コモディティのスーパーサイクル。JPモルガンのアナリストは、2021年2月10日のレポートで、商品相場が、大幅な上昇サイクル=スーパーサイクルに入っていると指摘しています。すでに、金価格や石油価格は、2020年に上昇。
なお、スーパーサイクルは、過去100年で5度目。
目次
2021年、スーパーサイクルで商品市場が上昇する材料
- コロナ後の景気回復
- 緩和的な金融政策
- 大きな財政出動
- ドル安
- インフレ
- 積極的な環境政策
この辺りは、納得の行くところであり、まず、金価格が上昇し、続いて原油や白金が、上昇トレンドに乗っています。
前回のスーパーサイクルについて
前回のスーパーサイクルは、1996年から2008年までの上昇局面。そして、2008年から2020年までの12年間の下落場面。
- 上昇局面:中国の台頭やイラク戦争
- 下落局面:リーマン・ショックやシェールオイルの開発、中国の景気減速
カナダのサイモンフレイザー大学経済学教授「デービッド・ジャックス氏」の説では、少し時期がずれており、1910年代、50年代、70年代、2010年代をスーパーサイクルと定義。
典型的なスーパーサイクルは、10─20年間で価格が前回のトレンドから20─50%上昇した後に下落し始める。サイクル全体は通常、40年未満で完了するという。過去のスーパーサイクルは、19世紀後半の米国の工業化と都市化、2つの世界大戦、そして20世紀半ばの欧州と日本の復興と関連している。直近のスーパーサイクルは、1980年代の改革開放を経た中国の急速な工業化と都市化に大きく由来している。ロイター:スーパーサイクル
スーパーサイクルが起きるためには、商品市場に対する旺盛な需要が必要となります。大国が急激な成長を遂げるためには、インフラ整備や工場建設・生産のために、石油・金属・貴金属など多くの資源が必要。その需要が、商品のスーパーサイクルを生じさせると言えます。
貴金属・原油・ガスなどの商品は、長く価格低迷が続いたため、資本投資の少ない分野でした。そのため、パンデミック終了後の需要回復に応えられない可能性があります。それこそが、商品市場の需給サイクル。
私たちの分析に基づくと、金と銀の採掘、統合された石油とガス、銅などの商品分野のいくつかのセクターは、世界で最も資本が不足しているセクターの1つです。供給への投資不足は、世界がパンデミックから脱しつつある今年、これらのセクターが需要の力強い回復に対応できないことを意味します。商品のスーパーサイクル
●スーパーサイクルを牽引する材料
新たなスーパーサイクルは、インドと環境
その点、今回、大きなサイクルが始まるとするなら、インドの成長が大きくなるでしょう。
●インドの成長
インドは、人口・識字率の高さから、様々な問題がありつつも次の成長国となるだろうと予測されています。2050年には、GDPの順位で、日本を抜き、世界3位の座につくと予想されたこともあります。その順位は、中国、米国、インド、ブラジル、日本、ロシア。
●エネルギーの転換
次に大いなる可能性を持つのは、エネルギー政策の転換。石油・石炭といった化石燃料から、再生可能エネルギーへと置き換わる過程で、多くのインフラ投資が必要になります。電気で走る車をリアルに流通させるには、ガソリンスタンドではなく電気充電スタンドが必要ですし、発電所も火力や原子力を風力などに置き換えていくことが必要。その過程では、多くの金属・貴金属が消費されることになります。
それが、本当に実現すれば、石油・鉄・銅・白金・金を膨大に消費することになりますね。需給バランスは崩れ、商品市場は、上昇することになるでしょう。これが、スーパーサイクルの要因。
「グリーン化すると、ゴールドマン・サックスは、「2000年代の新興市場主導のサイクルと同等の設備投資サイクルを生み出す可能性がある」と主張しています。ゼロヘッジ
ゴールドマン・サックスのジェフリー・カリー氏の予想
ゴールドマン・サックスのスーパーサイクル予想は、以下のような形。WTIは、72ドルでピークに達し、産業用の金属は、さらなる上昇を期待。
- WTI原油:2021年66ドル、2022年62ドル
- 銅:2021年8.625ドル、2022年9.175ドル
- 金:2021年1,925ドル、2022年2,000ドル
商品のスーパーサイクルについての意見
私はこの「スーパーサイクル」という言葉は好きではないですし、根拠に乏しいと思っています。サイクルではなく、人口動態の変化によるもので、そもそも2022年頃からインドのインフラ投資需要が増加し、特に鉱物資源価格が上昇するとみていました(続く)
— 新村直弘 (@nniimurarisk) February 16, 2021
JPモルガン、ゴールドマン予想のスーパーサイクルに対する反論👇
実現には長期石油需要が必要。世界の消費量37%をアジアが占めるが大半は中国🇨🇳。その🇨🇳はコロナ禍から回復する為の経済対策を縮小し始めており、その強制的な景気減速により需要は抑えられるので困難との見方https://t.co/XANGaCAhpd— love_investment (@loveinvestment1) February 18, 2021
スーパーサイクルが実現すれば、原油の100ドルや金価格の2,000ドルなどが、再び視野に入ることになります!今後、需要がどれだけ増えていくか見ていきましょう。
2018年に、原油やゴールドが上昇した時も、スーパーサイクル入りではと言われた時期がありました。この時の上昇は、一過性だったわけで、JPモルガンの予想は、的中するのでしょうか?
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