11月8日に迫った米大統領選挙。直前に、ヒラリー・クリントン候補がメール問題でFBIの捜査を受ける件がきっかけとなり、トランプ候補が巻き返し。トランプリスクが再燃して、金価格は上昇しています。
トランプ候補が当選した場合は、一時的にリスクオフが強まり、円高・株安・金価格高が起きると市場は予想しているということですね。そのため、NY金価格は1300ドルを回復。
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金相場をはじめ、銀・白金は上昇。株価は全般的に下落。中でも英株は大幅に下落。原油はOPECの減産合意がなかなか具体化しないことが嫌気されて下落。
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2016年11月の金相場の見通しを巡る動き
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大きな課題は、米大統領選挙と米国の利上げ。これまでは、ヒラリー候補の当選と12月利上げが既定路線でした。
米大統領選選挙でトランプリスク再燃
いよいよカウントダウン。今週は、米大統領選挙の話題で持ちきり。ジョージ・ブッシュ候補とアル・ゴア候補が接戦を繰り広げた時以来の大激戦になりそうです。
- 米国大統領選挙:NHKでリアルタイムの状況や仕組みを知っておきましょう。
- CNN:米大統領選挙
- 2016 Presidential Election Polls
トランプ大統領当選となれば、金価格は一時的に上昇する可能性が高い。
米利上げ路線は継続
米11月FOMCでは、大きな変化はありません。一部では12月利上げに対しての確率が高まったとの見方も。
失業率にはここ数カ月間、あまり変化はないが、雇用の伸びは堅調だった。家計支出は緩やかに増加した(has been rising moderately)が、企業の設備投資は引き続き軟調だった。インフレ率は今年の初めからやや上昇した(has increased
somewhat)が、それまでのエネルギー価格とエネルギー以外の輸入物価の下落を部分的に反映して、委員会の長期的な目標である2%を下回り続けた。米11月FOMC声明
ただ、米大統領選挙でトランプ氏が勝利した場合に、金融市場が混乱する。いわゆるトランプリスクが懸念されており、米利上げへの障害は、これ一本に絞られた形。
ヒラリー・クリントン候補勝利やトランプ候補が勝利しても金融市場が安定して動けば、利上げは行われるでしょう。
一方で、日本はインフレ目標2%の達成時期を先送り。緩和を続けてもなかなかインフレ率は上昇せず、とはいえ、緩和を止めるわけにもいかずで、目標達成時期を先送ることでの現状維持を選択。
2%の物価目標達成時期を従来の2017年度から18年度に先送りした。一方、物価上昇のモメンタムは継続しているとして追加緩和は見送った。
量による短期決戦型から金利による持久戦型に切り替えた9月の会合からまもなく、市場も想定内と受け止めた。日銀が今後の主要追加緩和手段とするマイナス金利の深掘りは副作用も大きく、市場では当面追加緩和はないとの見方が広がりつつある。日銀
ISは崩壊寸前
IS(イスラム国)を支持するテロは、今後も起きるでしょう。しかし、イラク・シリアに広がるISの根拠地は次々と政府軍等に落とされており、世界の安全保障に対しての影響力は薄れています。そして、イラクの要衝「モスル」奪還は時間の問題。
イラク軍の特殊部隊が1日、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が支配する同国北部の主要都市モスルの町外れに到達した。軍報道官は、前線を突破したと話している。BBC
イラクのアバディ首相は数か月でモスルからISを追い出すと語っており、情勢は、ISに不利。
シリアでは、クルド人民兵部隊(YPG)やシリア民主軍(SDF)が、攻勢を強めており、シリア北部の奪還に成功している。さらに、トルコ軍がシリアとトルコの国境地帯を抑えたことで、ISの補給線に支障が出ていることに注目したい。
金相場を予想する上では、ISやイラク・シリア情勢が与える影響は弱くなっています。
しかし、ISの弱体化で、この地域が平和になるわけではありません。シリアのアサド政権とクルド人勢力の対立、トルコとクルド人の対立。イラクでのスンニ派とシーア派の対立など火種はごろごろと転がっています。特に、ISとの戦いで勢力を伸ばしたクルド人と周辺国の関係が最大のポイント。
クルディスタン共和国:1年で崩壊したクルド人の国。
●各国の株価やNY金価格
●NY金の日足チャート
NY金価格は11月に入り、トランプ候補の躍進でリスクオフが意識されて1300ドルを回復しています。
●東京金価格の日足チャート
東京金価格も上昇を見せています。ちょうど、一目均衡表の雲にぶつかるところであり、上下どちらに動くか注意すべきポイント。
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