マイナス金利の先駆者スウェーデンの中央銀行は、2019年12月19日、政策金利をゼロ%に引き上げて、長く続いたマイナス金利を終了。目標だったインフレ率2%を完全に達成しきったわけではありませんが、マイナス金利の副作用も大きく、家計債務の増加・住宅バブルの問題も放置できなかった様子。
2018年の世界株式安から、金利低下の動きが広がり、米中貿易交渉の進展が伝えられた今年夏ごろから、米国や日本の長期金利は少し上昇。
その中で、スウェーデンが真っ先に、マイナス金利を解除したことは、日本や欧州の金融政策に影響を与えることになります。
金利がつかない金価格には、低金利の方がありがたいので、ややマイナス要因。とはいえ、その背後には複雑なものが絡んでいるので、あっさりゴールド安にはなっていません。
スウェーデン中銀によるマイナス金利終了の理由
日本でも、スルガ銀行をはじめ融資先に困った銀行が、不動産融資を進めて、シェアハウス(かぼちゃの馬車)問題を引き起こしましたね。
- マイナス金利終了の理由
- インフレ率が2%近くに上昇した
- 企業や家計の負債が増加
- 通貨安
- 住宅バブルの発生
マイナス金利の落とし穴:金利がつかないことによる副作用は、かなり議論されています。
マイナス金利政策はイールドカーブ(利回り曲線)全体に下押し圧力をかけ、金融機関の利ざやを圧迫する。超低金利の長期化によって金融機関の体力があまりにも弱まれば、貸し出しが控えられ景気に悪影響が及ぶ可能性もある。中銀によるマイナス金利の深堀りには限界もある。預金者は現金保有を選ぶことにより、銀行預金にマイナス金利を課されるのを回避できるからだ。マイナス金利の落とし穴
BISのクラウディオ・ボリオ金融局長は、無金利での融資は、無謀な借り入れ・金融バブルを生むと指摘。
専門家に指摘されるまでもなく、ゼロやマイナス金利での融資が危険なことは、直感でわかりますよね。
マイナス金利政策が明らかに経済の追い風になっている、あるいはインフレ率を引き上げているのであれば、スウェーデンもマイナス金利脱出をもっとちゅうちょするだろう。だがマイナス金利は特効薬になっておらず、経済成長には依然として勢いが乏しい。リクスバンクによる10月の報告書は、国内経済とグローバル経済が共に低迷し、インフレ率も低いという状況を描き出している。また、米国・英国は政策金利をプラスのまま維持しているが、それによって明らかな悪影響が出ている様子は見られない。マイナス金利解除の理由
しかも、リクスバンクの10月報告書では、スウェーデン経済の成長は乏しい。
マイナス金利にしても効果がないのか。それとも、マイナス金利のおかげで、何とか、現状を維持しているのか。スウェーデン中銀のマイナス金利解除後の経済状態がどうなるかに注目が集まりますね。もし、今後の経済に変化なしもしくは改善すれば、他の中央銀行もマイナス金利の解除を検討しはじめるでしょう。
- GDP成長率 0.3
- GDP年間成長率 1.6
- 失業率 6.8
- インフレ率 1.8
そうなると、この材料は、金価格の下落要因になります。
2015年にマイナス政策を世界で初めて導入したスウェーデン中銀マイナス金利終了
理由①インフレ率がターゲットである2%近くに行く見込みが立った事(効果が見られた)②企業や家庭が負債を抱え過ぎる可能性③通貨が弱まっているという批判
Sweden, the first to apply negativ https://t.co/vmsxRtQlNA
— Takashi (@takashi_llab) December 20, 2019
「欧州で広がる脱マイナス金利」
>スウェーデンでは金融緩和の結果、需要が刺激されて住宅ローンが急増した。結果として住宅価格も急騰し、住宅バブルの様相を呈してしまった。
マイナス金利導入はこの流れに拍車をかけるものだった。https://t.co/agAi0035BD#renolaz #リノレイズ— 植田勝海/ RENOLAZE (@RenolazeUeda) December 23, 2019
スウェーデン中銀のリクスバンクが中銀預金金利にマイナス金利を適用したのは2009年。マイナス金利政策の先駆けとして注目されましたが、マイナス金利からの脱却でも先陣を切りました。今後、日銀の政策判断にどんな影響を与えるのか気になります。 pic.twitter.com/QfVhX8TPdN
— 日経ヴェリタス (@nikkei_veritas) December 22, 2019
スウェーデン中央銀行は19日、主要政策金利を従来のマイナス0.25%から引き上げ、0%とすると発表しました。マイナス金利政策を導入した世界の中央銀行の中で、脱却したのは初めてのケースとなります。スウェーデン中銀は2015年2月にマイナス金利を導入していました。https://t.co/2C3oqCFF7n
— 時事通信国際ニュース (@jiji_gaishin) December 19, 2019
スウェーデンの中央銀行は19日およそ5年にわたってマイナスとしてきた政策金利を0%に引き上げると発表しました。お金が借りやすくなることで家計の借金が増えるなど副作用への懸念が高まってきたためで、各国でマイナス金利が続く中、いち早く解除に動くことになりました。https://t.co/tlvM3YYGNL
— NHK国際部 (@nhk_kokusai) December 19, 2019
この記事へのコメントはありません。