された金の量は約16万トン。
地球の保有する金属量を測るクラーク数
一言で、地球と言っても、人類が調査探索できるのは表面のみ。内部のマグマ層や深海などを調べることはまだ無理。それどころか地球の陸地や海底全てに含まれている金を調査することも不可能。
そこで、クラーク数という基準を利用します。これは、地表付近に存在する元素の割合を火成岩を分析して質量を表した数値。
アメリカ合衆国の地球化学者フランク・クラーク(Frank Wigglesworth Clarke、1847 – 1931)は地表部付近から、海水面下10マイルまでの元素の割合を、岩石圏(重量パーセントで93.06%を占める)、水圏(同じく6.91%)、気圏(同じく0.03%)の3つの領域における値を合計することで求めた。ここで岩石圏での元素の割合は95%の火成岩、4%の頁岩、0.75%の砂岩、0.25%の石灰岩より成ると仮定し、火成岩の平均組成は5,159個の試料の分析値の平均でもって代表されると仮定している。
あくまでもクラーク数は推定の数字。
90種類の自然元素の中で、酸素やケイ素・アルミニウムは非常に量が多い。上位10元素で99%を超える元素存在度。鉄やアルミニウム価格が安く金価格が高いのは明らかな存在量の多寡の結果。
地球の構成元素:元素の種類
元素 | クラーク数 | 元素 | クラーク数 | ||
1 | 酸素 O | 49.5 | 6 | ナトリウム Na | 2.63 |
2 | ケイ素 Si | 25.8 | 7 | カリウム K | 2.40 |
3 | アルミ Al | 7.56 | 8 | マグネシウム Mg | 1.93 |
4 | 鉄 Fe | 4.70 | 9 | 水素 H | 0.83 |
5 | カルシウム Ca | 3.39 | 10 | チタン Ti | 0.46 |
出典:金属のお話し:研都エンジニアリング
実用金属のクラーク数(重量%)
上記の酸素やケイ素の多さに比べて、金や銀・白金などの貴金属は雀の涙程の微々たる量しか存在しません。
金属 | 重量% | 金属 | 重量% | ||
1 | アルミニウム | 8.23 | 8 | スズ | 0.0002 |
2 | 鉄 | 5.63 | 9 | タングステン | 0.00015 |
3 | チタン | 0.57 | 10 | 水銀 | 0.000008 |
4 | ニッケル | 0.0075 | 11 | 銀 | 0.000007 |
5 | 亜鉛 | 0.007 | 12 | 金 | 0.0000004 |
6 | 銅 | 0.0055 | 13 | 白金 | – |
7 | 鉛 | 0.00125 |
1966年データ 出典:金属の話:井口洋夫著
かなり古いデータになりますが、金の質量はわずかに0.0000004%しかありません。輝きの美しさ・丈夫さ・希少さと金属の中でも特別な存在であるわけです。
アルミニウムや鉄は他の金属に比べて豊富にあるため、価格も安く身近な金属ですね。ただし、アルミはボーキサイトという加工しにくい形で存在しているため各地の文明で頻繁に活用したのは青銅と鉄。
金は錬金術で作りだすこともできないため、古代から金を保有する・投資することは王侯貴族の名誉。