金価格は、ついに、1900ドルを達成。ここまで非常に早かったため、短期的な売りが出るリスクがありますので、ご注意ください。ただし、ショートに回るのは、とても怖いタイミング。
米政府は、スパイ疑惑で、ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を求めました。そこで、総領事館側の書類焼却や中国人スパイの亡命もしくは逮捕などの情報で、米中関係が悪化しているところに、ポンペオ米国務長官による共産主義の中国に対する痛烈な批判が、金価格を大幅に押し上げる結果になりました。
目次
ポンペオ米国務長官による中国共産党打倒宣言で、金価格は1900ドル!
2020年7月23日、カリフォルニア州で演説したポンペオ米国務長官の中国批判は強烈。言葉だけでなく行動を要求する内容。米国及び西側の自由世界はもちろん、中国人にも共産党打倒に立ち上がれという内政干渉とも取れる内容。米政府の重要閣僚によるこの批判は、米ソ冷戦時代まで、遡るレベルではないでしょうか。
当然、米中冷戦や軍事衝突、中国外しによる最悪の結果想定して、金価格は、上昇しました。
ポンペオ米国務長官による中国共産党打倒宣言の内容
●自由主義諸国による中国の手助けは、失敗した。
●中国は、知的財産や貿易機密を盗み、奴隷労働の要素を加えた。世界の主要航路は、安全ではなくなった
●対話は続けるが、要求には屈しない。楊潔篪(ヤン・ジエチー中国共産党政治局員)の約束は、空っぽ。
●習近平総書記は、共産主義による世界覇権への野望を持ち、破綻した全体主義イデオロギーの真の信奉者
●両国間の根本的な政治・イデオロギーの違いをもはや無視できない
●中国共産党の態度を変えないといけない。中国政府の行動は、我々の国民と繁栄を脅かしている
●この形の中国を他国と同じような普通の国として扱うことはできない。中国との貿易は、普通の法に従う国との貿易とは違う
●今週、我々は(テキサス州)ヒューストンの中国領事館を閉鎖した。スパイ活動と知的財産窃盗の拠点だった
●南シナ海での中国の国際法順守に関し、8年間の(前政権の)侮辱に甘んじる方針を転換した
●自由主義諸国が行動するときだ。全ての国々に、米国がしてきたことから始めるよう呼び掛ける。中国共産党に互恵主義、透明性、説明義務を迫ることだ。
●いま行動しなければ、中国共産党はいずれ我々の自由を侵食し、自由な社会が築いてきた規則に基づく秩序を転覆させる。1国でこの難題に取り組むことはできない。
●志を同じくする国々の新たな集団、民主主義諸国の新たな同盟を構築するときだろう。自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国が我々を変えるだろう。
●中国共産党から我々の自由を守ることは現代の使命だ。
カリフォルニアのニクソン図書館で、演説を行うなどドラマ性を盛り込んだ歴史的演説。
ニクソン大統領による中国脅威論を持ち出しながら、自由世界各国に、対中国共産党打倒同盟を呼びかける内容です。明確に、中国共産党政府を、脅威・敵であると認識し、他国に、同盟を結成する宣言。また、中国人自身にも、共産党打倒を呼びかけるなど、これまで以上に踏み込んだ内容になっています。
米中冷戦は、新たなステージに
中国による香港国家安全維持法の施行や米国内のデモや大統領選挙への影響などが背景にあります。
そして、歴代の米政権による中国の経済的発展を支援すれば、中国は、民主化するだろうという「関与政策」は「失敗した」と言い切っており、大統領選挙に向けてのPRもあるのでしょう。
これまでも、米中貿易交渉における激しい対立はありました。しかし、今回は、習近平総書記のメンツを潰すレベルである上に、交渉相手として否定する内容。政権打倒に向けて、動き出すという内容であり、米中対立は、新たなステージに入ったと思います。
米中対立激化で、金価格は、1900ドルを突破
これらの要因で、金価格は、ついに、1900ドルを突破しました。
●NY金スポットのCFDチャート GMOクリック証券 2020年7月24日
NY金価格は、1800ドルを超えてから、1900ドルはあっという間。2011年の高値に迫る勢い。
ポンペオ米国務長官の演説に対するツイッターの反応
これらの背景は、これまでもお伝えしたように①EUの復興基金の合意でさらなる主要国の経済刺激策観測が広がったこと②ヒューストン中国総領事館の閉鎖による米中対立激化懸念③トランプ大統領もコロナ禍は改善する前に悪化するという警告、…
— Gold.BullionVault.jp (@BullionVaultjp) July 23, 2020
NY金は続伸。米政府がヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を求めたことへの対抗措置として、中国外務省は、四川省成都市にある米総領事館の閉鎖を通知。米中両国の関係悪化への懸念や、新型コロナ感染拡大による米景気先行き懸念から、一時1904.60ドルまで買われました。#NY金 #gold
— 第一商品 マーケット速報 (@Daiichi_F24) July 24, 2020
スパイ疑惑について
シンガポール国籍の男が米国で逮捕。軍や政府関係者をリクルートし中国の在米スパイ網に提供。具体的には米軍のF35Bプロジェクトに関与の民間人をリクルートし日本が購入したF35Bの地政学的影響に関する情報提供を要求したとも起訴状に書かれているとの報道。
— Cafe_Forex(テムズ川の流れ) (@UponTheThames) July 25, 2020
中国は、報復として、成都の米総領事館の閉鎖を命じた・
BBCニュース – 中国がアメリカに報復措置、成都市のアメリカ総領事館の閉鎖命じるhttps://t.co/FefzRIRQNu
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) July 25, 2020
立ち位置を明確化する時期か。オーストラリアは、防衛相と外務相がアメリカを緊急訪問すると決定。中国もなぜこの大切な時期に、日本の領海周辺をウロチョロするのか意味不明だが。
>焦点:米中対立SNSが主戦場、南シナ海巡り「口撃」激化 https://t.co/rg1lVgLg4o— 小菅 努 (@kosuge_tsutomu) July 24, 2020
ポンペオ国務長官がわざと、ニクソン元大統領ゆかりの記念図書館でこの演説を行ったことの寓意は面白い。要するに、戦後の米中関係はニクソンから始まって、ニクソンで終わった、ということではないか。https://t.co/32TcFb4Ols @Sankei_newsより
— 石平太郎 (@liyonyon) July 24, 2020
🇺🇸ポンペオ氏
米政権はティックトックを含む🇨🇳中国製のソーシャルメディアアプリの米国内での使用禁止を検討中
「近く正式に発表する」ポンペオ国務長官、ファーウェイなど中国ハイテク企業の従業員のビザ制限を発表 中国政府による人権侵害への支援を批判 https://t.co/hX25U8AQVC
— 水上紀行STAFF (@mizukamistaff) July 16, 2020
未だに米中対立に驚いていて、短期的なものだと思っている人たちがいます。大きな犠牲を払って第二次世界大戦と米ソ冷戦に勝利した米国は大人しく覇権を中国に譲るとでも思っているのでしょうか?
— エミン ユルマズ (JACK) (@yurumazu) July 24, 2020
Breaking: Secretary of State Mike Pompeo is calling on the Chinese people to alter the ruling Communist Party’s direction in a speech to be delivered explaining the Trump administration’s response to China https://t.co/Q2ablfH0On
— The Wall Street Journal (@WSJ) July 23, 2020
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