WSJが報じたところによると投資家のジョージ・ソロスは、経済的な混乱から収益を得られるポートフォリオになっているとのこと。ジョージ・ソロス氏は、今の市場に弱気で、大きなトラブルが市場に起きると考えていて、それによって収益を得る資産配分を取っています。
WSJのグレッグ・ザッカーマンによると、ソロスファンドマネジメントは、市場の低迷を予測して、金投資・金鉱山株を購入して、市場の混乱に備えている状態。資産のラストリゾートとしての金投資という行動をとっています。
ジョージ・ソロス氏の見通しは、過去6か月の間に以前より悪化し、中国経済に対して減速するとの見通しを持っています。
ジョージ・ソロス及びソロスファンドのポートフォリオ
- 弱気相場で利益を上げられる金融商品にシフト
- 株を売り、金鉱山株や金投資にシフト
- 中国経済の鈍化が心配
- 英国のEU離脱が現実化すると、EUは崩壊してしまうだろう
- 英ポンドが強くなっているので、残留派の方が優勢ではないか。市場はいつも正しいとは限らないが、私は市場の動きに同意する。
ジョージ・ソロス氏の考えは、急に変わったわけではなく、2013・14年辺りから一貫して中国経済リスクを唱えている。2014年の記事を見ても最大のリスクは中国と述べている。
今日の世界が直面している重要な不安定要素は中国だ、とソロス氏は新聞報道の国際NPO「プロジェクト・シンジケート」のウェブサイトへの寄稿文で述べた。同氏は「中国の現在の政策には解消されていない自己矛盾がある。溶鉱炉の再開は負債の急激な拡大を再発させる。これは2年以上、持続できるものではない」と指摘している。
2016年1月のダボス会議で、ブルームバーグのインタビューに答えたジョージ・ソロス氏は、2008年のリーマンショックと似たような状態になりえると回答。その時は、サブプライムローンが引き金になったが、今回は中国敬愛の問題であると考えています。中国経済はデフレと過大な債務を抱えており、ハードランディングが不可避であると話しています。
中国の生産者物価指数はマイナス幅で推移している。2016年に入り回復基調には入っています。
中国の債務規模は巨大であり、在庫調整等が必要なのは確か。後は、ジョージ・ソロスの言うようにハードランディングに陥るかどうかですね。
国際決済銀行(BIS)の統計で確認すると、非金融セクターの債務残高は昨年9月末に165.7兆元(26.1兆ドル)で、内訳は図表-1のようになっている。これまでの推移を見ると、リーマンショック後に大きく増加しており、2008年12月末との対比では、一般政府向けが1.4倍の対GDP比43.5%、家計向けが2.1倍の同38.8%、非金融企業向けが1.7倍の同166.3%へ増加しており、非金融セクター計では1.7倍の同248.6%に達している(図表-2)。
2016年4月20日のアジアソサエティで、中国経済の債務規模の大きさを心配していると語っています。ニッセイ基礎研究所
中国経済のファイナンス規模や債務は不透明な面が多く、分からないことが不安を呼べば、サブプライムローンの二の舞でしょう。
中国の3月の経済全体のファイナンス規模は2兆3400億元(約39兆7000億円)と、ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値である1兆4000億元を大幅に上回り、中国当局が債務抑制より成長を優先していることを示唆した。
ソロス氏は中国の現状について、「同様に与信の伸びで増強されていた07-08年の米国の金融危機当時と不気味なほど似ている」とし、「皆が予想する時期よりも後に転換点を迎える可能性がある」と語った。ブルームバーグ
ソロスファンドの実績では、金ETFやカナダの産金会社バリックゴールドで大きなプラス。このところ、金価格が上昇しているため、そこで利益を得ています。
アベノミクスの円安でも10億ドル近く稼いだが、金融緩和で日本国民が開催に資産を移すキャピタル・フライトを起こすとの予想は的中していません。
なお、ポートフォリオにおける最適な金の割合については、こちらの記事をお読みください。
この記事へのコメントはありません。