金は通貨としての側面とモノ（財）としての両面がある。そして、金利を産まないことが最大のデメリット。
しかし、ゴールド市場にも貸し借り時に金利を支払う【リースレート】と呼ぶレートがあり、貴金属ディーラーの収入源となります。リース市場を含めた貴金属の金融取引を【ブリオン・バンキング】と呼ぶ。
金リースレートの推移
過去1年間の金リースレート推移（204年3月～2015年3月）:１％以下の低金利が基本。
２００４年からの長期リースレート推移
データは、KITCOから取得。ゴールド・シルバー・プラチナ・パラジウムの各リースレートについて、現在値＆過去推移をグラフ化しており重宝します。
リース取引は、金を３ヶ月や一年間という期間借りてくる取引。そして、その時に支払う金利をリースレートと呼びます。
最新データは、下記サイトにてご参照ください。更新が止まっていることもありますので、日付は必ずご確認ください。
●ShareLynx Gold:ゴールド及びシルバーのリースレート推移をチャート化しているサイト。
リースレートの基本計算式
専門家の話では、リースレートは、非常に低金利で推移し、流動性も低いために、実際取引は少ないという状態。実際にリースするよりもスワップ取引を活用することの方が多い。
ドルを借りて、スポットで金を買い、決められた期限に金を渡すこともあります。そのため、リースレートの基本的な計算式は下記から算出。
基本的な式：リースレート＝ドル金利－スワップレート
ちなみに、「金リースレート」は「ドルの資金調達コスト（LIBOR）」と「金フォワード・レート（GOFO）」の差となるため、下記の式で定義されることになる。
金リースレート＝LIBOR－GOFO
これを実際に、スタンダードバンク東京支店長の池水 雄一氏が実際の例で解説しています。
実際の例で考えましょう。
- Spot Gold price ：$1325.00
- Gold swap 1 year ：0.1%
- USD interest rate 1 year ：0.55%
以上が現在のマーケットであるとき、一年間ゴールドを借りるコストは、まずドルを一年間借り（1年物ドル金利0.55%）、そのドルを使ってスポットのゴールドを買うと同時に一年先物のゴールドを売ります（スワップレート0.1%）。
- ドル資金調達コスト 0.55%
- ゴールドの一年物スワップによる利益：0.1%（スポットゴールドを買い0.1%高い一年物を売ることになるので0.1%の利益）
- スポット買い価格：$1325.00
- 一年先物売価格：$1326.325 （$1350×0.1%+1350）
この取引をすることにより一年間、ゴールドを調達したことになります。出典：ゴールド・リースレートの話
２００８年には、2.5％超の金利まで急騰したこともありますが、基本的には、１％以下で推移。
貴金属のリース市場を利用する会社
では、リース市場を利用するのは、どのような会社や組織なのでしょうか。
各国の中央銀行や金融機関は、外貨準備や資産として、米ドルや金を保有しています。彼らは、保有しているだけでは、金利がつかないため、保有している金を貸し出します。そして、鉱山会社やブリオンバンクが中央銀行等の保有している金を借りる借り手となります。
鉱山会社やブリオンバンクは低利で金を借り入れて、それを市場で売却することで資金を調達。鉱山会社は、自鉱山で生産された金を返済に充てる。中央銀行は、金を運用して運用益を得られて、鉱山会社は有利な金利で資金調達＆金価格のリスクヘッジを行う。
これが、リース市場の主な流れ。
CFD取引において、スワップレートの基準となるのもこのリースレートの数値。
東京商品取引所：検定試験テキスト 第6章 取引戦略 第1節 ブリオン・バンキング