南アフリカの金鉱山会社「アングロゴールドアシャンティ」は、南アフリカの鉱山事業を再編。南アフリカの金鉱山事業は、重大な岐路に立っており、収益性を確保するたえに大幅なリストラを実行することになります。
アングロゴールドアシャンティの南アフリカ事業は、約2万8千人の従業員を抱えていますが、約8500人を解雇する意向。
南アフリカの金鉱山が抱える課題
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南アフリカの鉱山は、生産開始後数十年が経過しており、鉱山の寿命に達しつつあります。すでに、地表の掘りやすいところに金は存在せず、金鉱山によっては数千メートルもの深さから金鉱石を掘り出しています。
そのため、労働環境は悪く、ストライキはしばしば。そのため、事業継続において下記のような課題が生じています。
- 埋蔵量の枯渇
- 地上から深くなり、インフラ整備の困難
- 生産力の低下
- インフレ
- 生産コストに見合わない金価格
2017年第一四半期の産金コストは、TauTona鉱山が1737ドル/オンス、Kopanang鉱山は2,399ドル/オンス。この期間の平均金価格は、1,216ドル/オンスであり、大幅な赤字となります。そのため、ヴォール川流域のケパナン鉱山、西ウィッツ地域のサバカ鉱区のメンテナンス及び一部閉山などの処置を行い、事業の継続性を確保。
アングロゴールドアシャンティのWebより
さらに、電力価格は、5年間で300%上昇し、電力コストは、産金コストの30%を占めているとの話も。生産性の低下は顕著であり、南アフリカの鉱山が終焉を迎える日は近いと予測されています。
●南アフリカのインフレ率:近年のインフレ率は5%強で推移。
世界経済のネタ帳
金属鉱物資源機構のレポートでも、南アフリカの鉱山で起きるストライキの要因が分析されています。地下何千メートルもの深さから金を掘り出すのは相当に困難な仕事であり、事故が頻発。1964年には、鉱山事故による死亡者は1214人、2013年には110人まで減少しているとはいえ、逆に事業継続において人の命の重要性は増しています。
鉱山ストライキの要因のひとつにもなっている鉱山労働者の生命にかかわる鉱山保安も南アフリカ鉱業の重大な問題のひとつである。特に、金や白金鉱山では、以前から坑内死亡事故が問題視されてきた。
その原因として、採掘現場の深部化とそれに伴う作業環境の悪化、熟練労働者の不足、落盤モニタリングシステム導入の遅れなどが指摘されている。採掘深度は、地下5,000 mに達する。過酷な環境下で作業をするのは殆どの場合が黒人であり、隣国から「高い」給与を目当てに出稼ぎに来ている労働者なども多く、十分な教育訓練を受けていない労働者や英語を十分に理解できない者もいるという。南アフリカの鉱山で起きていること
- 平均的な産金コスト
- 減少する南アフリカの産金量:かつて世界一を誇った南アフリカは、ロシアや中国・豪に抜かれています。
南アフリカの金鉱山が抱える課題は、金価格の下支え要因。次々に金鉱山が閉山していけば、金投資需要を賄えなくなるでしょう。
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