北朝鮮の目的は核保有で体制維持を図ること。リスク回避で金相場が大きく上昇!:2017年8月14日週の見通し

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NYをはじめ金相場は上昇。週前半は、ユーロ安ドル高傾向が強かったものの、北朝鮮がグアムを攻撃する計画を作成する方針だと報道したことをきっかけに地政学リスクが急激に高まりました。そのため、リスクの巻き戻しが起こり、金価格も上昇しました。

北朝鮮の脅しに対しては、トランプ大統領は即座に応じているものの、警告自体が十分でなかったと発言するなどヒートアップしています。

◆各市場の日足チャート:2017年8月13日 GMOクリック証券の日足CFD

金相場の上昇

金・白金は大きく上昇。日経平均株価は大幅下落するなど北朝鮮リスクに対して市場は大きく反応しました。NYダウも下落しています。

不安心理を示すボラティリティー・インデックスも大幅上昇するなどで、金投資・日本円などに資金は動いています。

北朝鮮リスクの高まりで金相場は大きく上昇

北朝鮮の朝鮮中央通信は、10日に中距離弾道ミサイル4発をグアムに発射する計画を8月中旬までに作成すると発表。

米国は、トランプ大統領が北朝鮮に激しく警告すると共に、フランス・日本など同盟国と協議を行い、軍事行動を視野に入れての対応策を実施しています。

グアムでは、万一の事態に備えてガイドラインを公表するなどの対策を実施。

グアムは北朝鮮から約3500kmの距離にある島で、北朝鮮に何かあれば、航空戦力を送り込むアンダーセン空軍基地・海軍基地がある基地と観光がメインの米国領。

レイセオンのミサイル防衛システム


北朝鮮の金正恩政権が仕掛けるチキンレース

有事の金買い・リスクオフの動きが激しくなっているように、いよいよ予断を許さない米国と北朝鮮の問題。

米国は、中国が北朝鮮に圧力をかけてくれることを期待していたものの当ては外れた模様。米国のヘイリー国連大使は、中国を北朝鮮への圧力が十分でないと非難。トランプ大統領は、29日に中国に失望・対話するだけで何もしないとツイッターで発言。

ロシアは、エスカレートする北朝鮮と米国の対決に対して平和的解決・話し合いを求めており、オモテだって北朝鮮側には立たないもの米国の軍事力行使に反対することで間接的な北朝鮮支援を行っている形。

金正恩政権の落としどころは何?

さて、北朝鮮の金正恩政権は今後、どのような手段を取ってくるのでしょうか。

金正恩政権の目的は、体制の維持&自身の権威と安全の維持にあることまでははっきりしています。

そのための手段が、核ミサイルの保持や南北朝鮮統一。ただ、現状は、米国の力が強く朝鮮半島が北朝鮮主導で統一されることを許すことはありません。

中国・ロシアのどちらかが後押しすれば、米国のバックアップの無い韓国は併合されることになりますが、それは、米国の権威及び影響力・経済力の大幅低下につながります。韓国を見捨てれば世界各地で、米国頼むに足りずとの判断を下す政権が、徐々に米国離れを画策することになります。

ここで、北朝鮮の立場に立ってみると、このままではという恐怖感が先立ちます。

  • イスラム国勢力の衰え
  • イスラム国を巡っての米露接近
  • トランプ大統領誕生で米露接近
  • 米国と中国の協調
  • リビアのカダフィ政権崩壊
  • イラクのフセイン政権崩壊
  • 豊富な地下資源を持つ北朝鮮

必ずしも上記は実現しているものばかりではありませんが、いつ、米中露の三国が協調して、北朝鮮及び金政権打倒に動いても不思議ではありません。

リビアのカダフィ大佐は、2003年の12月に大量破壊兵器や核兵器も廃棄を決断。北朝鮮とイランに対しても核兵器を放棄すべきだと進言していました。ところが、核兵器放棄を決断したカダフィ大佐は、2011年に反政府勢力に拘束されて射殺という終りを迎えました。しかも血まみれとなり車で引きまわされる映像が出回るなど悲惨な最期を遂げた様子が世界中に報道されています。

このカダフィ大佐の最後が、金正恩政権を含む独裁者に与えた影響は大きいはず。

欧米は、リビア内戦で中立を守らず、核兵器廃棄を決断したカダフィではなく、反政府勢力を支援したのです。独裁的なカダフィ政権が倒れれば、民主的な政権が生まれるはずというのが欧米の考えでした。米英仏などを中心とする多国籍軍は、カダフィ政権への軍事攻撃すら行ったのです。

日本で未曾有の東日本(東北関東)大震災が進行中の3月19日に、 仏英米欄伊5カ国軍などからなる多国籍軍がリビアのカダフィ政権への軍事攻撃を開始した。 それは、フランスのサルコジ大統領がリビア攻撃の前日(18日)にオバマ米大統領、キャメロン英首相と連名で発表した、 「(即時停戦を要求し、従わない場合の武力行使を容認した)国連安全保障理事会決議1973を順守しなければ、 国際社会は軍事手段によって決議を強制履行させる」 とのカダフィ大佐あての最後通牒を受けてのものであった。リビアへの人道的軍事介入

