アラン・グリーンスパン氏は、1987年から2006年までFRBの議長を務めた人物。根拠なき熱狂などの名言が有名。彼は、現在、先進国の経済に対して不安を持ち、長期的な金の価値を評価しています。在任中は非常に尊敬を集めたものの、その後の住宅バブル崩壊で、評価を落とした。
インフレの大幅上昇が金価格を上昇させる
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アラン・グリーンスパン氏は、ブルームバーグ・WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)などで、インフレに対しての強い懸念を表明し、警告を出しています。
現在は、インフレの初期段階であり、これが定着すれば、早い段階で、大きな転換が起きる。米10年債金利は、3~4%そして先々は5%に上昇するだろう。過去の事例がそれを示している。
●米国の10年債&2年債金利:2017年2月24日現在、10年債金利は2.38%。
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金融政策の行方について多弁を費やしながら、含みをもたせ、言質を取らせなかった言葉で市場関係者を幻惑しつつ、巧みに市場金利を望ましい水準に誘導し、「金融の神様」「マエストロ」の名をほしいままにした。
しかし、2007年以降の住宅バブル崩壊に端を発する世界金融危機を巡っては、グリーンスパンによる数度にわたる金融緩和が一因との指摘が強く、功罪共に盛んに議論されている。アラン・グリーンスパンwiki
アラン・グリーンスパンの警告:スタグフレーション
Photo credit: Federalreserve via VisualHunt
さらに、スタグフレーションに対する警告も発しています。
スタグフレーションは、不況とインフレがあわせて起きること。不況で賃金が上がらないのに、物価は上がるという最悪の状況。
アメリカではオイルショックの時。日本でも2015年に物価上昇に見合った賃金上昇がないためにスタグフレーションに陥りつつあるとポール・クルーグマンが指摘。
現在、世界的な状況は、低金利&物価下落のデフレ状態。それが、昨年の秋から変化しはじめて、物価上昇の兆候が見えてきました。
●インフレの原因は主に3つ
- 英国のブレグジット:物価下落に繋がるグローバリズムの否定
- 原油価格の上昇:下落しすぎた原油価格の弊害とOPECの協調減産
- トランプ氏の勝利:米国の財政支出&減税そして将来期待
インフレと好況が同時に訪れたならば、大きな問題はありません。中央銀行は景気を過熱させないよう冷やさないように金利を引き上げていくだけです。
その過程で税収が増え政府債務が減り、あわせて中央銀行の債務・バランスシートも減って、量的緩和からの出口戦略は成功を迎えます。
ところが、グリーンスパンの指摘通り、スタグフレーションに陥ると状況は悪化します。景気は落ち込み物価だけが上がっていく状況は、政権不安・近隣窮乏化策・戦争など悪いシナリオばかり。
労働者は不足するも経済のパイは拡大するのか?
医療の発達で、人類は未曽有の高齢化社会を迎えます。いつまで生きるか分からない中で、高齢者は蓄えを放出して消費に回るのでしょうか。そして、日本を筆頭に高齢者の介護に多くの若手・中堅の労働力が取られます。
ドイツの移民歓迎姿勢も不足する労働者を補うという目的が第一でした。
企業は、このことを分かっているがゆえに、大きく投資を増やそうとしません。
グリーンスパンは金本位制を支持
グリーンスパンは、インフレを止めるために、金本位制に戻るのも一案ではないかと提案。
英国のブレグジットの後、米国が金本位制であれば、今後の債務危機を回避できる。世界にある金は限られているために負債額を制限することが可能。
トランプ大統領のインフラ整備計画は、税収減少と米国政府の債務増加に繋がる。
今、金本位制に戻ることは、非常に困難な道である。
しかし、もし、金本位制に戻れば、問題はなくなる。
インフラ整備は、政府の負債で資金を調達しなければいけない。米国はすでに連邦債務が対GDP比率で100%を超えている。金本位制は、財政破たんを防ぎ、放漫な財政支出を防ぐことができる。
出典:世界経済のネタ帳
米国の政府債務残高は2015年で105.15%。今後は、更なる増加が見込まれています。
- MARKETINSIDER
- WGC:インフレの上昇は、金価格を上昇させる。金投資は保険となる。
グリーンスパン氏が言うように、金本位制に戻ることは、大変難しい。一方、財政に対して何かの制限・ルールを課さねば、どんどん政府債務もしくは中央銀行への負債が膨らんでいるのは確か。中央銀行の独立性も政治的プレッシャーの前では絵に描いた餅にすぎない。
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