鉱山会社のヘッジ売りは、金の値下がり予想で増加する

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鉱山会社のヘッジ売りのことを、生産者ヘッジと呼びます。鉱山会社は、金価格の下落による損失を回避する目的のもとに、先物市場で金を売るヘッジ取引を行います。金投資の経験が長い方なら、1990年代に頻繁に登場したことを覚えているかも。

鉱山会社は、収支を計算して生産計画を作ります。ところが、生産したゴールドをいざ売る段階になって、安値でしか売れないとなると、多額の資金を必要とする採掘プロジェクトが成り立ちません。そのため、オプション・先物・フォワードなどを駆使して、あらかじめ、金の販売価格を固定するオペレーションを行います。

金鉱山会社のヘッジ売りの目的

金価格の値下がりが予想される場合に、鉱山会社はヘッジ売りを行います。そのため、相場が低迷していた1990年代後半は、頻繁に行われていました。2000年代に入ると、金価格が上昇をし始めましたので、逆に買戻しが増加。

今後も値下がり局面では、鉱山会社のヘッジ売りが増え、さらに相場が下がるというループになるリスクがあることは、覚えておきましょう。

1990年代は、中央銀行の金準備売却懸念が強く、年間500トンを超えるレベルのヘッジ売りがありました。しかし、ヘッジすれば、それで安心という訳でもありません。金価格が上昇した時の恩恵は受けられなくなるのに、様々なコスト上昇が起これば、経営者は苦しい立場に置かれます。まあ、労働者や株主側からすれば、せっかく、相場が上昇したのに、ヘッジが厚すぎて利益が出ないのは許せないでしょう。

実際、21世紀に上昇した金相場。それに対して、値下がりリスクに備えた鉱山会社は、ヘッジを行ったために、値上がり益を十分に得られないという皮肉な結果。鉱山会社の一部及びその株主は、ゴールドが値上がりしているにもかかわらず、長期ヘッジで固定した低いコストで売るという失敗をおかしています。まあ、相場のことですから、失敗と言い切るのは酷なのですけどね。

住友金属鉱山の金ヘッジ:具体例

住友金属鉱山は、米国にあるポゴ金鉱山から採掘する金について、ヘッジ取引を行い、リスクを下げています。2009年からヘッジを行い、2017年8月30日に、下記の内容で延長。

  • 2019年1月~2019年12月の権益85%のうち1/4をヘッジ
  • 下限価格は、1200ドル/トロイオンス。上限価格が1450ドル/トロイオンス
  • ミニマックスヘッジ:1200/ドル/トロイオンスでトレーダーに売る権利(プットオプション)を買い。トレーダーが、1450ドル/トロイオンスで買える権利(コールオプション)を売る。
  • コスト無で、1200ドル~1450ドルの幅で、実効販売価格を固定

このヘッジ取引により、金価格の変動に対する経営リスクが下がります。パターンは、以下の3つ。

  • スポット価格が、1200ドル以下に下がっても1200ドルで売ることができます。
  • 1200ドル~1450ドルの間であれば、スポット価格通りで販売
  • 1450ドル以上に上昇した場合は、1450トロイオンスで販売することになります。

1450ドル以上に、金価格が上昇しても、値上りメリットがない代わりに、1200ドル以下に下がっても、値下がりリスクがないという結果になります。ただし、ポゴ金鉱山から採掘する金のうち、住友金属鉱山の権益は85%で、そのうち1/4ですから、ヘッジしているのは、生産する金の一部です。

◆XAU/USDの月足チャート サクソバンク証券のCFD 2018年7月24日

金のヘッジ

現在の金価格、1450ドルは遠く、1200ドルは近くなっており、ヘッジしておいてよかったと住友金属鉱山は、ほっとしているでしょう。

金鉱山会社のヘッジ量自体は、少なく、相場に与える影響は少ないと言われています。しかし、ゴールドの先安を予想して、ヘッジ量が増えていくのは、明らかに、相場を引き下げる要因です。

投機の割合が増えた現在のコモディティにおいて、鉱山会社のヘッジ売りが相場に与える影響は、弱まっています。

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