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金本位制の欠点は供給量が限られていて、経済危機に対応できないこと

金本位制が復活できない理由を元イングランド銀行総裁のマーヴィン・キング氏が、明快に解説していましたので、カンタンにまとめてご紹介いたします。中央銀行総裁ですら、通貨と貨幣のコントロールは非常に困難という前提で、お読みいただけると幸いです。

金本位制の復活は難しい

金は、ニクソンショックで金本位制の元で、米ドルとリンクしていました。金価格は、1オンス=35ドルと固定制。しかし、ベトナム戦争による軍事費増大で政府債務は増加し、金とドルのリンクは終了しました。現在でも、銀行と中央銀行・政府のトライアングルは信用できないとして金本位制を復活させようという意見は根強くあります。代表はロン・ポール氏

金本位制の欠点

金は、政府から独立した資産で、供給量を増やすことはできません。新しい鉱山が見つかっても掘り出して精製するのにコストと時間がかかりますから、供給はわずかずつ増えるだけ。人間の意志で瞬間的に増やせない資産。

この本質的な問題が、金本位制を採用した場合に大きなデメリットになります。

金融危機が起きても金の供給を増やせない。

政府や銀行が、金の供給を大量にすみやかに増やせないのは、大きな弱点になります。今日のグローバルかつ情報の共有スピードが早い社会で、金融危機が起きると、人々の信用・信頼は瞬間的になくなります。その場合、政府や中央銀行の対策として、紙幣や電子的操作で、マネーの供給を増やすのが対応策。そうしなければ、金融機関同士の取引は止まり、資産価格は暴落・取り付け騒ぎが起きて、社会の決済機能はストップします。

金融パニックに対応できないのが金本位制の最大の弱点=金の供給はすぐに増やせません。

危機が起きると金本位制は一時停止される。

◆1797年に起きたイギリスでの経済危機では、紙幣に対する不安で金への逃避が生じて、ウィリアム・ピットは、金との兌換を停止。

◆2008年の金融危機時に、FRBや各国の中央銀行が行ったマネー供給の増加も金本位制に縛られていたならば、実現不可能。

通常時には、経済成長のスピードが速ければ、それに対する金の供給量が少ないため、金価格は上昇しやすく、デフレ圧力が生じやすい。金融危機時は、バブル崩壊を緩やかにする作用がなく、銀行や決済機能が壊れるのを見ているしかないというのが、金本位制の弱点ということ。

金本位制採用者の主張は

では、なぜ、それを理解していても金本位制の採用を訴える人達がいるのでしょうか。

それは、そもそもの議論で、政府や中央銀行が余計なことをするから、金融危機や経済危機が起きるという理由。政府・中央銀行が介入するから、金融危機が生じる回数や頻度が増えるという主張です。

マーヴィン・キング氏の主張では、中央銀行のなかった19世紀以前でさえ、危機は生じており、金と紙幣では紙幣が選ばれていたとしています。紙幣は経済危機時に流動性の供給を政府が裁量できるという長所があるから。

イギリスの金本位制は物価安定に効果

イギリスは、金銀銅など複数の金属を基準とする従来の通貨制度から、1816年に、英ポンドと金を兌換する金本位制度を採用。経済学者ジョン・メイナード・ケインズの分析によると、1822年から1913年までの約90年の長きにわたり、英国の物価は、プラスマイナス30%の範囲で安定していたとのこと。「お金の流れで探る現代権力史」より。

ロン・ポール氏の主張は、ペーパーマネーや中央銀行が作り出すマネーが世界をおかしくしているという論。現在の経済規模を維持する上では、キング氏の主張が正しいと言えるでしょう。しかし、そもそも、ここまで金融やデリバティブ市場を強大にしてしまったのが失敗で、もっと実態経済ベースに戻そうというのがロン・ポール氏の主張です。

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