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金を米国が没収したルーズベルト大統領の大統領令6102号

驚くことに、国家は、金や銀・土地を没収する力を持ちます。実際、1933年、米国のルーズベルト大統領は、大統領令6102号を公布し、民間の金を全て没収する政策を実行。

当時、大恐慌時代の真っただ中にあった米国は、デフレによる景気後退を解消するために、インフレを引き起こそうと考えました。そのために、金価格を引き上げる準備として、民間の金を没収するという強硬策を行ったのです。

ルーズベルト大統領の金没収政策:大恐慌時に実現

1933年4月5日に発したルーズベルト大統領の大統領令6102号は大変厳しい内容でした。もし、金融恐慌から資産を守るために、金投資をしていても国家による没収が起きれば、財産が目減りすることは避けられません。大恐慌のさなかに没収された当時の人々の驚きは凄まじいものだったことでしょう。

ほんと、こういうのは勘弁してほしいもの。

金の没収

「フランクリン・D・ルーズベルトは、米国大統領として、国家非常事態が継続していることを宣言し……金貨、金地金、金証書を、個人、共同、協会、企業によって米国内で保有することを禁止する。」 ゴールドニュース:金没収80年

●米国国家が金を没収した大統領令6102号の内容

  • 民間の保有する金は、1トロイオンス20.67ドルの金価格で強制的に没収
  • 金による支払の契約を無効
  • 罰則は1万ドル以下の罰金または10年以下の懲役【今日の価値で40万ドル】(ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよより)
  • 例外は、希少な古い金貨及び100ドル相当の金

非常に乱暴な政策だったものの、大恐慌の最中だったこともあり、国民財産を侵害との声は、経済危機を救うという大義名分の前に敗れました。

しかし、同様のことが、頻繁に生じれば、私有財産権という概念は、意味をなしません。土地・債券・株式・資産の全てを国家は没収することができます。戦争や重大な経済危機が生じた時に、資産家や富裕層から資産を没収する動きは、生じやすい出来事。それゆえに、この事実を持って、金投資は資産を守るのに意味がないとは言えないと思います。

米国が金を没収した理由

ルーズベルト大統領は、金価格を引き上げ、米ドルの価格を引き下げることで、デフレ退治を行う目的。

さらに、当時の米国は、金本位制を使用していたため、発行できる通貨量は、金の保有量によって制限がかかります。そのために、経済危機の処方箋として実施される財政出動と金融緩和を行うために、政府の保有する金を増やす必要があったのです。

金本位制と財政出動

金本位制は、政府による財政支出を止めるストッパーを果たします。金融危機や経済危機時に、政府の財政出動・中銀の金融緩和は賛成派と反対派に分かれています。主流は、財政出動や金融緩和派。

経済危機が起きると、超法規的処置で、金融緩和を実施するようでは、ストッパーやブレーキの役目は果たせません。

ルーズベルト大統領のニューディール政策やバーナンキFRB議長のQE(量的緩和)によって、危機が救われたのか、それとも、いざとなったら政府が救うというモラルハザードを蔓延させて、次代に危機を先送りしているだけという議論もあります。バブルの生成と崩壊を繰り返して、その規模を拡大しているという意見を無視しては行けないとも思います。

その後、没収された金の運命は下記のようになりました。

米国で金保有が合法化された時期

1934年に金準備法で、米国政府は、外国の通貨当局に対し、金価格を1オンス35ドルに固定しました。20.67ドルで没収して35ドルにしましたから、1トロイオンスあたり15ドル弱の利益が生じます。

ところが、米国民が金を保有できるようになるには、1975年の金合法化【ジェラルド・フォード大統領】まで待たなければいけませんでした。その前に1971年8月15日に、ニクソン・ショックで米ドルと金の交換は停止されて金本位制は終りを迎えました。

そして、金保有が合法化された後に、金価格は35ドルからどんどん上昇し、今日、1330ドル前後での推移を続けています。

再び、金が没収されるときが来るのか?

さて、それでは、現代でも金を没収する政策を取る可能性があるのでしょうか。もし、同じ出来事が起きれば、金投資を行う意味は・・・

もちろん、大恐慌時の米国のように、国家が危ういとなれば、なりふり構わず存続を目指す勢力が、同じ政策を行う可能性はあります。

ただ、当時と今は金の持つ意味が全く違います。

2018年現在、金本位制を採用している先進国はありません。紙幣は、政府の信用に依存しているだけです。

経済危機や金融危機時には、政府は、金にとらわれることなく、財政出動が可能です。それによって、債務が増えたとしても、紙幣を増刷することで、人為的にインフレを起こし債務を減らすことができます。それに、現代のマネー供給量は膨大な金額になりすぎて、金を没収するくらいで政府を立て直すことができるとは思えません。

万一、断末魔の状態に陥った政府が戦費や再建費用を確保するならば・・・

それこそ、私有財産全体の制限が起きる可能性の方が大きいでしょう。マイナンバー制度で全て把握されてゆく銀行預金や株式などの金融資産。それでもおっつかなければ、移動できない不動産の没収を考えることになります。そういった場合には、金投資の方が安全です。特に、金ETFや純金積立よりも金地金や金貨が持ち運び・匿名性の点では有利。

不動産は危険

政府の強権発動事例

えっ・・・そんなことが起きるのとお思いの方・・・共産主義政権の成立した中国・ソ連、白人の土地を接収したジンバブエ。

さらに、白人の土地接収を公約に掲げる南アフリカ【ラマポーザ政権】。

お隣の中国は、毛沢東政権の土地を政府所有にする政策は、現在も継続中。現代の中国でも不動産は使用権を認められているレベルであり、完全なる私有財産ではありません。

徳政令を頻発した日本の鎌倉・室町政権などを見ても、いざという時に、国家権力は何でもやります。

南アフリカのラマポーザ政権の公約

となると資産を守るためには、金投資・預金・不動産などバランスを保った分散投資と情報入手力などが肝心ということになります。

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