北朝鮮が中距離弾道ミサイルを太平洋に発射。日本の弾道ミサイル防衛システムは張子の虎?

<スポンサーリンク>

北朝鮮は2017年8月29日の午前5時58分ごろに、中距離弾道ミサイルを発射。ミサイルは日本の領土である北海道の襟裳岬を通過し、太平洋上に落下。有事のリスクが高まり金価格は一気に上昇

日本政府は警報システムのJアラートを鳴らすもミサイルの迎撃は行わず。

正直、Jアラートのサイレンが鳴ってからは遅いというのが現実。このJアラートが遅いとの声も聞くのですが、そもそも北朝鮮から日本への距離は約1100km。ミサイルが発射されてから日本に到着するまでの時間は5分~10分程度。たとえ、発射された瞬間に探知して警告しても10分弱の時間しか余裕はありません。


弾道ミサイル防衛システム(BMD)による完全なミサイル防衛は不可能

深刻なる脅威と内閣が言い、有事のカナリアたる金価格が上昇している理由は、日本のミサイル防衛システムが機能しにくいから!

わが国の弾道ミサイル防衛は、イージス艦による上層での迎撃とペトリオットPAC-3による下層での迎撃を、自動警戒管制システム(JADGE:Japan Aerospace Defense Ground Environment)により連携させて効果的に行う多層防衛を基本としている。

わが国に武力攻撃として弾道ミサイルなどが飛来した場合には、武力攻撃事態における防衛出動により対処する。一方、わが国に弾道ミサイルなどが飛来する場合に、武力攻撃事態が認定されていないときには、迅速かつ適切な対処を行うこと及び文民統制を確保することを十分考慮し、防衛大臣は、弾道ミサイルなどを破壊する措置をとることを命ずることができる。防衛白書より

弾道ミサイル防衛システム

出典:防衛白書

これ、結構ヤバいですよ。まず、我が国に弾道ミサイルが飛来した場合、武力攻撃事態が認定されていれば、即座に対応できます。ところが、武力攻撃事態が認定されていない場合、防衛大臣や内閣総理大臣の命令が必要⇒そんな許可取ってる暇はありません。

今回の弾道ミサイルをなぜ迎撃しなかったかという話もありますが、そもそも迎撃命令が出ないとできないということ。では、武力攻撃事態とは?

武力攻撃事態 武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態をいいます。 武力攻撃予測事態 武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいいます。なお、事態対処法において、武力攻撃事態と武力攻撃予測事態をあわせて「武力攻撃事態等」と定義しています。内閣官房

これこそが、軍隊のシビリアンコントロールながら、日本の現状では、米国や国連が宣戦する・敵国に宣戦布告される・先制攻撃される事態でもない限り、武力攻撃事態とは認められないのではないでしょうか。つまり、先にミサイルを撃ち込まれると最初の数発は甘んじて受けるしかありません。

さて、それでは、ミサイルが発射された場合に弾道ミサイル迎撃システムの成功率はいかほどでしょうか?

SM-3を用いたイージスBMDの迎撃試験はこれまで34回実施され、そのうち27回の迎撃に成功(2017/6/22更新)しています(2006年12月のFTM-11(迎撃ミサイル発射されず)はカウントしていません。また、2008年11月のPacific Blitzは1発成功・1発失敗でMDAは失敗扱いとしています。)。迎撃率は約79.4%(2017/6/22更新)です。海国防衛ジャーナル

パトリオットはそれ以上に優秀。同じ海国防衛ジャーナルでは、イージスBMD以上のテスト成果を上げているとのこと。近くまでミサイルに侵入された場合、パトリオットに頼るしかありません。

PAC-3(特に現行のConfig.3とMSE)は米軍やメーカーだけでなく独立審査機関などでも高い信頼性を得ています。実弾迎撃試験において、詳細な標的弾発射情報(日時や方位、軌道要素)を伏せたり複数発の迎撃を要求したりといったシビアな条件をクリアしているので、高評価は当然と言えますね。

ただ、これまた欠点があり、射程が数十キロしかありません。全国に16機配備されているそうですが、とても足りません。主要都市・原発などの設備を守るには数も練度も足りないと思います。だからといって高価なパトリオットを全国に配備するのは現実的ではありません。

北から千歳(第3高射群)は千歳基地周辺に配備。三沢(第6高射群)は、北海道函館市近くの八雲航空基地と青森県北部日本海沿岸の車力分屯地、ここには米軍THAAD用前進レーダーAN/TPY-2が配備、三沢基地の防空を担当。入間(第1高射群)は、習志野、武山、霞ヶ浦、入間に配置され、首都圏防空を担当。岐阜(第4高射群)は岐阜基地、滋賀県饗庭野、三重県白山に配備され、名古屋地区の防空を担当。福岡県春日市の第2高射群は、福岡県北部の芦屋基地、同北東の周防灘に面した築城航空基地、同久留米市郊外の高良台分屯地に配置。沖縄県那覇市(第5高射群)は、知念(那覇から東20 km)と名護市近くの恩納に配備、沖縄本島の防空を担当。防衛弾道ミサイル配備状況

また、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備にともない、ペトリオット能力向上とPAC-3ミサイルの取得が計上され、22年度末までに1、2及び4高群、高射教導隊及び第2術科学校に整備されました。航空自衛隊

日本政府が深刻な脅威と呼ぶのは当たり前で、完全にミサイルから守ることはできません。米国のレーガン政権時代にスターウォーズ計画がとん挫した事例も。

基本路線は、北朝鮮にミサイルを撃たさないということにあります。その場合、話し合いだけで解決するのは無理。北朝鮮側も生き残りに必死&これまでの米国の行動から核放棄が自滅の道であることを理解しています。米国の直接攻撃を避けながら、韓国や日本を混乱させて、核自衛能力を身に付けてから交渉することを目的にしていると思います。

金正恩政権は、今回のミサイルが火星12号の発射実験と明らかにしており、グアム牽制と共に、米国の言動次第で行動を決めると発言。

北朝鮮の目的はこちら

日米両国の対応

日本や国際社会の圧力はものともしない北朝鮮の現実からは、米国がどう出るか次第。

トランプ大統領は、北朝鮮が、近隣諸国・国連加盟国に対して、厳しいメッセージを送っていると指摘。日米両国の首脳会談で世界各国への直接の脅威であることに合意。

そして、全てのオプションがテーブルの上にあるとのことですから、いつ、具体的な行動に出てもおかしくありません。

菅官房長官は、会見で、すべての選択肢がテーブルの上にあるという米国を評価。同時に、北朝鮮貿易の9割を占める中国の役割が重要で、ロシアとともに建設的な役割を果たしてほしいとの意見を述べています。

中国・ロシアが北朝鮮への援助を断ち切れば、北朝鮮体制は終るのですが、最後の暴発も怖いところですし、そう簡単に関係を切らないでしょう。

◆NY金価格の日足チャート EVOCX 2017年8月30日

金価格は急上昇

さて、今回のミサイル発射を受けて、NY金価格は1300ドルを突破。有事への警戒感が増しています。

このまま、何もないことを祈ります。