ドル安金高の中、2,000ドル到達後、次の目標値についての予想を見てみましょう。Man Yin To氏のレポートから、マネーサプライ・バランスシートの両モデルからの目標値です。
マネーサプライとバランスシートから見た金の価値
収益を生まない資産として、価値を失いかけた時期もあった金。でも、今は違います。
現金がゴミになるという話が、脅しではなく、現実のものになりつつある今。金価格は、ドル切り下げによって、価値を取り戻したどころか史上最高値まで上昇しました。さて、次は、どのレベルで安定していくかですが、Man Yin To氏は、2つのモデルを提示しています。
●マネーサプライモデルによれば、金の公正価値は2,040ドルから2,070ドルの範囲内と推定される。
●バランスシートモデルによれば、金の公正価値は2,349ドルと推定されます。
マネーサプライモデルによる金価格
世界中で量的緩和が行われた結果、マネーの増加に伴い、金価格が上昇するのは、わかりやすいロジックです。
インフレは、マネーサプライの増加によって生じる。そして、金は、インフレに対するヘッジゆえに、両者は正の相関関係になる。
マネーサプライモデルから分析した金の価値は、2,040ドル~2,070の間という分析。これは、M1とM2のマネーストックカーブから分析した数値です。
M1:アメリカのマネーサプライ(現金, M1, M2, M3) 1959年からアメリカの米連邦準備銀行は以前、M1,M2,M3の3つの統計を公開していたが、2005年11月10日に2006年3月23日分からM3の公表を中止すると発表した。したがって、2006年春より連邦準備銀行はM1, M2の2つの統計だけを公開している。M1は、一般に支払いのために使われる通貨からなり、現金と当座預金からなる。
M2:M1に流動性の高い預金口座(普通預金および小額の定期預金)を足したものである。これらの預金は、元本を損失することが全くか、ほとんど無しにM1に交換できるものである。
FRBのバランスシートからは、2,349ドルが基準
こちらも根拠は簡単。FRBがお金を印刷して拡大したバランスシートの分だけ、金価格は上昇します。しかし、バランスシートの拡大によって、経済が拡大すれば、その分は相殺されるということになります。つまり、バランスシートとGDPの両方が、増加した場合、金の価値は変わりません。しかし、GDPの伸びよりもバランスシートの拡大が大きい場合、金の価値は上昇することになります。
2008年を計算の起点とした分析では、2,349ドルが金価格の基準となります。この2008年は、大規模な量的緩和がスタートし、新たな景気循環が始まった年だからとのこと。
現在、約1,970ドルですから、どちらのモデルでも、金価格は割安です。
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