金(ゴールド)と白金(プラチナ)は、同じ輝き人類を魅了する貴金属として高い価値を持っています。
共に、人工的に作り出せず、宝飾品や工業品として使われている点も似ていますので価格の動きが似ています。
その価格差(サヤ)を利用してサヤ取りトレードを行う方法をご紹介します。
金と白金のサヤ取り
組み合わせ取引=異銘柄の鞘取りの中でも、古くから活用されてきた方法です。
商品先物取引の最低単位は、金1000g(1枚)に対して白金500g(1枚)ですから、金1枚に対して白金2枚になるように取引枚数を調節します。
金と白金の需給
●金の需給
金の需要は44%が宝飾品に利用
金の生産(鉱山供給)は、米国・中国・オーストラリアなど各地に分散
●白金の需給
自動車用触媒など工業用需要が全体の半分以上を占めます。
供給はロシアと南アフリカが9割と生産国が偏っています。
この違いが価格差に反映されます。基本的には、生産量の少なく希少価値を持つことから、白金価格は金価格より高値で取引される期間の方が長い。
日本人は、世界の中でもアクセサリーとして渋い輝きを持つ白金を好み結婚指輪はプラチナという方がほとんどです。一方、多くの民族は宝飾品としてキラキラ輝く金の方を好みます。
金と白金の価格差データ
過去の両銘柄の価格差について調べてみました。
金と白金の価格差推移
●白金価格-金価格の差:1984年1月~2013年6月まで東京工業品取引所の先物価格終値によるデータです。
過去の価格差データ
・価格差平均値:596.4円
・最大価格差:3742円(2008年6月)
・最大価格差逆転:-499円(2012年7月)
金と白金の価格差は、2008年6月に最大となっています。これは、2000年以降に資源価格が上昇したこと、そして中国の景気拡大・自動車販売の急拡大をうけて白金価格が上昇したことが原因です。
その後に急激に縮小したのは、リーマンショック以降の世界経済の落ち込みで自動車触媒に利用される量の多い白金価格が下落し、一方では、リスク回避と金融緩和の影響で金投資の人気が高まったことが原因です。
●2012年1月~2013年7月11日の価格差推移のデータです。
一時、白金と金価格の差は、逆転し2012年7月には価格差が最大499円まで広がりました。
しかし、白金は、南アフリカのアングロ・アメリカン・プラチナの人員削減計画による経営再建問題による生産不安。労働者のストライキが頻発し生産減少問題が取りざたされるなど南アフリカ情勢が混沌化し供給不安が高まりました。金市場の方は、2013年4月以降に金ETFを中心に投資資金が流出し、金相場の暴落が起こりました。現在、FRBが金融緩和の縮小を市場にアピールしており、下落もしくはもみ合い状態が続いています。
この中で、両銘柄の価格差は白金高の方向に広がっているわけです。
価格差が拡大すると予想するなら、【白金買いの金売り戦略】
価格差が縮小すると予想するなら、【白金売りの金買い戦略】
異銘柄さや取りのリスク
異銘柄さや取りの場合、用途の代替が効くものほど裁定取引が働き価格差は一定に保ちやすくなります。
金と白金の場合は、宝飾品需要や金融資産としての側面が強い金と、自動車用触媒として工業製品の用途が強い白金とは用途にかなり違いがあります。そのため、裁定取引が働きにくい場面もあることに注意してお取引ください。
また、産業構造の変化や大鉱山の発見などで、大きな需給バランスの変化に見舞われることもゼロではありません。かつてメキシコなどで大量に銀が発見されたために金銀の供給バランスが崩れて銀価格が値崩れしたケースやロシア鉱山の供給停止でパラジウム生産が止まり白金とパラジウムの価格差が異常に広がったケースなど様々な事例があります。
予想が外れて両銘柄で損失を出す可能性もありますので、通常の取引同様に損切りをどこで行うか、損をどこまで許容するかの価格水準を決めた上で取引することがリスク回避のポイントです。
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