このリビアへの軍事介入自体の是非はさておき、世界中の独裁者に一つのメッセージを発信することになってしまいます。それは、核兵器を持たなければ、欧米の多国籍軍による攻撃にさらされて悲惨な最期を遂げるということ。

リビアの前に、イラクのフセイン政権は、大量破壊兵器を持っていなかったにもかかわらず、保有していると決めつけられて多国籍軍の攻撃を受けて滅びました。

通常の軍事力において、北朝鮮は米軍の足もとにも及びません。中国・ロシアも朝鮮戦争当時程、明確に米国と対決しているわけではなく、北朝鮮攻撃決議に棄権や反対を表明する程度。ならば、金正恩政権が生き延びるためには、核兵器を持つことで軍事攻撃を抑止するという道しかないと考えているのでしょう。イランもおそらく同じことを考えていると思います。

核兵器を保有し、相手に攻撃をためらわせる力を持っ上で、米国と交渉を行うか自国に関わらないようにさせるかを目的としていると考えます。核兵器を持てば、攻撃を受けても相手に多大なるダメージを与えることができ、通常攻撃の抑止力になるという戦略。

そうなると、核攻撃能力を持った後に、北朝鮮がおとなしくなる可能性もあります。しかし、ここまで互いの挑発がエスカレートしてくると、メンツ・権威といった問題が浮上してきます。

米国のトランプ大統領は、オバマ大統領をはじめとした対話という名の弱腰路線が、現在の危機を招いていると主張し、強いアメリカ・アメリカ第一を自分なら達成できると宣言していることから、安易な妥協はできません。妥協をすればイランに勢いを与えイスラエルに危機が生じます。

北朝鮮側も核放棄はリビアやイラクの前例を見ている以上、ないでしょう。さらに、グアム攻撃という米国の虎の尾を踏んだ状況で、そう簡単に拳を降ろせません。

ロシアが仲裁に入るにしても落としどころが見えないんですよね。金正恩氏を暗殺した場合、自暴自棄になった残存勢力が核発射や韓国侵攻をしないとも限りませんし、難民の大量発生は中国が望まないでしょう。

ラブロフ・ロシア外務相は、ロシアと中国は危機を解決する策があると話していますが、米国と韓国の軍事演習を止めるべきだとも言っており、米国の力を尊重しつつ、落としどころを探れるでしょうか。

北朝鮮の核兵器保有数はすでに60発との報道もなされており、時を追うごとに、危険度は増していきます。自国での核攻撃能力が向上すれば、他国が技術や兵器を欲しがり、外貨の欲しい北朝鮮は、それを売るでしょう。かくしてアジア以外の地域にも危険は広がります。

にらみ合いが軍事行動か

軍事行動で勝算がありそう、反政府勢力が台頭し民族自決の可能性が出てくれば、米国は直接的な行動に出る可能性が高くなっています。

しかし、それが難しい場合。最終的な決着方法はなく、核保有国となった北朝鮮に対しては、かつて冷戦時代のソ連に対峙したように最大限の警戒心を払った上で、封じ込めを継続するしかないかもしれません。緊張が高まった場合は、中国・ロシアが間に入り、当面の危機だけを避けるという形。いわゆるにらみ合いの継続です。

にらみ合いは、米国にとっても韓国・日本への影響力を保持した上で、軍需産業の利益にもつながる一番良い方法かもしれません。

北朝鮮を巡る日程:Xデーはいつと言われている中、下記には注目。

・8月4-21日:トランプ米大統領夏休み
・8月21-31日:米韓合同軍事演習
(※第5空母打撃群ロナルド・レーガンと第1空母打撃群カール・ビンソンが参加予定)
・8月21日:北朝鮮による6回目の核実験実施が警戒されている日
・8月22日:新月(※湾岸戦争など戦争開戦になりやすい日)
・9月9日:「共和国創建日」※6回目の核実験が警戒されている日

トレイダーズウェブ

◆NY金価格の日足チャート EVOCX

NY金価格

1300ドルを試そうとしています。

◆東京金価格

東京金価格のチャート

■今週の注目スケジュール
8月14日(月):GDP速報値、中小売売上高、中鉱工業生産指数など
8月15日(火):マンション発売、独GDP速報値、米小売売上高など
8月16日(水):訪日外国人客数、英失業率、米住宅着工件数、米FOMC議事録など
8月17日(木):貿易収支、欧貿易収支、米鉱工業生産指数など
8月18日(金):中不動産価格指数、独生産者物価指数など

フィスコ

今週の金価格は北朝鮮リスクに振り回されそうです。一旦、リスク回避に傾いた市場は、何もなければ、リスク回避の戻りになることもありえます。

更に、衝突リスクが拡大するかどうかで市場の方向性は変わるでしょう。

一方、FRBの金融引締めは12月の利上げ確率が下がっています。バランスシート縮小は予想通りで利上げ見送りとなるかもしれません。