トランプ相場がそろそろ一段落している中で、金相場はやや下落。重要なトピックはOPECの減産合意による原油価格上昇。
これも、トランプ氏勝利の賜物と言えるでしょう。また、米国の金利上昇・トランプさんの減税&財政出動・原油価格上昇とインフレに動きやすい芽が3つ揃いました。
インフレは、金価格を押し上げるというセオリーがあります。しかし、株や不動産といった資産価格のインフレでは、金利を生まないために「金価格は下落」というのが近代の動き。そのため、しばらくは、金相場に弱気の予想を建てています。
●金融市場の日足チャート:GMOクリック証券:CFD
●各市場の終値
OPECは原油生産で減産に合意
OPECは、2016年11月30日、ついに減産で合意。OPECの産油量を日量3360万バレルから、120万バレルを減産するという内容で合意しました。
- サウジアラビア:日量1005万8000バレル(48万6000万バレル削減)
- イラク:日量435万1000バレル(21万バレル削減)
- イラン:日量379万7000バレル
- クゥエート:日量270万7000バレル
- UAE:287万4000バレル
OPECに参加していないロシアは、協調して減産する意向を示している。OPEC&ロシアは、原油生産量を2016年1月レベルに戻そうと考えており、原油価格の目標を1バレル55~60ドルに置いている。WTIが51.65ドルであることを考えると不可能な目標ではありません。
ただし、米国・カナダなど合意の枠外にある国の増産余地は大きい。OPECの減産合意が順調に推移するか・シェールの増産に屈することになるのか原油市場への注目は高まっています。
国際エネルギー機関(IEA)は、2017年も供給過剰が続くことを予想しています。中国・インドの減速で需要が増えず、供給が減らないことが理由。
来年の世界の石油需要見通しは日量9730万バレルと、先月に比べ同20万バレル引き下げた。今年の需要の伸び予測も日量10万バレル減らし、130万バレルに下方修正した。7-9月に「中国とインドが劇的に減速」した上、先進国・地域での「伸びが見られなくなっている」と説明した。ブルームバーグ
また、トランプ氏は、国防長官にジェームズ・マティス氏を指名するなど、軍事方面の役職にタカ派的な人物を指名しており、中東に圧力をかけています。将来的に軍事的作戦がスタートする可能性があり、短期的に原油の安定供給に支障をきたす可能性があります。
今週明けのリスクは、イタリアの国民投票とオーストリア選挙。12月5日のAM11時にイタリア国民投票の結果が発表されるため、リスクのタネがあることをお忘れなく。
- イタリア国民投票スケジュール
- ANSA:イタリアのニュースサイト:英語
米金利の上昇が一段落知っている中で、欧州のリスクは高まっており、金価格の上昇要因は、欧州発の混乱でしょう。
もう一つ、人々は、トランプさんに期待しすぎではないでしょうか。彼の当選で、ここまで、株価が上がっていいの? 私財をなげうって、国家をどうこうできる程、米国は小さい国ではありません。ちょっと期待が大きすぎるのではないかと思います。
■来週の注目スケジュール
12月 5日(月):消費動者態度指数、中財新総合PMI、ユーロ圏総合PMI改定値など
12月 6日(火):車名別新車販売、ユーロ圏GDP確定値、米貿易収支など
12月 7日(水):景気動向指数、独鉱工業生産、米MBA住宅ローン申請指数など
12月 8日(木):GDP改定値、東京オフィス空室率、米消費者信頼感指数、中貿易収支など
12月 9日(金):法人企業景気予測調査、中消費者物価指数、米卸売売上高などフィスコ
この記事へのコメントはありません。