2019年のコモディティは、やや強気予想を持っています。2018年の秋から始まった株式市場の調整局面は、実体経済に影響を及ぼし、長く続いた好景気を冷やすことになると思うからです。そして、ゴールドマン・サックスも金価格の上昇を予想しました。
ゴールドマン・サックスの予想を前に、現状の金市場について、私の予想を紹介しておきます。
米国の利上げサイクルが2019年にピークに達する
多くのヘッジファンドマネージャーや投資銀行は、米国の利上げサイクルが、ピークに達しつつあると指摘。パウエルFRB議長は、市場とトランプ大統領の圧力に抗して、利上げを続ける勇気を持てないでしょう。そのため、2019年は、緩やかな利上げペースの鈍化を予想し、金価格の上昇を見ることができると思います。
金融市場が悪化し、企業や銀行に含み損が生じたところに、トランプ減税のプラス面が出きってしまい、貿易戦争によるシュリンクが数字となって現れるのが最悪シナリオ。その場合、金投資へとマネーが向かうはず。
日足チャート:GMOクリック証券 2019年1月23日
保護主義と地政学リスク
メキシコとの国境の壁を巡る米政府機関の閉鎖は、保護主義と米国ファースト路線を強行するもの。地政学・歴史的に、ドイツ・ロシア・中国といった米英仏に挑戦してきた国々が、どこの味方をするのか次第で、争いは激化するでしょう。米国民によるロシア敵対視は、ロシアの孤立やドイツ・中国・イランなどとの協調を招く危険なゲーム。
赤字解消のため、米ドル安へ
グローバリストがいかに、トランプ政権と保護主義を嫌っても、巨大な貿易赤字は持続不可能。これを解決するためには、結局のところ、米ドル安しかありません。ニクソン・ショック程のルールチェンジは、経済に大きなダメージをもたらすため、話し合いと調整の結果、緩やかな米ドル安へと進んでほしいもの。対日貿易赤字削減のために、1985年に実施されたプラザ合意の再来はいつ起きてもおかしくありません。
こうした状況の下、1970年代末期のようなドル危機の再発を恐れた先進国は、自由貿易を守るため、協調的なドル安路線を図ることで合意した。とりわけ、アメリカの対日貿易赤字が顕著だったため、実質的に円高ドル安に誘導する内容だった。これがプラザ合意である。プラザ合意:wiki
そうなると、米ドル安=金価格上昇です!
ゴールドマン・サックスの強気予想
ここで、ゴールドマン・サックスの強気予想を紹介しておきましょう。
2019年1月のレポートで、金価格の予想を引き上げ。1,350ドルから1,425と大幅な上昇を予想しています。2019年のFRB利上げペースの鈍化と資産防御へのニーズ増加が背景。
ゴールドマンは、昨年後半に物価が下落したことを受けて、コモディティ全体への強気姿勢も見せています。
◆NY金の週足チャート:GMOクリック証券
NY金価格は、1300ドル手前でストップ。RSI的には買われすぎ。一目均衡表の雲で止められている段階。雲を抜けて横ばいから上昇へと向かうチャンスをつかみたい。
もちろん、FRBの利上げや米中貿易交渉の進展などで、反落するリスクもあるため、売買時は注意が必要。
同じように、2019年は、金が1500ドルになると予想しているのがタッカー氏。
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