VanEckVectorsによる2020年及び2021年の金価格変動要因のまとめです。
2020年の金相場まとめ
まず、新型コロナウイルスのパンデミックの影響が、最大の変動要因
新型コロナウイルスのパンデミックで、金価格は上昇
金価格は、パンデミックの影響で、2020年に25.1%または、381ドルの上昇。
最初、市場全体が、ポジションの精算・現金化に動いたため、3月16日に、2020年最安値である1,451ドルまで下落。
その後、パニックが収まり、ロックダウンの影響、各国での金融緩和・財政支出によって、金価格は上昇。7月27日に史上最高値1921ドルを超えました。
8月7日、史上最高値の2,075ドルを付けています。
2020年の金価格:GMOクリック証券 金スポット日足チャート 2021年1月15日
ワクチン開発で一喜一憂
8月以降、金価格は、一段落。1800ドル~2,000ドルの間で、短期的な下落を見せていました。
11月初めに、COVIDワクチンの開発が実用化されて、金価格は、下落。
米ドル安などもあり、1オンスあたり1,898ドルで年末を迎える
2020年、金の強気相場。その原因
●パンデミックによって引き起こされる不確実性とリスク
●米国連邦準備銀行(FRB)の金利目標の引き下げ(0%まで)、債券利回りの低下、実質金利のマイナス
●巨額で前例のない政府の赤字支出
●FRBの量的緩和(国債と住宅ローン担保証券を月額1,200億ドルで購入するため)
●証券を購入し、経済全体に信用を拡大するためのFRBプログラムの前例のない拡大
●企業間の債務水準の高騰
●7月から始まるドル安
●中国との貿易およびその他の緊張
上記が、2020年の金価格を上昇へと引き上げた要因でした。そして、2021年も、また、上昇トレンドが続くのではないかと予想しています。
2021年の金価格:上昇予想
- 名目金利及び実質金利のマイナス
- 2023年までのゼロ金利政策の継続
良く言われていることですが、ゼロ金利が続くことで、投資家は、リスク資産へとマネーを動かすことになります。マイナス金利やゼロ金利では、お金を預かっても、利益が出ませんからね。さらに、政府及び中央銀行が介入することで、市場メカニズムは歪められており、ビットコインやテスラの暴騰につながっています。株式投資アプリのロビンフッドによる投資ブームには善悪両面があると思います。
●債務の拡大:2021年、OECD加盟国の公的債務残高は、前年比1270兆円増加。コロナによる債務増加は持続できるのでしょうか。
◆IMFレポート⑨(終)債務とデフォルト
・左グラフ:濃い緑が家計債務、薄い緑が企業債務。グレーは成長率。高い債務を抱える中で、厳しい景気後退
・右グラフ:米国などで債券のデフォルトが増加
・IMFは銀行部門やファンド、新興国含め、マネーフローが経済に打撃を与えるリスクを注視(終) pic.twitter.com/7jwjolEvDf— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) June 28, 2020
●バイデン政権による財政拡大:まずは、1兆9000億ドル規模の追加経済対策で船出。今後、増税や財政支出は、政府の債務負担を増加させることになるでしょう。ゴールドは、インフレと通貨価値低下へのヘッジ手段として、考えられています。
④バイデン次期米大統領は14日、新型コロナウイルス危機に対応し、総額1兆9000億ドル規模の追加経済対策案を発表。金は一般的に経済対策の結果として生じるインフレと通貨価値低下をヘッジする手段とみなされ、強材料視されている。(続く)
— 第一商品 マーケット速報 (@Daiichi_F24) January 15, 2021
◆米金利は落ち着き ← 米経済対策発表
バイデン氏の経済対策スピーチは事前報道に概ね沿った内容でした。スピーチ前後で、米10年債は1.13→1.10%程度に低下しました。きょうはパウエル氏の討議も無難に通過。先週からの米金利の急上昇には一服感が出ています。 pic.twitter.com/1fDqdj1tfD— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) January 15, 2021
●インフレ率の制御:インフレ率2%を一時的に、超えても良いことを許容したパウエルFRB。インフレを制御できるかどうか誰にもわかりません。
●米ドル安:2020年に米ドルインデックスは、6.8%下落。バイデン政権下、米国の財政状態が悪化すれば、米ドルの弱気相場は、続く可能性があります。
これらの要素から、VanEckは、2021年の金価格を強気トレンドで予想しています。
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