米国の利上げ時期を巡る動きに一進一退。年1回の利上げが5分五分レベル。9月利上げ確率は今のところ18%と低めの数字。
8月15日週は、連銀総裁達が、利上げに関する発言を繰り返しました。それゆえに、金価格も横這い状態。一方、銀や白金はやや下落傾向を見せている状態。
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NY金価格は、節目の1350ドル前後で動いており、期近では、1350ドル割れ。
目次
FRB内でも利上げに関する意見が割れる。ジャクソンホールでのイエレン議長講演待ち
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NY連銀のダドリー総裁やアトランタ連銀のロックハート総裁が9月利上げの可能性を指摘。
そして、サンフランシスコ連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は、早期に緩やかな利上げを行うことを示唆。同時にインフレターゲット引上げについても話しており、こちらはドル高へと傾きました。インフレを許容するということは、長期的に通貨安を呼ぶ、つまりドル安となり、その分、金価格は上昇する可能性があります。
FOMC議事録(7月開催分)でも、すぐの利上げを主張するメンバーと、経済状況や物価の様子を見たいとするメンバーがいるなど、意見をまとめ上げ切れていません。
連銀総裁の発言からは、2016年中に一度は利上げしておきたいという意図が感じられます。幸い、米ドル/円は米ドル安円高に動いており、一度の利上げは行うのではと予想しています。
8月26日のジャクソンホールに注目しましょう。
クリントン氏対トランプ氏の米大統領選挙は、クリントン氏が優勢。FRBの援護射撃も考えられることから、大統領選挙前の利上げは避けるかもしれません。利上げした場合に起きる可能性のある経済混乱や米株の下落は、トランプ氏を利する可能性がありますからね。
トランプ氏は、FRBの権限縮小などを主張していますので、FRBとしてはトランプ政権よりもクリントン政権を選びたいでしょう。
リスクオフの流れも金融危機の足音が忍び寄る
ドイツ銀行の経営不安やイタリアの不良債権問題はまだ収まらず、中国の不動産市況・成長率・投資減退などの話も頻繁に出てきており、金融危機の可能性は徐々に高まっています。
米国が利上げをすれば、それがきっかけで、新興国からの資金流出・欧州の銀行危機・中国経済の危機を招く可能性があり、そうなると一時的な金価格の下げはあっても、その後に金相場に資金が流入して上昇に向かう可能性が高いと思います。
原油が急激に上昇も材料的に危うい
WTI原油は、ここ2週間で約25%値上がり。OPECが来月に増産凍結について合意するとの観測から、上昇している。
しかし、ナイジェリアのカチクエネルギー相は、産油量凍結は困難で、原油価格上昇の見通しは甘いと楽観的な見通しを否定。モルガン・スタンレーのアナリストも、原油需要・ガソリン需要の低迷から、価格上昇への不安を呈している。
8月22日週の金相場の見通し。
GMOクリック証券CFD:NY金価格の日足チャート:2016年8月19日終値
チャート的に横這いの動きが続きそう。安値は拾われ高値は叩かれ、レンジ相場が続きそうな気配。NY金価格のメドは1350ドルであり、この水準を挟んだ小動きになるのではないでしょうか。
金融危機や経済・地政学的不安から、世界的に金投資の意欲は根強く、通貨安戦争の動きから、FRBの利上げがあっても長期的には高値を維持していくと考えます。短期的には利上げによるドル高は下落要因ですのでヘッジは大事。
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