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米2年債金利の上昇と金価格の横這いは、金融市場が変化する兆しか?:2017年11月13日週の見通し

米国の2年債金利が上昇しており、金相場にマイナス要因。しかし、NY金価格は大きな下げを見せず。一方、日本・米国ともに高値が続いた株価が調整局面入りの可能性が浮上。

米ドル/円は少し円高方向に進みました。もしかしたら、ゴルディロックスのぬるま湯の大きな転換点を迎え、新任のパウエルFRB議長は、世界経済悪化の主犯として糾弾される貧乏くじを引くことになるのかもしれません。

金利上昇でも持ちこたえるNY金価格

◆金価格の日足チャート GMOクリック証券のCFD 2017年11月12日

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日米株価の動きに変化の兆しが見えています。一時的な調整で終るのか大きな調整になりえるのか?金利を生まない金価格の現状維持も気になります。

ダン・ファス氏・ガンドラック氏・グリーンスパン氏などは、債券及び金利の行く末を懸念。

8月にはアラン・グリーンスパン元FRB議長が「バブルは株価ではなく債券価格の方だ」と発言した。先月下旬からは米長期金利が2.4%の壁を試し始めたとビル・グロス氏やジェフリー・ガンドラック氏が注目している。仮に長期金利が上げ渋るようなら、今度はイールド・カーブがフラット化するのではないかとの心配だ。ファイナンシャルポインター:金利と債券

◆米国の金利

  • 2年債金利:1.67%
  • 10年債金利:2.40%

ちなみに、日米2年債の金利差は、1.84%まで拡大していてドル高円安に動きやすい流れ。ドル高=金価格安に繋がりやすい。

米国の金利

2年債金利は、FRBの利上げに伴い着実に上昇。10年債の上げは弱めも2.40~2.60%のレベルを超えると一気に跳ねる可能性あり。

現在の焦点は以下の通り。

  • 米国の税制改革の内容と成立・実施時期
  • FRBの金融引締めスピードと理事会メンバー(理事の辞任相次ぐ中議長指名はパウエル氏)
  • ECBのテーパリングと欧州政治(カタルーニャ独立問題)
  • 中国の経済状況(くすぶる巨額債務)
  • 北朝鮮を巡る地政学リスク
  • 混乱する中東問題(サウジとイランの対立)

さて、その中で、先週の主要材料は米税制改革と中東の混乱でした。

米国の税制改革は、上院と下院にズレ

11月9日に、米上院が公表した税制改革案は、上下両院で大きな違い。

詳しい両者の違いは、mybigappleny.comさんのサイトでご覧ください。

法人税は、下院案の場合35%から20%に即、引下げ予定も上院案では、実施時期を2019年に先送りの予定。

これを受けて、ビル・グロスは、減税期待を織り込んだ株価が、失望感で下落するリスク大と指摘。さらに、1兆5000億ドルを超える財政赤字が生じる見込みから、インフレ・金利上昇・株価下落のリスクを恐れるべきと主張。10年債金利も2.4%を抜ければ2.9%のレベルに達するのは早いかもしれないとの指摘も同時にしています。

下院民主党トップのナンシー・ペロシ院内総務は声明で、「共和党の偽の税制改革は、段階が進むにつれて多国籍企業により寛容になり、米国の労働者や中間層世帯にはより破滅的になっている」と批判。上院民主党のチャック・シューマー院内総務は、SALT控除の廃止も含めて共和党の提案は米国の中間層や上位中間層にとり打撃になると批判した。両院の共和党案はともに、減税に伴い10年間で財政赤字が1兆5000億ドル拡大する見込み。米国の減税法案

しかし、米国経済は、金利上昇にも関わらず堅調を維持。原油の上昇で、エネルギー産業が好調。AI・自動運転・軍事産業などをはじめITのアマゾン&アップル&グーグル&FBへの売上集中トレンドから、米国有利の状況は変わりません。ゆえに、長い眼で見た繁栄は変わらないと思います。

サウジアラビア問題

サウジアラビアについては、多くのニュースがありました。詳しくは改めてまとめるつもりです。

  • 1.サウジアラビアの汚職事件
  • 2.原油価格の上昇
  • 3.サウジアラビアとイランの対立

まず、11月4日には、王子11人を含む何十人もの一斉逮捕。サルマン皇太子の命令で腐敗・汚職を名目に、アルワリード・ビン・タラル王子、ムトイブ・ビン・アブドラ王子など有力な王子も含まれており、後継者を巡る権力闘争の可能性が大。

そして、サウジアラビアの根本となる原油。このところ、OPEC&産油国の減産で原油価格は上昇。2018年には国営サウジアラムコのIPOを控えており、原油価格を高くしたいというサウジアラビアの思惑から、来年の原油価格も50ドル以上をキープしての高値が続くのではないでしょうか。サウジアラビアでのサルマン皇太子の権力強化は、民営化の動きを後押しする結果に。

3つ目がサウジアラビアとイランの対立。レバノンのハリリ首相は11/4にサウジで辞任を表明。

イエメンからはミサイルがサウジの首都リヤドに打ち込まれました。攻撃はイエメンのシーア派勢力「フーシ派」によるものとされ、サウジ側はイエメンに報復攻撃をするなど中東情勢は混乱。フーシ派の後ろ盾はイランとされており、サウジはイランに対する非難声明を出しています。

レバノン・イエメンを舞台にしたイランとサウジアラビアの争いは、武器の供給元として名の上がる北朝鮮とも絡み、地政学リスクを高めています。また、原油価格の上昇を支えることで、これまでの低インフレ路線の転換に繋がるかもしれません。地政学リスクは、金価格の上昇に繋がり、インフレもまた同じ。ただ、インフレ=金利上昇に繋がった場合は、金利を生まない金は売られるために、金価格は下がるリスクありです。

◆NY金価格の週足チャート GMOクリック証券

NY金価格の週足チャート

強い方向感はなく、横這い状態が継続中

■来週の注目スケジュール
11月13日(月):国内企業物価指数、米財政収支、ASEAN首脳会議など
11月14日(火):中鉱工業生産指数、独GDP速報値、ユーロ圏鉱工業生産指数など
11月15日(水):訪日外国人客数、米MBA住宅ローン申請指数、米小売売上高など
11月16日(木):英小売売上高指数、米鉱工業生産指数、米設備稼働率など
11月17日(金):米住宅着工件数、ドラギECB総裁講演など

フィスコ

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