米国は、7月29日の2016年4-6月実質GDP速報が前年比1.2%で予想より悪く景気悪化の疑い。ところが、8/5の7月米雇用統計が予想より大幅に上昇。早期利上げの可能性から、金価格は下落し、1344.4ドル(12月限)で週末を迎えることになりました。
米7月雇用統計が予想よりかなり良い数字
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- 非農業部門雇用者数:25.5万人増加(予想18万人増加)
- 失業率:4.9%(予想4.8%)
- 平均時給:前年比2.6%増、前月比0.3%増
米GDPは2%程度を想定されていた中での1.2%。それに対して、雇用統計は大幅増加。賃金も増加していることから雇用やインフレ面を見ると利上げ環境は整いつつあります。
2016年8月5日の終値
●GMOクリック証券CFD
米雇用統計を受けて、米金利は上昇。日本の10年債は、金融緩和の限界論が浮上して上昇。金価格は下落。原油相場は安値から反発。
豪英と相次いで利下げし通貨安競争が再燃か?
豪中銀は、2日に政策金利を過去最低の1.5%に引き下げ。低インフレ・豪ドル高を抑えることを目的に、今年2度目の利下げ。更なる利下げも予想されている。
英中銀は、4日に政策金利を過去最低の0.25%に引き下げ。さらに債券買い入れなど緩和策も実施。追加緩和の用意もカーニー総裁が示唆。
これにより、二つの方向性が考えられます。利上げ方向にある米ドル上昇の余地が出てくることから、相対的に金相場は下落する可能性。逆に、金融緩和・利下げによって、金利を生まない金投資の魅力は上昇するため、金相場への上昇要因になる可能性。プラス面・マイナス面のどちらが出てくるか、方向性に悩むことからレンジ相場になることも予想できそう。
IGグループのアナリスト、クリス・ボーチャンプ氏は、「雇用統計で米ドルは上昇して金塊相場は下落。しかし、押し目買いも多く、すぐに値を戻すだろう」の見解、8/5の金相場は下落するも下げ止まる。
豪英と利下げが相次いだことから、米国は雇用統計が良い=利上げを行うかFRBの判断は悩ましくなる。ここで利上げをすれば、行き場を失った資金は、米ドルへと流れ込み、米ドル高による景気減退を生むことになりかねません。11月に大統領選挙を控える中、米景気をクールダウンさせた場合、FRBに対する風当たりが強まることは予想できます。トランプ氏は特に、米FRBの権限縮小・グラス・スティーガル法の復活などを唱えていますからね。
FRBとしては雇用統計が良くなくて、このまま様子を見たかったのではないでしょうか。GDPが悪く雇用統計が良いというまだら模様は、彼らの苦悩を深める結果になっています。年内1度の利上げ(9月or12月)の可能性は高まっていますが、もし、米ドル高による米経済指標悪化が顕著になれば、利上げできないシナリオも残しています。
さらに、日本の量的緩和の限界、各国の通貨安競争が激化していけば、金融市場全体が波乱を生む可能性は高いまま。
以前にもお伝えした、ドイツ銀行の危機問題もくすぶったままで、IMFが6月29日、ロイターが7月13日にドイツ銀行の問題が大きなリスクを抱えていると指摘しています。
ロイターがリーマンブラザーズの再燃かと報道
- LIBOR操作で25億米ドルの制裁金
- 米国が経済制裁している国との取引で2億5700万ドルの罰金
- 2015年の最終損益は68億ユーロの赤字
- ドイツ銀のデリバティブ業務の規模は520億米ドル
- ドイツ銀のレバレッジ比率は40倍以上
- IMFは、ドイツ銀が最大の潜在的リスク
- 2016年6月に9000人のリストラ計画
- 19%の売上高が英国からで、英国のEU離脱は致命的な打撃
今週の金相場見通し
米雇用統計が終り、少し夏枯れ模様に。リオ五輪を見ながらのんびり過ごしましょう。
NY金相場は、レンジ相場入りを予想。上値・下値ともに綺麗なレンジで8月中は動いていきそう。1300ドルをキープできるかは注意しておきたい位置。
米国を除く金融緩和路線の中、下値は買われやすい。米国の債券投資家「ビル・グロス」氏は、ゼロ金利そしてマイナス金利の中で、債券・株式に投資しても収益は期待できない。資産として、土地・金投資・有形の設備が割安な場合は、おススメと自身の見通しを語っています。
●NY金価格の日足チャート:EVOCX
●東京金価格の日足チャート
東京金価格は一目均衡表の位置が悪くなりかけており、一段の下落に注意が必要。遅行線が実線の関係。基準線・転換線が下げ方向に動きつつある。為替相場の動き次第の展開。
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