2019年3月のFOMCは、かなりハト派に傾いた内容になり、FRBが株価フレンドリーであることが明らかになりました。
昨年12月に2回だった2019年の利上げは、ついにゼロ回。バランスシート縮小も9月末に停止となり、金融市場は、利上げどころか利下げを視野に入れ始めました。
FRBは、2020年の利上げ回数をゼロに
これらの意味することは、FRBは、雇用確保とインフレ目標に加えて株価の維持も行わければならないということ。
株価維持を重視し、米ドルは弱くなってもいい
そして、トランプ政権の要求する好景気維持と貿易赤字縮小のために、株価と景気を重視し、強すぎるドルを放棄する方向を目指していくことになるでしょう。ただし、強すぎるドルから弱いドルへと一足飛びに移行するのではなく、貿易赤字を減らし、米国への投資が減りすぎない程度の「強いドル」を維持したいというイメージでしょうか。
高すぎる金利もトランプ大統領は嫌っていましたしね。もう一つ言うなら原油高(70~75ドル)も嫌がっています。幸い、金価格が高いことに彼がクレームをつけたことはありません。
強いドルが、どの程度のレベルにあるか次第で、金価格の水準も変わってきます。そのため、現在のレベルをメモしておきます。
◆GMOクリック証券の月足チャート:2019年3月22日
- 米ドル/円:110.748
- ユーロ/ドル:1.13837
- 米ドル/人民元:6.704258
FRBの金融引き締め⇒中立への変化は、長期金利の低下をもたらしており、10年債金利=2.54%、2年債=2.41%まで下がりました。当然、これは、金利を産まない金価格にプラス要因であり、強すぎるドルが弱くなるのであれば、更に、金が上がる要因になるでしょう。
パウエル議長は、世界的な低インフレが課題だとみなしており、引き続き、経済指標等をしっかりと見ていく意向。
バランスシートの縮小ペースは、5月から最大300億ドルを150億ドルに減らし、9月末に停止。その後、バランスシートを維持していく。
インフレよりも、デフレ・スパイラルへの警戒感を意識し始めています。
パウエル議長は同時に、有害なシナリオを描いて見せた。米金融当局が2%のインフレ目標を達成できるとの信頼を、消費者や企業が失うという筋書きだ。ブルームバーグ
強すぎるドルからの変化。
金融市場関係者もドルに対して弱気のコメントを出しつつあります。
BMOの外国為替戦略グローバル責任者、グレッグ・アンダーソン氏は、「20日まではドルについてやや強気だった。当局が量的緩和(QE)と金利の両面での引き締めが終了したと示唆したら速やかに姿勢を変えるつもりだった。しかし、当局はそのヒントをわれわれが思っていたよりはるかに早く出した」と語った。ブルームバーグ
ジェフリー・ガンドラック氏は、米ドルインデックスが、200日移動平均線を下回ったとコメント。テクニカル的な点からもドル安トレンドに向かうのではと予想。
米国の長期金利が低下し、米ドル/円やユーロ/ドルのボラティリティが狭くなっている今、キャリートレードが増加しているという話も出ています。日本の機関投資家による外債投資も盛んになっており、ドル高要因にもなっています。
そこで、怖いのが、GWの10連休。新天皇即位の日などの影響での連続休暇。ここは、国内の実需筋の多くが休みになり、流動性が弱まります。ということは、今年の正月のようなフラッシュ・クラッシュが起きやすい状況が整います。キャリートレードで積み上がったポジションを狙って投機筋が動き出す。予想外のニュースに大きく市場が反応するという予想をしておいた方が良いでしょう。
FRBのハト派スタンス、強すぎるドルが弱くなるのは、金価格にプラス。あわせて10連休に注意しておきたいという記事でした。
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