中国政府は、資本流出への対抗手段として、金(ゴールド)の輸入制限と外国送金の制限を実施中。その要因は人民元安。
2016年の中国人民元は、下落相場が続き、中国政府の介入を必要としました。
急激な人民元安を防止するために、中国は、ドル売り人民元買いの介入を実施。人民元が安くなると輸出にはプラスになるものの、国外への資金流出が激しくなるため、元安を緩やかにしたいという意図。
減少する外貨準備高:金の輸入制限
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その結果、2014年初めに4兆ドル近くまで増えた外貨準備高が減少。
米ドル/人民元(USDCNY)は、2014年1月の6.03から2016年12月には6.97までドル高人民元安が進みました。データはサーチナ
●日本と中国の外貨準備高推移
出典:世界経済のネタ帳
2017年1月7日に、中国人民銀行が発表した数字では、2016年12月末に3兆105億ドルまで減少。中国経済の不透明感から、海外に資金が流出していることと介入の二点が、大きな問題になっています。
人民元安をヘッジするためにも金を買いたい!
中国の個人や企業にとって、人民元安が進むということは、人民元建ての資産が目減りするということ。そのヘッジとして金投資をしたくても規制に邪魔されるという構図。
元安を嫌って外貨を買おうにも規制。金を買おうにも規制⇒中国の富裕層はキツイ。
確かに放っておくとキャピタルフライトに繋がるために、政府としては放っておくことはできません。
金の輸入規制は、2016年12月頭にFTで報じられたのをきっかけに、様々なニュースが出ています。具体的な金額や法律で止めているよりも、金の輸入を抑制する形で規制中。
中国で金を輸入するには、「金貿易業務の免許」が必要。そして、このライセンスを持っている金融機関や会社が輸入許可を得ることが難しくなっているとの報道が相次いでいます。
FTの記事によると、外国資産の購入や送金に関して厳しい制限が登場。
この数日前、中国の内閣に当たる国務院は高額な外国資産の購入を制限するルールの草案を示しており、外国為替管理当局も外国送金の届け出が必要な金額をこれまでの5000万ドル以上から500万ドル以上に引き下げ始めていた。
本紙(フィナンシャル・タイムズ)が入手した資料によれば、中国人民銀行(中央銀行)はこれから、中国を本拠地とする企業による人民元の外国送金を、純額ベースで株主資本の30%以下に制限する。これまでは、このような送金の額に上限はなかった。むしろ中国政府は、広い意味での人民元国際化の一環として送金を奨励していた。JBPRESS
中国は、金の生産量・需要共に大きい国であり、金相場に対する影響は大。
人民元だけで持つことへの不安を持つ富裕層は、金やビットコインでヘッジしたいニーズを強く持っています。
米国が吸い取る世界のお金
特に、トランプ政権の誕生・利上げで、これから、インフレ・米国回帰の流れが起きている米経済。米景気が良くなる&金利上昇すれば、ますます、世界中からの資金が米国に集まるでしょう。
そうなると、資本流出におびえる新興国は、様々な規制を掛けてくる可能性が大きい。それこそ、日本すらキャピタルフライトによる急激な円安を心配する声が上がってくるでしょう。
しばらく、金価格にとって、逆風が続きそうですが、その後に来るであろう資産バブル崩壊時には、金投資が見直されると思います。米国の株式相場の変動が激しくなり乱高下しはじめる頃から、金価格の上昇が始まるのではないかと予想しています。
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