その国の通貨供給量を示すマネーサプライは、過去、非常に増えています。金価格の上昇とは、比較にならないレベルで増加。そのことを示すのが、FRBが提供するM2とゴールドを比較したグラフ。
ゴールドとM2:マネーストックの関係
M2:マネーストックは。過去何十年も伸び続けています。金価格は、その動きに追いついていません。
M2には、主に家計が保有する幅広い金融資産が含まれています。M2は、M1に加えて次のもので構成されます。(1)普通預金(マネーマーケット預金口座、またはMMDAを含む)。(2)小額の定期預金(10万ドル未満の定期預金)。(3)リテールマネーマーケットミューチュアルファンド(MMMF)の残高。季節調整済みM2は、それぞれ季節調整済みの普通預金、小額定期預金、リテールMMMFを合計し、この結果を季節調整済みM1に加算して計算されます。FREDグラフ:M2
金本位制が終わって以降、金に縛られていた通貨供給は、大幅に上昇することになりました。特に、今回の新型コロナウイルスの影響あ大きいことは、このグラフから読み取ることができます。
金は、限られて埋蔵量と在庫の貴金属。ワールド・ゴールド・カウンシルのデータでは、世界の金在庫は、197,576トン(2019年末)
セントルイス連銀の調査では、マネーサプライの増加が、消費者物価指数に反映されるまでに、2~3年かかるといいます。
そうなると、新型コロナウイルスによるマネーサプライの増加が、インフレになるのは、2年後の2022年から2023年頃ということになりますね。このマネーサプライの増加は、2021年も続きそうです。トランプ政権はもちろん、バイデン政権になっても新型コロナ支援の経済対策は必須です。
米国の新型コロナ支援策の規模
さて、トランプ政権による新型コロナ支援対策は、巨額であり、金価格を上昇させる一因になりました。
- 第一回:緊急補正予算法:3/6:83億ドル
- 第二回:家族第一・コロナウイルス対策法:3/18:1,929億ドル
- 第三回:コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法:3/27:2兆2,830億ドル
- 第三.五回:給与保障プログラム・ヘルスケア強化:4/24:4,840億ドル
さらに、ペロシ下院議長とムニューシン財務長官で協議している追加の新型コロナ経済対策は、民主党が2兆2000億ドル規模、ホワイトハウス側が、1.8兆ドル規模と巨額です。
いずれ、財政赤字拡大・マネーサプライ拡大という形で、様々なところに影響が出てくるのは間違いありません。
そうなると、金価格も2,400ドル~3,000ドルへと上昇してもおかしくありません。
価格インフレではなく、金の価値を決定するのは金銭的インフレ(つまり、マネーサプライの成長)です。
M2に戻すには、金を約$ 2,400に増やす必要があります。
米国が抱えることになる巨額の財政赤字を何とかするには、プラザ合意などのようにドル安誘導しかなくなってきました。借金を返すため、金利上昇を抑えながらのドル安は、ゴールドの大好物です。
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