クルーガーランド金貨は、南アフリカの造幣局が製造・発行している地金型金貨。1892年から1900年に発行・流通していた1ポンド金貨を模したデザインで、地金型金貨の走りと言える存在です。1967年から発行。金投資の手段として人気化したのを見て、他国も同様の金貨を作り始めました。しかし、南アフリカ共和国でのアパルトヘイト(人種隔離政策)に対する抗議で、禁輸措置を受けたために、製造停止に追い込まれました。
クルーガーランド金貨が開いた、地金型金貨の主役は、メイプルリーフ金貨やウィーン金貨などが受け継いでいます。
クルーガーランド金貨とは
この金貨の品位は、22k。金の含有量は、91.67%、銅が混ぜられているために、やや赤っぽい色をしています。合金のため、純金(24k)よりも傷つきにくいという特徴があります。
クルーガーランド金貨の1トロイオンスは33.931g
クルーガーランド金貨の1トロイオンス金貨は、33.931g。1トロイオンスは31.1gのはずではと思った方は鋭い。
その理由は、金を1トロイオンス31.1g+銅2.83gの合金という仕組み。単純な重さは1トロイオンス以上ながら、金の含有量が1トロイオンスだから1トロイオンス金貨となるわけです。
表面には、トランスヴァール共和国(南アフリカの前身)の大統領【ポール・クリューガー】氏が描かれています。イギリスと戦ったボーア戦争時の政治家。
裏は鹿の一種として有名なスプリングボックがデザインされています。ラグビーの南アフリカ代表はスプリングボクスが愛称。
アパルトヘイトへの抗議で輸入を自粛
1980年代には、日本でもブームが起きたクルーガーランド金貨。しかし、アパルトヘイトへの抗議で経済制裁が実施されたために、この金貨の隆盛も終焉。
このころは、南アフリカが世界最大の産金国で、金と言えば、南アフリカという時期が長く続きました。クルーガーランド金貨の広告や特集を何度か見たような記憶があります。
- 1985年7月:南アフリカ共和国政府による非常事態宣言で、反アパルトヘイト運動への弾圧強化
- 1985年9月:英連邦、日本などが経済制裁に参加
- 1986年:アメリカも制裁開始
- 1990年2月:ネルソン・マンデラ釈放
- 1991年2月:デクラーク大統領がアパルトヘイト政策廃止を宣言
- 1993年10月:国連で経済制裁撤廃決議
- 1994年4月:全人種参加の選挙。5月にネルソン・マンデラ大統誕生で、アパルトヘイト消滅
今では、信じられない政策が実行されていました。南アフリカは、金・白金など鉱物資源が豊富な国ゆえに、日本をはじめとした先進国は、経済制裁などを実行するのを躊躇していました。
旧ソ連とも冷戦状態でしたから、そちらからの輸入も避けたい事情があったのです。日本人は、南アフリカとの貿易量が多かったために、黄色人種ながら名誉白人として扱われていましたね。
クルーガーランド金貨の価格
製造停止ということから、通常以上のプレミアムを期待する人もいると思います。しかし、製造枚数が約5,000万枚と多かったことから、希少性がなく、地金再生価格での取引がメイン。
1トロイオンス金貨の買取価格(大黒屋)2018年7月11日時点の金価格をもとにした価格
- 南アフリカ クルーガーランド:133,327円
- カナダ メイプルリーフ:134,663円
- 中国 パンダ:134,663円
若干ながら、メイプルリーフやパンダよりも安くなっていますね。なお、金価格は、常に変動していますから、それに合わせて、クルーガーランド金貨の値段も変化します。
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