金相場は2016年2月も上昇トレンド。2月末の終値で1234ドル。
世界経済が不調の中で、中央銀行の対応に限界が見えてきたこととマイナス金利導入が金投資にメリットをもたらしている。
世界的な成長鈍化とマイナス金利が金投資の魅力向上
新興国への資金流入が減り、世界経済失速の動きの中で、中央銀行の対策には限界がある。
日欧のマイナス金利導入は、元々、金利のつかない金投資に対して魅力向上の効果をもたらして金価格上昇効果を生んでいる。さらに、マイナス金利という未曽有の世界に突入したことで、ありあまる投資資金の運用先が無くなってしまった。
リスクの少ない市場環境であれば、アフリカ・インド・中国・中南米などの新興国に向かうところだが、資源安・中国経済の成長率鈍化:先進国入りで構造的・世界不況の中で、リスクを取ることはできない。
一方、日本やスイス・:欧州・北欧などの比較的安定している諸国の短期金利はマイナス金利。
2016年3月の金価格チャート:EVOCX
●3月7日のNY金価格日足チャート
●東京金日足チャート
3月に入り4500円を超えて上昇している。
2016年3月7日の1年国債金利
- 米国:0.657
- イタリア:-0.075
- インド:7.335
- ブラジル:13.980
- スイス:-0.790
- ドイツ:-0.416
- 日本:-0.192
これを見ると、米国に投資をしたくなる気持ちが良く分かります。それゆえに、米ドル高が進み今度は米景気ダウンの兆候が見えています。米FRBの利上げも後退し年3~4回どころではなく利上げできないのではという予想が増加。
JPモルガンによると、利回りがマイナスの国債残高はカ月前には3兆ドル、1年半前までさかのぼると皆無。3月9日にはマイナス金利の世界各国の国債残高は計6兆ドル(約688兆円)を超える額まで膨張。マイナス利回りの国債残高:ロイター
現在の金融市場は、ゼロ金利を超える歴史上でもほとんどなかったマイナス金利という異常事態に生きていることを忘れてはいけません。その副作用はこれから出てくるでしょう。
米利上げの停止は、最大の金価格上昇要因。そして、中央銀行の政策にもそろそろ限界と市場は見ており、リーマンショッククラスの爆弾がさく裂するのではと悲観的な予言も出ています。
- デリバティブバブルの破裂
- 中国発の世界的なデフレ輸出
- エネルギー関係のハイイールド債
- 不動産・住宅価格バブル
なかには、1400ドルへの金相場上昇を予想する声も
マルチファミリーオフィスのトーラス(運用資産14億ドル=約1570億円)でストラテジストを務めるライナー・マイケル・プライス氏は、金が年末までに1トロイオンス=1350-1400ドルに上昇する確率は高いと指摘する。1400ドルを付ければ、2月29日の水準から13%、1年では32%の上昇となる。ブルームバーグ
さらに、金価格の上昇率を上回るのが、バリック・ゴールドやニューモント・マイニングといった産金会社の株式、バリック・ゴールドの株式は2016年の年初来で74%上昇!
ABX:CN バリック・ゴールド
金ETFへの資金流入も増えており、2011年3月以来の高水準。
最も直近で入手可能な5日のデータによると、主要な金ETF8本を合計した金保有量HLDTOTALL=XAUは4330万オンスに増加し、昨年7月以来の高水準となった。さらに注目すべきは、年初の5週間における金ETFへの資金の流入ペースが8%超と、2011年3月以来の高水準を記録したことだ。ロイター
2016年3月7日現在の状況としては、世界的に株安やリスクオフの状況は落ち着いている。
しかし、2016年の株価下落や心理的負担が実体経済や経済指標に表れてくるのはこれからです。そこで一段のショックが引き起こされた場合には、マイナス金利ゆえに資金の逃避先が少なく金相場の上昇に繋がりやすい。
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