世界同時株安でNY金価格は1250ドルを突破:ラリー・サマーズ氏の長期停滞論

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2016年1月・2月に生じた世界同時連鎖株安は、大きなリスク要因として金相場の上昇に繋がっています!予想よりも早く金価格上昇に繋がっており、今回の株相場下落が根深いものであることを想像させる程。

●NYダウ、日経平均、米10年債、日本10年債の日足チャート:2016年2月15日:GMOクリック証券

各通貨ペアの比較

日銀黒田総裁のマイナス金利、ドイツ銀行の債券CoCo債、中国経済、原油安と様々な問題を抱える世界経済

世界連鎖同時株安と金価格

●NY金価格の日足チャート:EVOCX

NY金は1250ドルを突破:クリックで拡大

世界連鎖株安で、NY金価格は一気に1250ドルを突破。特に、中国の春節・日本の建国記念日が重なった2016年2月11日が大きく相場変動。

注目されていたイエレンFRB議長の2月10日議会証言では、世界経済の悪化・金融市場の混乱・株安等に対して配慮した内容ではなかったために失望が広がる。


イエレンFRB議長(下院金融委員会での質疑応答):利下げが必要になるとは考えていないが、当局は必要なことを行う。2月10日の発言

イエレンFRB議長(上院銀行委員会での質疑応答):当局は2010年にマイナス金利導入を検討したが、緩和拡大の面でしっかりとした効果は出ないとの判断に至った。欧州など他国でのマイナス金利導入の実績を踏まえ、われわれは再度検討している。緩和拡大が必要となった場合に準備が整った状態にしておきたいからだ。2月11日の発言

イエレンFRB議長の発言

欧州のマイナス金利などもあり、ドイツ銀行の経営リスクがささやかれる。ドイツ銀行の破たんやリスクはリーマンショック以上のダメージを金融市場に与える可能性がある。ただでさえドイツはフォルクスワーゲンの排ガス不正問題を抱えている。日銀のマイナス金利も金融機関の収益に大きな影響を与えることから、ゆうちょ銀行など金融機関の株価は下落。

金融市場のカナリアとも言われる金価格は、米国の量的緩和縮小時からトレンドを転じて下落しています。その流れが変化したように感じます。

●東京金価格:EVOCX

東京金価格も4400円突破:クリックで拡大

ドル安円高情勢にも関わらず、東京金価格も上昇し、4400円を突破。

中央銀行は利上げできなくなる?

米国の利上げに続き、英国利上げの可能性が探られていましたが、それどころではない状況が到来しつつあります。イギリスのロンドンは住宅含め物価高で庶民が暮らし難くなっているものの利上げ時期はどんどん後倒し。アジアや中東のオイルマネーがロンドンに集中していたことが、ロンドンインフレの要因。ところが原油価格の下落により、このサイクルが止まりつつあります。

ラリー・サマーズ氏の長期停滞論

そもそも、世界経済は、深刻な需要不足で、問題が大きいと経済学者のラリー・サマーズ氏が指摘しています。ソロスなど有力ヘッジファンドマネージャー達は、こちらの見方を取っているのでしゃないでしょうか。需要は減少し、低インフレが継続するというのがサマーズ氏の主張。

サマーズ氏が主張するように、少子高齢化・アニマルスピリット不足・すでに多すぎる人口などから需要は伸びないという考え方の方が普通の人にとって、しっくり来るのではないでしょうか。

ウェブサイト:グローバルマクロリサーチインスティテュートがラリーサマーズ氏の長期停滞論をきちんと翻訳してくれています。

産業の利益率は今後非常に望ましくないパフォーマンスに終わる、というのが市場の下した評価であり、市場の悲観は既に長く続いている。キーワードは需要不足である。需要不足は投資を抑制し、投資が減れば失業率は高まり、失業者が長らく失業状態に置かれると、労働能力のない恒久的な失業者となって経済内の労働力を削ぎ落とす。

低インフレあるいはデフレは同時に緩慢な経済成長を示している。それが長期にわたって続くときには、経済の需要側で何かがおかしくなっているのだと考えなければならない。

元米国財務長官ラリー・サマーズ氏が長期停滞論とは何かを語る

ベン・バーナンキ氏とラリーサマーズ氏の長期停滞論に関する議論

サマーズ氏は1年以上にわたり「長期停滞論」、つまり、慢性的需要不足が原因という説を唱えている。バーナンキ氏はこれに反論し、景気循環と特殊要因が背景にあるとしている。いずれの議論も説得力がある(そして、面白い)。

「長期停滞」の単一的定義は存在しないが、多くのエコノミストは、低成長と低インフレ、そして低金利の組み合わせが数年以上続くという条件では同意している。重要なのは、名目金利からインフレ率を引いた実質金利だ。実質金利は貯蓄(投資と一致する)の需給調整に必要な形で価格のように上下する。貯蓄が多く投資が少なければ、「均衡」実質金利は押し下げられる。ウォールストリートジャーナル

ベン・バーナンキ氏は、FRBで量的緩和を主導してきた立場、もし、量的緩和そしてアベノミクスが失敗したら、その後に起きる副作用は相当なものだろう。今、起きている金融市場での異変はその幕開けなのではないだろうか。金相場の上昇傾向は量的緩和の失敗を示すとしたら、バブル崩壊は、リーマンショック以上になると予想できる。

金相場の今後は原油価格と米FRBの金融政策が影響

今回の世界連鎖同時株安が止まれば、金価格の上昇トレンドも止まる。リスク要因の一つである原油価格下落が止まり株価が回復すれば金価格も落ち着くのではないでしょうか。シェール企業の決算は2月後半に集中しているので、その決算次第で、一段と金融市場は荒れ模様になりそう。

一方、米FRBが利上げを撤回して、利下げやマイナス金利など量的緩和方面に踏み込めば、以前のように金相場は1500ドルや1700ドルを目指して上昇していくと予想できます。