南アフリカで起きていた白金の電力ストライキは8月12日に終了。
米国は、雇用統計や物価など好調な経済指標と、GDPや小売売上高など不調の経済指標があり、利上げの判断に迷いが出ています。年内に1回の利上げがあるかどうかという局面で、金価格も利上げの話が出ながらも大きく下げる場面はありません。
今の米国経済と利上げ見通しについて、8月26日にジャクソンホールで開催されるイエレン議長の講演内容に注目が集まりそう。
世界経済は以前として弱いままであり、ドイツ銀行の経営不安問題・イタリアの不良債権問題など欧州方面からは、金融危機の兆候が出始めています。
利下げや追加緩和に動く中央銀行
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日銀は追加緩和・英国・豪州・NZと相次いで緩和か利下げを行い、9月にECBも追加緩和するとの予想が出るなど、中央銀行の緩和・利下げへの動きは止まりません。そのため、金価格は緩和マネーが流入するだろうとの考えから下支えされています。そもそも緩和=通貨の信用を下げる行為ですから金投資にはプラスです。
●各市場の日足チャート:GMOクリック証券のCFD
金相場・銀相場は横ばい。プラチナは下落。株価は米利上げの遅れ・各国の緩和から上昇。
●各市場の終値:データはロイター&ブルームバーグ
白金相場は、南アフリカの電力ストライキ終了で下落
白金相場は、南アフリカの電力会社エスコムで8月8日に、南アフリカ全国鉱山労働組合によるストライキが実行されたことで上昇。10日には1199.5ドルまで上昇。
しかし、約1週間にわたるストライキは、12日に終了。8.5~10%の賃上げを確保できたことで、一旦、終結しました。
The new deal signed between Eskom, the NUM and Solidarity grants the lowest-paid workers increases of 10%, while other employees will receive an 8.5% raise in line with the NUM’s revised demands.BDlive
ストライキの終了で、白金相場は下落しました。米国の小売売上高悪化は、金価格・白金価格を一時押し上げるも、電力ストライキ終了のニュースで大幅続落。
中国の7月新車販売は、前年同月比23%増加の185万台だったことも白金相場を押し上げた要因の一つ。
西欧の7月販売台数は、前年同月比2.0%減少の107.1万台。ドイツとフランスの数字が悪い。
ドイツ、フランス
ドイツの7月の乗用車販売は前年同月比3.9%減、1~7月の累計販売台数は前年同期比5.4%増となった。フランスでは7月の乗用車販売は10%近く減少し、7月の季節調整済み年率換算販売台数は170万台/年の水準に低下した。自動車産業ポータル
自動車の触媒に使われる白金は、自動車販売台数が増加すると価格上昇、減少すると下落する性質を持つ
金相場の見通し
●NY金価格の日足チャート:EVOCX
一目均衡表の雲に沿う形で横這いが続く。米国の利上げが実施されれば、一時的に金価格は下落するでしょう。
そのため、米国の利上げ有無が金相場の最大の変動要因である現状に変化はありません。遅れているものの年内もしくは来年早々に一度は利上げされる可能性は高い。
しかし、先進国のほとんどが緩和に向かう中での利上げは米ドル高を呼び、米経済が悪化するリスクはかなり高く、そうなると金投資に資金が向かい上昇に転じると考えます。
●東京金価格の日足チャート:EVOCX
東京金価格は、為替相場が円高傾向に動いているため、下落トレンド。一目均衡表の雲にぶつかり、ここで止まるか一段下げがあるか注目ポイント。遅行線と価格が4335円と重なっており、為替相場の動き次第で割り込んだ場合は、一段下げもありえる。
15日の日本GDP速報値が注目されており、数字が悪い場合・数字が良い場合、それぞれに為替・金相場の反応を注目したい。
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